#175 排他的経済水域あれこれ

中学社会の頻出単語である排他的経済水域だが、領海、公海、接続水域など似たような単語が多く混同しやすい。

領海は、海岸線から12海里(約22km)までの海域で、沿岸国の主権が及ぶため、外国の船は自由に航行することができない。しかし、すべての国の船舶は、領海において無害通航権を有している。無害通航権とは、沿岸国に危害を加えなければ自由に航行をしても良いという権利である。しかし、漁船は漁業をすることができない、潜水艦は浮上して航行しなければならないなど、大きな制限がかかる。

接続水域は、領海の外側、排他的経済水域に設置されている水域で、以下のように定義されている。

領海の基線からその外側24海里(約44km)の線までの海域(領海を除く。)で、沿岸国が、自国の領土又は領海内における通関、財政、出入国管理(密輸入や密入国等)又は衛生(伝染病等)に関する法令の違反の防止及び処罰を行うことが認められた水域です。

https://www1.kaiho.mlit.go.jp/ryokai/zyoho/msk_idx.html

排他的経済水域は、領海の外側から200海里(約370㎞)までの範囲の海域である。外国の船は自由に航行できるが、沿岸国に次のような権利が認められている。

1.天然資源の探査、開発、保存及び管理等のための主権的権利
2.人工島、施設及び構築物の設置及び利用に関する管轄権
3.海洋の科学的調査に関する管轄権
4.海洋環境の保護及び保全に関する管轄権

https://www1.kaiho.mlit.go.jp/ryokai/zyoho/msk_idx.html

日本の排他的経済水域には、排他的経済水域に囲まれた公海が存在する(下図のピンク色の部分)。その部分の扱いはどうなるかというと、「延長大陸棚」として認められている。

https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/wakaru/topics/vol172/index.htmlより

大陸棚とは、地形的に陸地と続いているなだらかな海底で、沿岸国の資源開発が認められている。延長大陸棚は文字通り大陸棚として認められる海域を延長したものである。排他的経済水域は海岸線から200海里までだが、大陸棚限界委員会(CLCS)に申請して認可を受けることで、さらに離れた海域まで資源開発の権利が認められるというものである。
日本は2008年にCLCSに大陸棚の延長を申請し、図のピンク色の部分について延長が認められている。そのため、外国船がピンク色の海域で自由に資源開発を行うことができない。

日本は国土面積が38万㎢なのに対し、排他的経済水域の面積は約405万㎢。国土面積は世界の国々で面積は第60位だが、排他的経済水域はアメリカ、オーストラリア、インドネシア、ニュージーランド、カナダに次いで第6位となっている。

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