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【スタジオ4℃(1)】映画『海獣の子供』『鉄コン筋クリート』のアニメ制作会社「スタジオ4℃」で残業代未払い・労働環境改善を巡って団体交渉

アニメ制作会社で残業代未払い・労働条件明示義務違反
労基署も動いてくれない!?

映画『海獣の子供』(2019年)、『鉄コン筋クリート』(2007年)などで知られる人気アニメ制作会社「スタジオ4℃」(STUDIO 4℃、正式な社名は「スタジオよんどしい」)に勤務する制作進行の男性Aさんが、ブラック企業ユニオンに加入し、同社と団体交渉を開始しましたので、ご報告します。

同社では、月100時間超えの残業や、人によっては月約200時間の残業もありました。その一方で、Aさんは自分たちに残業代が払われていないことを疑問に思っていました。

また、Aさんら社員には、自分の賃金や就業時間が定められた労働条件通知書さえ渡されていませんでした。自分の基本給や就業時間がわからなければ、自分がどれほどの残業代が払われるべきなのか、計算することすらできません。労働条件通知書を渡さないことは、労働基準法15条の労働条件明示義務違反の違法行為です。

こうした疑問を解消すべく、Aさんは今年、個人的にスタジオ4℃に残業代を請求しました。ところが、会社は一向に残業代請求に応じず、Aさんは業務を怠けていたから、タイムカードの記録があっても労働していたとは限らないと主張してきました。
埒が明かないと考えたAさんは労働基準監督署に申告しましたが、労基署の監督官も会社の主張に従ってしまい、「タイムカードの期間に労働していたという証拠を提出してほしい」と2年間全日程の労働実態の証拠の提出を労働者に求めるというおよそ実現の困難な回答をしてきました。
これらの対応を受けて、Aさんは人気アニメ制作会社マッドハウスとの団体交渉が報道されていたブラック企業ユニオンに今回加入したのです。

昨年の労働条件通知書を後出しで提出
実は裁量労働制だった? 基本給を6万円引き下げ?

残業代請求を受けて、会社は残業代を払わないものの、Aさんに対してのみ、1年前の労働条件通知書を後出しで提出しました。驚くべきことにそこでは、昨年度のAさんは裁量労働制を適用されており、残業代を払われない対象であると後出しで書かれていました。Aさんは「定額働かせ放題」の対象であるというのです。なお、Aさんは裁量労働制の労使協定をいまだに見たことがありません。
また、これも残業代請求後に、Aさんに対してのみ、今年度の労働条件通知書が後出しで渡されました。ところがそこには、「基本給」15万8600円と書いてありました。1年前の実際の基本給は22万円であったため、会社の主張によれば実に6万円の減額、不利益変更となってしまいます。Aさんはこれに同意した記憶は全くありません。

毎日2時間45分間の休憩を取得しているから、
残業代は払わなくてよい?

そればかりではありません。Aさんの就業時間はこれまで事実上、就業時間8時間、休憩1時間の拘束時間9時間で計算されていたと考えられます。ところが、今年度に渡された労働条件通知書によると、「休憩時間」60分のほかに、「特別休憩時間」45分が追加されていました。拘束時間9時間のまま、就業時間が7時間15分まで短くなり、自動的に休憩1時間45分を毎日取ることにされていたということです。
おまけに、19時から20時までも60分間の休憩(「残業時休憩時間」とのこと)を取ることになっていました。
つまり、こういうことです。以前は、10時から20時まで勤務した場合、8時間労働・1時間休憩・2時間残業になっていたはずです(1時間休憩が取れていた場合)。しかし、新しい労働条件通知書では、10時間の拘束時間のうち、2時間45分は休憩を取ったものとして、自動的に天引きされかねません。その結果、労働時間は7時間15分のみとなり、残業代が1円も発生しない扱いになってしまいます。もちろん、実際に休憩を取っていなければ残業代を請求できますが、自ら請求しない限りは、このような悪用が可能になってしまいます。実際にはAさんは2時間45分間の休憩を取っている自覚はありませんでした。

資料提出を頑なに拒否、団体交渉も拒否

なお、Aさんのタイムカードや就業規則、各種労使協定などの提出を求めましたが、スタジオ4℃は提出を頑なに拒んでいます。
第一回目の団体交渉では、スタジオ4℃の社長は、組合の質問にはほとんど答えず、A氏が真面目に働いていないという主張をひたすら繰り返した挙句、開始1時間程度で体調不良を理由に団体交渉の会場を退室してしましました(翌日以降、スタジオ4℃に出勤は無事されているようです)。
それどころか、社長からのAさんに対する誹謗をユニオンが遮ったことを受けて、スタジオ4℃は次回以降の団体交渉を拒否しています。
このように、スタジオ4℃では誠実な団体交渉とは言えない強硬な対応が続くため、ユニオンとしても今回ブログ記事で企業名を出して発信することになりました。

残業代を罰金で帳消しする規定の削除など、
ユニオンで勝ち取った改善の成果も

ただし、ブラック企業ユニオンの要求を受けて、一部改善をするという成果もありました。

・労働条件通知書を全社員に提出するようにという組合の要求に対して、労働条件通知書を全社員に今後通知していく予定であるという回答を得られた。

今年度の就業規則には、社員が自己判断で残業した際に、残業代と同額を罰金として徴収するという規定があったが、削除するようにという組合の要求に対して、変更するという回答を得られた。

35歳未満の労働者に対して、労働安全衛生法に定められた会社負担の健康診断を受けさせていなかったが、これを会社負担で実施させるようにという組合の要求に対して、法令に従うとの回答を得られた。

これらは労働基準監督署もスルーしていた違法行為でしたが、ユニオンの要求によって初めて改善することができたと言えます。これからもブラック企業ユニオンでは、スタジオ4℃、ひいてはアニメ業界の労働条件改善のために取り組んでいきます。

今回立ち上がった制作進行Aさんのコメントは次の記事をお読みください。
【スタジオ4℃(2)】私がブラック企業ユニオンに入り、スタジオ4℃の現場からアニメ業界に声をあげた理由[前編]

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