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【社内独立のススメ】「ボスマネジメント」で主導権を握れ!

「社内独立」という言葉の意味については以前の記事で説明しているのでそちらを見ていただきたい。

まぁ簡単に言えば、「フリーランス思考で会社員をする」という感じだ。

今回は「ボスマネジメント」について話したいと思う。
「ボスマネジメント」は組織論に属するので厳密に言えばフリーランス思考とは違うのだが、社内独立のススメは会社員としての処世術なのでご了承いただきたい。

◆「ボスマネジメント」とは


「ボスマネジメント」とは、自分の目的を達成するために上司を動かすマネジメント術だ。「上司の管理術」と言い換えても良い。

細かい説明などをすると長くなってしまうので、詳しく知りたければこちらを参照していただくと良いだろう。


◆なぜ「ボスマネジメント」が必要なのか


独立思考のためには何よりも「主体性」が求められる。
そして「主体性」を維持するためには自分がハンドルを握っているという自覚が必要になる。
そうなると、上司は「自分を管理する相手」ではなく「自分が管理する相手」でなければならない。
ここで「上司を管理する」=「ボスマネジメント」となるわけだ。

独立思考を目指すのならばぜひ身につけたい技能だと思う。
サラリーマン思考との違いはこんな感じだ。

<サラリーマン思考>
部署の仕事は上司の仕事。上司がやりたくない仕事がオレに回ってくる。オレの仕事じゃないのに。面倒くせぇ。やりたくない。

<独立思考>
部署の仕事は自分の仕事。自分で持ち切れない分や能力が足りない分を上司が引き受けてくれる。ありがたい。早く自分でできるように勉強しよう。


仕事の主体が「上司」なのか「自分」なのかで考え方にこれほどの違いが出るのだ。


必要性を理解していただけたところで、ここから具体的にボクが行ってきたことを話していこう。
最近会社のルールを一部変更するにあたって予算を引っ張れたので、ちょうど良いサンプルになると思う。
「ボスマネジメント」の活用事例として見ていただきたい。

◆関係値を構築する


要するに「相手からの信用ポイントを貯める」ということだ。
会社員に限らず、仕事をする上で関係値の構築というのは全ての土台となる。
関係値の構築ができると、相手に「こちらの話を聞く姿勢」を作ることができる。

ここで関係値というのは「社会的信用」によるものと「個人的信用」によるものの2つが存在する。

○社会的信用

「社会的信用」とはつまり今までどのような結果を出してきたか、ということだ。
例えば、ソフトバンクの孫会長とコンビニでアルバイトをしているフリーターがそれぞれ会社の経営論について本を出したとして、あなたはどちらを買うだろうか。
ボクなら間違いなく前者を買う。
Twitterでノウハウなどの情報商材を販売する方が「月収○○万円!」などと謳っているのはこの社会的信用を上げるためである。

ここで「じゃあお前はどうなんだ」と言われると、ボクは後者に近いかもしれない(笑)
読んでいただけている皆様には感謝しかない。

○個人的信用

「個人的信用」とは相手からどれだけ好かれているか、ということだ。
先ほどの例をもう一度挙げるが、孫会長とアルバイトのフリーターがいたとして、フリーターの方が幼馴染の友達だったとする。
この場合に一緒に飲みに行きたいのはどちらかと聞かれたらどうだろうか。
孫会長のほうがためになる話などを聞けるかもしれないが、楽しく飲みたいと思うならフリーターの友達を選ぶだろう。
「個人的信用」は能力とはまた別の指標なのだ。

○2つの信用を得る

この2つの信用は車の両輪のようなもので、どちらかだけが有れば良いと言うものではない。
社会的信用のみだと「仕事はできるけど嫌なヤツ」になりかねないし、個人的信用のみだと「愛すべきダメ社員」となってしまう。
いずれにしても「仕事を任せたい」とはならない。

