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2022年、すべての中小企業が直面する「女性活躍」の課題

中小企業にも「女性活躍の義務」が課せられるようになります。多くの会社にとっては「大変な」が本音かもしれませんが、「大変」は「大きく変わる」ここで対応できると、今後に向けた成長のチャンスをつかめるとも言えるのです。船井総研マネージャー石田朝希より女性管理職の育成についてお知らせします。

「女性活躍」や「男女平等」といった話題は、どことなく深く立ち入るのが憚られるテーマの1つかもしれません。かといって、うかうかしていられない理由もあります。
2022年に女性活躍推進法の適用範囲が従業員300人以下の全企業に拡大されるのです。具体的には、女性活躍に関する行動計画の策定が義務化されます。
女性社員比率を、いつまでに何%にするか。女性管理職を、何年に何人にするか。そのために会社としてどんな取り組みをしていくのか。そういったことを計画しなければならなくなります。
これまで大企業の話として、蚊帳の外から眺めていていることを許された中小企業も、来年には自分事になるのです。


企業として女性活躍に取り組むことの2つの魅力

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私自身は、男性がマジョリティである住宅リフォーム業界のコンサルティングをしていますが、女性が活躍する稀有で魅力的な企業も中には存在しています。
それらの企業の話を聞いていますと、中小企業にとって女性活躍経営に取り組むメリットは2つあります。
1つは、女性が活躍している企業では、結婚・出産・育児で培われた女性のマネジメント力が発揮されていることです。
例えば、思い通りに動かない子どもと対峙して動かしていく寛容さ。はじめは何もできない子を、社会で通用する一人前の人間にする育成経験。
企業での仕事と、家事育児という家庭での仕事の両方を同時に進めるマルチタスク力。つまり、人を動かすこと。人を育てること。効率的に仕事を進めること。
多くの主婦社員は、家庭生活と仕事の共通点の多さに驚きながら自信をつけ、企業での活躍、特に管理職としての活躍につなげているのです。
2つ目は、女性が活躍している会社は、採用の現場において“正当に評価してもらえる会社”というクリーンな印象を与えて、採用活動の際に有利に働くということです。
理不尽、ブラック企業、ハラスメント……就職前に多くの不安を抱く応募者にとって、女性が管理職であるということや、その女性管理職が採用の最前線でモデル社員として登場することは、応募者の「自分も頑張れば評価してもらえる」という安心感につながり、良い企業という印象を与えることになるのです。


主テーマは「女性営業の活躍」から「女性管理職の育成」へ

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女性活躍の2つのメリットの話から、1つ気付くことがあります。それは、女性活躍の主テーマが明らかに、女性営業の活躍から、女性管理職の育成へと移ってきているということです。
リフォーム業界では、これまで語られてきた「女性活躍」は、言い換えれば「女性営業の活躍」でした。
いかに業界素人の女性を、男性的風土の業界・会社の中で一人前にし、トップ営業にするかという話だったわけです。これはリフォーム業界に限ったことではないでしょう。
しかし女性活躍の成功の道を歩む企業においては、女性のマネジメントスキルや、正当に評価されて昇進したモデル社員といったように、女性活躍の主題は、「女性営業の活躍」はもちろんのこと「女性管理職」、しかも経営の中核を担う「上層部の女性管理職」育成になっているのです。


女性「管理職」活躍のためのネックと三大要素

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女性「管理職」活躍の最大のネックは、管理職期と結婚・出産・育児期が重なり、管理職女性に、仕事以外の役割が男性よりも多くあるという実態です。
保育園の保護者会に参加するのも、子供の急な発熱で小児科に付き添うのも、なぜか女性がデフォルトです。したがって、中小企業の経営において、家庭と両立できる仕事の仕方を可能にする策が必要です。
女性が活躍する企業づくりは、
①女性が活躍できるビジネスモデル
②女性が活躍できる企業風土
③女性が活躍できる制度づくり

という3つの要素から成り立ちます。
そのうち、単に女性営業の活躍のためであれば、女性が活躍できるビジネスモデルを選択することが最重要です。
例えば、リフォーム業界で言えば、体力や特殊技術、高度な資格が不要であること。さらに、素人でも“その道のプロ”に早期に育成していくために、〇〇専門店として事業分野や商品を絞り込むことが有効です。
これに加えて、女性管理職を増やして定着させていくためには、結婚・出産・育児があっても管理職としての仕事を続けられる、風土や制度の重要度が増します。
女性管理職を増やして定着させていくための「風土」として、女性が安心して家庭を優先できることが求められています。
それを率先して作るのは経営陣、とくに社長からだという話を、女性活躍が目覚ましいとあるリフォーム会社の経営者は語っています。同社では、「1に家族、2に家族、34がなくて、5が家族 運動会や入学式などの子の行事の際に、たとえ経営方針発表会のような重要な社内行事であっても出社したら反省文。残業、休日出勤、有給未取得に対しても始末書または反省文。始末書2枚で減給」というルールが明文化され、社長が率先して実行しているそうです。
また風土だけではなく、女性管理職を増やして定着させていくためには「制度」も必要です。
全国の企業を見渡すと女性活躍に関するユニークな制度が溢れており、どれが本質的なのかの判断が難しいかもしれません。
しかし最低限必要なのはたった2つ。限られた時間で働く人でも活躍できるようにするフレックス勤務のような制度と、休日に本当に家庭に集中できるように休める仕組み。これだけなのです。


まとめ:女性「管理職」活躍の心構え

女性には、仕事に集中できる20代・家庭に比重を移さざるを得ない30~40代・そして再び仕事で輝ける50代と3つのステージがあります。
その中でも、家庭に比重が移る、すなわち結婚出産育児が立て続けに起こる30~40代に、仕事では管理職という立場を任されるという避けがたい壁に当たります。
この30~40代の家事育児期間は、企業にとっては損失のように思われるのですが、長い目で見れば企業に貢献できるための踏み台です。
右も左もわからない新卒の20代の女性が、主婦経験を経たのち、再度仕事に集中できるタイミングである40代後半~50代になったとき、結婚出産育児で培ったマネジメント力を発揮して会社幹部の一翼としてパワフルに働いてくれる。
それを期待して、今のうちから女性の経営参画に着手したいものです。

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