『えいしょ2020』制作の感想文

短歌などの同人誌『えいしょ2020』に参加しました。
オンライン歌会で集まっていた人たちが時々チャットをするようになり、存在しない短歌同人を名乗り始めました。そのようにして生まれた集団「えいしょ」初の本です。
創刊号とは名付けていないし、「次があるとは思っていない」という言葉を掲げてもいます。2020年の全力を傾けて作りました。
この記事は一参加者の感想文です。本誌読後の楽屋ネタとして読んでもらえればいいですし、購入前の内容紹介としても見てもらえるかなと思います。
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【画像で一首】
画像を見て、一首詠む。とてもわかりやすい企画です。
課題の画像や表紙のペンギンなどは会員が撮ってきた画像を使っています(確かそうです)。
没になった画像もたくさんあります。

【会員作品】
新作の連作。
活動の仕方もそれぞれ違うし無記名歌会をやってみてもある程度お互いの見分けがつく、という八人です。
連作を並べてみてもちゃんとバラエティに富んだ誌面ができました。
ところで、新作を目的に買ってくれる人が多いんだろうと思いますが、実は204ページのうち20ページぐらいでしかありません。
八人それぞれ力を尽くした作品なので読み応えはあります。
が、周りの企画も盛りだくさんなので相対的に存在感が減っている気がしてなりません。
連作を書くというのは、言ってしまえばいつもやっていることだし、経験したことのある大変さなんですよね。
そのあとに来るへんてこ企画の数々は未曾有の大変さでした。

【作品相互評】
掲示板形式で各作品に対する批評を連ねていきました。
論点を共有することで深まる議論がありつつ、「話の流れ」ができてしまって発見されずに終わった点もあるかもしれません。
よくある前号評と違ってリアルタイムで作品と批評を読めるところがとても好き。
熱いレスバトルを繰り広げた思い出も鮮やかなのですが、とはいえここの議論で鑑賞を誘導してしまう側面があるかもしれません。それは同時に作品と評を出すリスクかなーと感じています。
そういう意味では話半分で読んでほしいし、ぜひ皆さんの批評を展開してほしいと思います。よろしくお願いします。

【一首評「この短歌どうでしょう」】
好きな短歌を一首推薦し、評文を書く。同時にくじでもうひとり評者を選び、同じく評を書いてもらう。
企画段階の呼び名は「押し付け一首評」でした。
選者でもない限り、自分が好きな歌やコメントしたい歌について文章を書くのが常だと思います。
書かされて書いたらどうなるだろう、まあやってみよう。
やってみました。

【エッセイ「嘘日記」】
まあまあ謎の企画。ついに短歌が関係なくなりました!
嘘の日記を書くというシンプルな企画。
どれぐらい嘘なのかもお互いに知りません。
日付も完全に筆者の自由です。
本当にそんな日を過ごしてそうだったり、嘘のつき方がその人らしかったり。

【電脳吟行】
けっこう人気あるみたいです。
Googleストリートビューに同時アクセスして吟行ごっこ。
やってる人いなかったっけ?
私の日程が合わず二回やってもらっています。
のつさんの口が悪かったです!

【たまたまご】
一首評を書く。評文だけを読ませて元の短歌を再現させる。
無茶を言うな!
まず最初の一首はやっぱり各々が精一杯書いてる作品なんですよね。
各自の作者としての性質はもちろん評者の目の付け所もポイントです。
あんまり引用しすぎないで評するという一首評の縛りもあえて設けられると不自由でした。
というか、ちょっと不自然なくらい引用をぼかしすぎてませんか?
お、おま、いつもはもっと明瞭に書くだろ~~~~

【エッセイ「短歌のできるかな」】
秘伝の書。
できるようになったことと、できるようになりたいことを語る。
かなり手の内を明かしている文章です。
ただしできるようになったからといって誰でもできるように解説してくれているわけではない。
さらに言えば、この人がこうしているからといってそれが誰にとっても目指すべき技術であるわけでもない。
もしかしたらヒントになるものがあるかもしれないし、ただ読み物として読めるだけのものかもしれません。
いろんな人のを読んでみたい企画でした。

【おわりに】
改めて作品やら評やら並べまくると本当に同志ではないんだなというか、良しとするものも違うんだろうなという感覚で、楽しいやら寂しいやらです。
短歌をやっているということぐらいしか共通点がない。
文学運動とか結社のはじまりとか、なんらか思想の共通でもあったり掲げるものを同じくしたりすると思うんですけど、そういうのがあんまりない。
面白いことをやろう、面白い本を作ろうという思いだけでここまでやってきました。(今もやっています。)
それぞれの「面白い」が違うから企画もあっちこっち行っています。
方向なんて初めから違うわけだし、方向性の違いによる解散はおそらくない、安心の一味です。

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