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【#広尾学園】ユニオンで闘うAさんが非正規教職員の賃上げ等を求めてストライキ!


 広尾学園で働く非常勤講師のAさんは、昨年春から私学教員ユニオンへ加入し、労働環境・教育環境の改善に取り組んでいます。この間、3月末での雇い止め危機に瀕していましたが、無事更新を勝ち取ることができました!皆様の応援、どうもありがとうございました(詳細は別のブログを執筆中です)。

 しかし、まだまだ学内には多くの問題が発生しているため、Aさんは非正規雇用で働く教職員の賃上げ等を求め、本日(3/6)の業務を10分間「ストライキ」することにしました。なお、ストライキした業務は成績処理業務の一部であり、ストライキ後業務には戻ったため、生徒への直接的影響はありません。

 ストライキとは、労働者が労働条件の維持・改善などの要求を勝ち取るため、労務の提供を拒否することです。ストライキ権は団結権・団体交渉権とともに労働者の有する基本的権利として、労働組合法で認められた正当な権利です。

 近年、海外では教員のストライキが頻発しています。職場でストライキをして労働環境を改善したいという教員の皆さん、ぜひ私たちまでご連絡ください。一緒に今の状況を変えていきましょう。


◆非正規雇用教職員の賃上げ、正規同様の健康診断受診などストライキの要求内容


 私たちとAさんは、以下の要求を掲げて10分間の「時限ストライキ」を実施しました。特に、非正規雇用で働く教職員の待遇改善を私たちは求めています。

(1)春闘
・春闘要求書にある非正規雇用教職員(組合員を含む)の給与を一律10%賃上げすること
・非正規雇用教職員(組合員を含む)の賃金の平均賃上げ率及び平均賃上げ金額を回答すること
・賃上げの検討のため、過去5年分の財務資料を提出すること。

(2)来年度の雇用
・来年度のAさんの授業担当クラスの希望に応じること
・Aさんの生活の安定のため、来年度の担当授業コマ数を希望コマ相当以上とすること

(3)非正規雇用の待遇改善
・非常勤講師に対して、賞与を支給すること
・非常勤講師でも正規雇用と同様の健康診断を受診できるようにすること
・非正規雇用比率(2022年で約47%)を具体的に改善すること。

(4)その他
・労働基準法違反を具体的に改善すること。
・不当労働行為(労働組合法違反)をやめること。

◆ストライキを行ったAさんの想い

広尾学園には、順心女子学園のころから、30年以上にわたり勤務してきました。

現在、広尾学園の教職員の約半数が1年更新・低処遇の非正規雇用の教職員です。そして、毎年、20人程度の教職員が入れ替わる状況です。

その原因のひとつに、見かけはピカピカの広尾学園で働く非正規雇用の先生方の待遇面にあるのではないかと私は考えています。

先生方のコマ単価は、他校と比較して決して高くはありません。これまで、毎年の昇給もわずか50円の方もいました。そのうえに、非常勤講師には賞与も支給されません。東京都に対して情報公開請求をし学園の財務を調べたところ、2022年の人件費率は業界平均の約60%を大きく下回る約47%という低さでした。

学園の財務は極めて順調で、十分に人件費を上げる体力もあると考えています。しかし、学園の教育活動のために貢献している多くの非正規教員の給与は低く抑えられ給与に還元されずにきました。

今回、私たちは、初めて春闘要求書を学園に提出し、非正規雇用の教職員の給与を一律10%上げることを求めています。この物価高のなか、さらに一年契約という不安定な雇用のなか、非正規の先生方の生活も厳しさを増しています。

さらに、広尾学園では、非常勤講師は、正規教員等と異なり健康診断はX線撮影しか受けることができません。授業という学校において最も根幹となる業務を担っていますが、健康管理面でも、雇用形態によって差別を受けているのです。

私は、このような広尾学園の現状をみて、非正規雇用の教職員が、待遇面での差別を受けることなく、安心して働ける労働環境を目指し、ストライキ決行を決意いたしました。非正規雇用教職員の待遇改善を学園に強く求めていくことは、生徒たちに対する教育の質の向上につながると信じているからです。

非正規雇用教職員の労働環境問題は、広尾学園だけの問題ではありません。教育現場全体の非正規雇用教職員の労働環境を改善するために、どうかご支援賜りますようお願いいたします。

◆日本や世界で広がる教員ストライキ

 日本では、ストライキの件数は年々減少しており、昨年は全国でたった65件しか行われていません。

参考:<Q&A>ストライキ、なぜ日本では少ない? 異例のそごう・西武問題(2023年8月28日・東京新聞)

 一方で、近年、インフレによる物価高騰に対して、日本や世界で賃上げを求める教員たちも出てきています。特に、要求を勝ち取るために、ストライキをして声を上げている教員たちが増えているのは特徴的です。

 例えば、昨年12月には、東海大学で働く大学非常勤講師たちが、10年以上昇給がない状況に対して、15%の賃上げを求めるストライキをしています。こちらは、メディアでも大きく取り上げられました。

参考:「基本給10年以上上がってない」東海大教員らが賃上げ求めストライキへ 「1コマ当たり他大学の4分の3」(2023年12月4日・東京新聞)
 また、アメリカでは、「カリフォルニア教員組合」が、年12%の賃上げなどを大学側へ要求している。大学側の回答は5%の昇給と労働組合の要求の半分以下であったため、今年1月に教員たちは抗議のため5日間のストライキを決行した。このストライキは、アメリカで過去最大の教員のストライキと報道されている。
参考:「全米最大の教員によるストライキ」 カリフォルニア州立大(2024年1月23日・朝日新聞)
 以上のように、日本でも世界でも、今の状況を変えようと声を上げる教員たちが出てきています。このようなグローバルな流れの中で、今回のAさんのストライキも重要な意義を持つでしょう。


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