#253 菊はなぜ一年中出荷できる?

菊は仏花として葬儀やお墓参りなどで使われるため、一年を通して需要がある花だ。

皇室の紋章として使われるなど、日本にとって伝統的な花と言える。
日本の切り花の生産量で最も割合が多いのが菊である。

一般的な菊が本来開花するのは10月~11月ごろ。
ただ、菊にはさまざまな品種があり、大きく分けると6月~7月に開花する夏菊、12月~1月に開花する冬菊などがある。10月~11月に開花する菊は秋菊とも言われている。

さらに、電照栽培を行うことで菊の開花時期を調節することができる。
菊は日照時間が短くなると芽が出始めて開花するという性質がある。
その性質を利用して、夜に電球を灯すことで日照時間を人工的に長くして、芽が出る時期を調節する。
生長を遅らせるという意味で抑制栽培の一種だ。

電照栽培は主に沖縄県や愛知県の知多半島で行われていて、夜に畑一面に灯る電球は、幻想的な夜景をつくりだしている。

近年はLED化が進むなどコスト削減や環境への配慮が進んでいるが、昨今のエネルギー価格の高騰は菊農家に大きな打撃を与えているという。

食用菊も和食の彩りとして一定の需要がある。
刺身などに添えられている菊には、彩りの他にも香りを楽しむ、殺菌効果といった効能がある。
また、てんぷらや酢の物として直接食べることもできる。

食用菊の9割以上は愛知県で生産されている。こちらも切り花の菊と同様に、さまざまな品種を育て、電照栽培・ハウス栽培を行うことで一年中出荷が行われている。

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【参考】


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