ではどうすればこの2つの信用は構築できるのか。

社会的信用を上げるには、

・仕事のミスをしない、減らす
・仕事内容の質問に対しすぐに正確な返答ができる
・聞かれる前に報告する
・受け答えがハッキリしている

などが挙げられるだろう。
要するに「仕事ができるヤツ」だと思われれば良い。
あなたの周りでそういった印象を受ける人がいるなら、真似してみるのも良いかもしれない。

そして、個人的信用を上げるには、

・仕事以外の雑談をする
・飲みに行く
・たまにポカミスをする

などが挙げられるだろうか。
要するに「愛されキャラ」になれば良い。
「新入社員は飲みの誘いを断るな」と言われるのはこの個人的信用を上げるためだ。
新入社員はおおよそ社会的信用が低い状態なので、個人的信用が無くなると「ダメな上に嫌なヤツ」になってしまうのだ。

ボクの場合、今の職場に来た当初は歓迎会のような断れなさそうなイベント以外はほとんど断ってきた。
そのため個人的信用は低かったので、仕事で成果を出すことで社会的信用を保ってきたという感じだ。
また、飲みに行かなくても職場で雑談などをしたり、受け答えを明るくしたりして嫌われないように立ち回ってきたつもりだ。
今は上司から誘われて月1〜2回程度飲みに行っている。
それでも帰りたい時は断っているので、特に負担は感じていない。

◆プランニング


個人的信用を得ていくプロセスの中で、相手の性格や特徴などもわかってくると思う。
そういった個々人の特徴を踏まえてどのように攻略していくかを考えるのが次のステップだ。

今回はボクの実例で説明していこう。

<目標>
会社の管理ルールの変更

<目的>
現状に合ったルールに整備し直すことで、管理の正確性を上げる
次の提案をするための土台づくり

<攻略対象>

1、課長(直属の上司)
関係値構築は十分。提案には協力的だが、部長のことを「脇の甘い提案をすると刺される相手」として警戒しているため提案内容の不備やコスパが十分かを心配している。

2、システム課長(同じ部長の部下)
決裁権者ではないが、ルール変更にあたりシステムの改修が必要なため協力が必要となる。
こちらの目的とするルール変更による恩恵がなく、作業の手間が増えるだけの立場のため基本スタンスは非協力的。
相手を社会的信用より個人的信用で判断する傾向があり、嫌いな相手はとことん非協力的になる。
上司には従属的なため、部長の決裁が下りさえすればすぐに行動する。

3、部長(上司の上司)
職制的な距離が遠いため、普段は話すことが無い相手。
切れ者で、提案内容を精査し納得するまで質問するタイプ。
システム面などの現場作業にも造詣が深い。
予算権限をもつ最終決裁者。

ここまでの情報を踏まえて攻略手順を考える。

この時点でボクが考えていたのは以下のような感じだ。

1、課長はたたき台の時点から話をしておく。
2、システム課長は部長のOKが出ないと見積もりを出してくれなさそう。
3、部長は見積書など全ての資料が揃っていないと決裁を出さない。


この時点で想定の2と3がバッティングしていることがわかる。
部長の承認がないと見積もりが出ないのに、見積書がないと部長の決裁が下りないのだ。

ではどうしたのか。
これは次の章でご説明しよう。

◆実行する


先ほどの前提をもとにどのように決裁を取ったのか。
これは実際に行った手順で見てもらうのが良いだろう。

<攻略手順(実際に行ったこと)>

1、ルール変更の骨子(たたき台)を作る。想定されるメリット・デメリットなども併せてまとめる。
2、課長および業務上関係する別の課の課長から意見を聴取する
3、聴取した意見をもとに提案内容を修正し、変更後のルールをA4用紙1枚に落とし込む。
4、ルールを変更した場合の影響度、変更のボリュームなどを具体的にまとめる。
5、部長面談の際に、考えている目標とプランニングの予定を話しゴーサインをもらう。
6、システム課長に部長のゴーサインが出ていることを伝えた上で、見積りを依頼する。
7、見積書をもとに課長に再度説明する。
8、課長同行のもと部長に見積書と説明資料を提示し、具体的な説明をして承認をもらう。
9、会社のルールに従って稟議書を作成し、決裁を取る。


