#163 盆地の寒暖差が大きいのはなぜ?

盆地は夏は暑く冬は寒いと言われている。
山に囲まれた盆地では、空気の循環が独特である。

海に面した平野では、夏は陸地で熱せられた空気が上昇気流をつくり、比較的気温が低い海上で下降気流となり、海から陸へ風が吹くという大気の循環が生まれる。しかし、盆地では熱せられた空気が山の斜面に沿って上昇し、盆地に下降気流となって降り注ぐという熱い空気のみの循環ができてしまう。そのため、盆地は温められた空気が溜まりやすい。
また、「フェーン現象」も盆地が暑くなる原因の一つである。
海から吹いてくる湿った風が山を越えて反対側に吹き下りたときに吹く乾燥した高温の風のことを「フェーン」と言い、 そのために付近の気温が上昇することを「フェーン現象」と呼ぶ。山に囲まれた盆地ではフェーン現象が起こりやすい。

逆に、冬は山地で冷やされた空気が盆地に流れ込み、温められた空気は上昇してしまうため、盆地は冷蔵庫のような構造になってしまう。そのため、冬の寒さが厳しくなる。

一見最悪の気候のようだが、その分四季の変化が豊かで、寒暖差が大きいと果物が甘くなりやすいため盆地周縁部の斜面では果物の生産がさかんといったメリットもある。
山県のさくらんぼ、福島の桃、山梨のぶどうなどは、盆地の寒暖差をいかして栽培されている。

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【参考】


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