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法隆寺伽藍を巡る②〜最後の棟梁、西岡常一「木に学べ」をガイドに!

こんばんは!本日もおつかれさまです。

ベリーダンサーのShala(シャーラ)です。

20年以上ぶりに訪れた法隆寺のつづきです。

今思えば、修学旅行で来た時は、一体何を見ていたんだろうというくらい、本当の良さを分かっていませんでした。それでも、突出した日本史オタク、中でも飛鳥時代ファンだったのだから、いい加減なものだなあと思います。これは、大人になってよかったなあと思える体験です。

法隆寺最後の棟梁、西岡常一さんの「木を学べ」をガイドに、中門につづき、五重塔、金堂、大講堂を巡ります。

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五重塔

「使われている木が、建立当時で樹齢約千三百年でしょう?ってことは、もう二千六百年も経ってるのに、びくともしないなんて!」

今回、ヒノキという木の素晴らしさも教えてもらいました。

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どこを見ても美しい!

まったくもって見飽きません。しかしながら、パートナーは先に進みたそうです。そろそろ行くとするか。

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再度、中門を振り返ってため息。この写真では、柱の中ほどが幾分ふくらんだエンタシスが見てとれるかと思います。

それから、金堂へ。軒が深いのにも訳があるのでした。

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金堂軒下より 向こうは藤原時代の大講堂

それでは、西岡さんのお話を聞いてみましょう。

 法隆寺はその頃文化の中心になる所やった。仏教を学ぶための、尊い学問の場所や。それを立てるという心構えが木を活かすことに表れたんですな。
 ここから見ますと金堂の柱に竜の彫り物が見えますな。よう聞かれますのや。誰が彫ったもんかって。
 あれは創建当時はなかったもんです。室町時代になって修理するときに荷重を支えるために作ったんですな。室町のときには、ああいう彫刻をほどこすことが美しいとおもったんでしょうな。
 飛鳥の当時には、飾りなんてほとんどありません。しいていえば、あるのは万字崩しの勾欄(こうらん)ぐらいのものですが、これも上に登った人の転落を防ぐという機能があり、単なる飾りやおまへん。時代がさがるに従って飾りが多くなるんですな。
 金堂や塔の軒を見てください。長いでしょ。四メートルあるんです。軒の深さは斜めに測るんやなくて、水平に測るんですが、これかてずいぶん考えて作られているんです。
         (写真)
 飛鳥の頃に伽藍造営のあたらしい技術が大陸から入ってきますわな。仏教と共に流れ込んでくるんです。ところが、中国に行ってみるとわかりますが、こんな軒の深い建物はひとつもありません。 
         (中略)
 それが、大陸からの技術を鵜呑みにせんと、雨が多く、湿気の多い日本の風土に合わせて、こういう軒の深い構造を考えたんですな。
 こういう知恵の働きというのは、近頃のアメリカのまね、イギリスのまねをやっている日本人は勉強しなければなりませんな。飛鳥の工人は、自分たちの風土や木の質というものをよく知っていたし、考えていたんですな。
 これが法隆寺の大講堂になると軒が深くなる。そのため雨や嵐、湿気に晒されることになるんです。大講堂はほんの少し時代がさがった藤原時代のもんですが、もう違うんですな。風土に合わせるということを忘れてしまったんや。

以上、「木に学べ」より

ものすごい含蓄の深さですね。古代の建築ほど優秀とのことで、そんなふうに建物を見たことのなかった私は、驚きつつ感動しました。

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軒下から見上げる五重塔

うっとり眺めていると、そういえば、まだ回廊を南側しか歩いていなかったことを思い出し、東側の回廊へ。

その回廊も、西側のある場所は後代の建築で、違いを見てほしいと、同じ本の中に説明がありました。

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正直、住みたいかも

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ここから北側の回廊へゆくと、後代の建築でエンタシスは見られません。

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東の回廊より大講堂を眺む

そして、回廊から大講堂に入ると、確かに!藤原時代の建築は、飛鳥時代のものとちがっていますが、それでも美しいことには変わらないのです。

そよ風が顔を撫でてゆきます。

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大講堂から見る金堂と五重塔

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この西院伽藍を出て街へ戻ったら、全ての建物が違って見えてしまうのではないかと思うほど。

西岡さんの言葉をガイドに、「構造」を第一に作られた飛鳥時代の建築を堪能しました。

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竜の飾り

飾りは、お話の中にもあるように、後代に付けられたものですね。棟梁曰く、法隆寺をたとえるならあっぱれ横綱、一方、江戸時代に建てられた日光東照宮は、かんざしをちゃらちゃら付けた芸者とのこと。江戸時代でそれだったら、今の建築はどうなってしまうのでしょう。

それでも、本物に触れる悦びに包まれて。

魂が喜んでいるのが分かります。

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喉もカラカラになり、曇り空から日が差してきました。先に進みましょう!

想像以上の異次元力(!!)を発揮していた国宝百済観音のまします建物と、最後の目的地である中宮寺へと向かいました。

法隆寺を巡る①最後の棟梁、西岡常一「木に学べ」をガイドに!

(つづく)

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