ここでのポイントは「見積書が出る前に、アクションの方針について部長の承認をもらう」という点だろう。
そのために、部長にはやりたいことの目標と目的を明確に伝えた。
「先々としてこういうことのために、こういう計画をしています」と言ったわけだ。
この時点では書類も具体的な数値も何も出していない。
しかし、目標としているゴールについて「それは必要だから具体的に進めてくれ」という言質を取れたので、後の見積書を取ったりする手順はしごくスムーズに進んだ。
社内独立思考であれば仕事の目標を自分の言葉で伝えられるので、相手にも伝わりやすくなるのだ。

◆根回しの重要性


この実例を見たあなたは恐らくこう思ったことだろう。
「こんなに回りくどい根回しをしなきゃいけないのか。面倒くせぇ」と。
今回の場合、実際には思ったよりスムーズに進んだのでここまでの準備は必要なかったかもしれない。
出さずに終わった資料なんかもあった。
しかし、日本の企業に勤める上では「根回し」というのは重要なのだ。

新入社員のころ、ボクはこの根回しが大嫌いだった。
やたらと面倒だし、時間もかかる。
結局稟議書だって回すのだから、その時に説明すれば済むじゃないかと。

だが、フリーランスになってみて気づいたことがあった。
それは、「決定には責任が伴う」ということだ。

フリーランスであれば決定したことに責任は全て自分が背負うことになる。
ミスをしても自分が困るだけだ。
しかし、会社というのは多くの人で構成されている。
自分がしたミスが他の人に影響するのだ。

そして、「決裁をする」ということは「その決定に対して責任を負う」ということに他ならない。
「自分が出した稟議に決裁をください」というのは「自分がミスったときは一緒に責任を取ってくださいね」ということに等しい。
そのことをしっかりと理解していればこそ、決裁者は内容について精査をするだろうし、提案者の信用性を見るのだ。
同時に、ボクのような決裁をもらう側の人間は相手に責任を負わせることを認識し、「間違いなく大丈夫だ」と言えるように内容を煮詰める義務がある。

そのように考えるようになってから、相手に信頼される自分であることや根回しをすることを無駄な手続きだとは思わなくなった。

◆終わりに


フリーランスにはフリーランスの良さがある。
自分で全てを決められるので意思決定が早いし、小回りも効く。
ミスをしても自分が損するだけで、人に迷惑をかけることもない。
まぁ取引先からは切られるかもしれないが。

サラリーマンにもサラリーマンの良さがある。
言われたことをしていればとりあえず給料が出るし、仕事を休んでも有休があれば給料が出る。
ミスをしても他の人がカバーしてくれたりするし、全体から見れば小さな仕事なので大した責任もない。
まぁ、受け身な社員はリストラに遭うかもしれないが。

そして、独立思考の会社員にも良さがある。
自分の目標に人を巻き込み、大きなことを成し遂げられる。
例えば個人のフリーランスで学校を建てたり、数億といった大きなプロジェクトを実行するといったことは難しい。
そういった大きなことを成し遂げるには、企業をはじめとした多くの人が関わる必要があるのだ。
まぁ、ミスをしたときの影響が大きいのでその分プレッシャーも増えるかもしれない。

では大きなプロジェクトに関わることになったとして、
やらされて関わるのか、
積極的に関わるのか、
中心となって主導するのか。


もしあなたが積極的に関わっていこうと思うのであれば、独立思考は役に立つかもしれない。
そして、中心となって主導していこうとするのであれば、ボスマネジメントのスキルはきっと役に立つだろう。


このnoteがあなたの参考になれば幸いだ。

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