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【#広尾学園】非常勤講師の平均8%賃上げ、正規と同じ健康診断の受診などを実現しました!

 広尾学園で働く現役の非常勤講師Aさんが私学教員ユニオンへ加入し、昨年5月から非正規教員の待遇改善等を求め、団体交渉を続けてきました。

 3月6日には、非正規教員の賃上げ等の待遇改善を求めて、たった一人で時限ストライキを行いました。

 そして、3月15日、広尾学園との第五回団体交渉を私たちは行いました。その結果、非常勤講師の平均8%賃上げ、正規雇用と同じ健康診断の受診などを実現しました!

 今回のブログでは、第五回団体交渉の内容を共有したいと思います。広尾学園で働いている、これから働こうと思っている教員の皆さん、ぜひ一緒に労働環境・教育環境の改善に取り組みませんか?また、他校の方も、現状を受け入れるのではなく、ユニオンで仲間と共に声をあげれば変化を起こすことができますので、ぜひ本記事最後の連絡先へご連絡ください!


◆春闘要求を経て、非常勤講師の平均賃金アップ8%を獲得しました!

 今まで、ほとんどの非常勤講師の毎年の昇給率は、極めて低いレベルにとどまっていました。年間50円しか昇給しなかったり、まったく昇給しなかったこともありました。

 広尾学園の非正規雇用教職員(1年契約の常勤講師及び非常勤講師)は全体の約47%を占めています。教育活動の中心である授業をはじめ、多くの業務を非正規雇用教職員に依存している現状があります。それにも関わらず、非正規雇用教職員の待遇が低く抑えられていたため、私たちは改善を求めていました。

 今年、初めて、非正規雇用教職員の賃金一律10%アップを求める春闘要求書を広尾学園に提出し、Aさんは「ストライキ」も実施しました。

 その結果、団体交渉にて、非常勤講師全体の賃金を、「平均8%アップ」するとの回答を学園から得ました!現在の授業単価が低い教員により多くの昇給をしたということで、最大300円という大幅な昇給をした非常勤講師もいます。

 業界平均人件費比率は約6割ほどの中で、広尾学園は47%という低さでした。今回の平均8%の賃上げは画期的な成果と言えるでしょう。

 学園になくてはならない存在である非正規雇用教職員に対して安心して働ける環境を作っていくことが、生徒への教育の質の改善につながっていくものと私たちは確信しています。

◆非常勤講師も、正規雇用と同様の健康診断を受けられるようになりました!

 広尾学園は非常勤講師に対して、なぜか胸のX線写真撮影しか健康診断を行っていませんでした。他校では、専任教諭(正規雇用)ら同様の健康診断を行っているところも多いかと思いますが、広尾学園では、非常勤講師への差別が続いていました。

 私たちは、このような健康診断の差別是正を求めていましたが、団体交渉にて、この4月から非常勤講師もフルメニューでの健康診断を受けることができるようになりました!

 「授業」という学校の中で最も基幹的な仕事をしているにもかかわらず、健康診断さえ平等に受けられない非常勤講師の状況を変えることができたのは大きな成果だと考えています。
 

◆新年度のAさんの担当学年、担当する授業数、添削業務の扱い等について

 Aさんはこの年度末での雇い止めが危惧されていましたが、無事契約更新を学園と約束することができました。ただし、来年度の具体的な担当業務や授業数などは未定のままだったため、団体交渉で話し合いました。

 Aさんは現在高2を担当しており、この学年の持ち上がりを強く希望していました。幸い、学園からは高3の持ち上がりを提示され、コマ数は今年度より1コマ少ない提示でしたが、私学共済や雇用保険の加入資格はあり、ほぼ希望通りでした。

 ところが、個別指導となる論述試験対策の「添削指導」に関しては、Aさんは担当から外すという方向性が学園から示されました。添削を受けることは受験生にとって、とても重要であり、また教員の熟練が必要な業務です。

 学園はAさんではなく、誰か他の専任にやってもらえば良いという主張をしましたが、添削指導は、教員と生徒との信頼関係のもとに行うことにより、大きな効果をもたらすものです。だれが添削しても同じという学園の考え方はあまりにも短絡的で、生徒の想いを無視したものだと感じました。
 
 学園に対して、生徒たちのためにも、Aさんが添削業務ができるよう、引き続き要求していきたいと思います。

◆学内労組と私学教員ユニオンの学内における活動の差別について

 使用者は、社内に複数の労働組合が存在する場合には、それぞれの組合を差別してはいけません(労働組合法上の「中立保持義務」)。差別すれば、組合間差別となり、不正労働行為(労働組合法違反)となります。

東京都労働委員会HP

【参考】用語集(東京都労働委員会)
https://www.toroui.metro.tokyo.lg.jp/faqyougo.html#chuurituhoji

 これまで学園は、すでに存在する学内の労働組合には、学内で組合活動を宣伝するためのチラシ配布を事実上認めていました。しかし、私たち私学教員ユニオンにはそれを認めていません。

 Aさんは、私学教員ユニオンに加入する前に、学内労組の書記長として他の組合員との協議を経て、2年もの間、「組合だより」(組合活動を宣伝するチラシ)を学内で配布していました(就業時間外)。また、そのチラシを学内労組の執行委員長は、学園の管理職に事前に見せているなどもしていました。

 ところが、今回の団体交渉にて学園は「組合だより」を配布していたことを知らないと回答しました。2年間に渡って配布していた組合の配布物の存在を学園側がまったく知らなかったということはありえるのでしょうか?

 引き続き、私たちは組合間差別の是正を求めていきます。

◆昇給等を検討する上での人事考課の基準について

 今回の団体交渉では、非常勤講師全体で平均8%の昇給が実現する一方、Aさんは約1%の「たった50円」しか昇給しませんでした。昇給率の決定に関して、学園は「査定をしている」と回答しましたので、私たちは査定基準の提示を求めました。

 しかし、学園はその開示を拒みました。査定をする一方で、その基準が労働者へ示されないならば、好き勝手に査定ができるのではないでしょうか。そのような職場では、労働者は安心して働けませんし、組合で活動するAさんへの差別もできてしまいます。

 過去の判例等からも、この学園の対応は、誠実応諾義務違反にあたり、引き続き、学園に対して回答を求めていきます。

◆Aさんからのメッセージ

 今回の団体交渉では、非常勤講師の平均賃金8%アップと専任等と同様の健康診断の実施などを獲得することができました。

 学内ではたった一人で声をあげ闘う状況でしたが、卒業生や保護者のみなさん、そして同様に困難な闘いをするユニオンの仲間から多くの支援をいただき、頑張ることができました。
 
 多くの皆さんに感謝の気持ちを忘れずに、今後も非正規雇用教職員の労働環境改善のため、闘っていきたいと思います。何卒よろしくお願いいたします。

◆教員の労働環境、生徒の教育環境を一緒に変えていきましょう

 私たち私学教員ユニオンでは、教員の労働環境・生徒への教育環境を変えたいという教員を募集しています。私たちは、学校や雇用形態の垣根を越えて、教育業界全体を変えるために活動しています。互いの学校の問題改善を互いに支援して取り組んでいます。
 
 また、私学教員の方以外でも、教員の働き方や生徒への教育環境の問題に関心を持ち、活動に関わってみたいという学生・教員のボランティアの方も募集しております。興味を持った方は下記の窓口までお気軽にご連絡ください。

電話番号 03-6804-7650
(平日17~21時/日祝13~17時 水曜・土曜休み)
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