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パティの宇宙日記~読書記録408~

パティの宇宙日記 ジル・ペイトン・ウォルシュ 岡本浜江訳

宇宙船の旅はとてもたいくつだった。それにおそろしくながかった。とうとう全員が誕生日を四回もむかえて、この旅が永遠につづくように思えてきたころ、ガイドが、目的地まであと数か月ですといった。けれど、あと数か月ときくと、みんなは喜ぶかわりに不安になりはじめた。

ジル・ペイトン・ウォルシュ(Jill Paton Walsh、1937年4月29日 - 2020年10月19日)は、イギリスの小説家。
略歴
1937年、ロンドン北部のフィンチリーに生まれる[2][3]。オックスフォード大学セント・アンズ・カレッジ(St Anne's College)を卒業後、1959年より教員生活に入る。1961年、アンソニー・ペイトン・ウォルシュ(Anthony Paton Walsh)と結婚。翌年教員を辞めて、作家としての活動を始める。歴史小説や児童文学を得意とする。
1993年から『ウィンダム図書館の奇妙な事件』に始まる〈イモージェン・クワイ〉シリーズ(全4作)を発表、2作目の『ケンブリッジ大学の途切れた原稿の謎』は英国推理作家協会(CWA)のゴールドダガー賞の候補になった。


この作品は、1981年に子供向けのファンタジーとして書かれたものだ。
地球がもう生命の住めない星となり、選ばれた者たちは宇宙に、人が住める惑星を求めて地球を脱出。退屈な宇宙船での旅、その後の別の惑星での生活。それが描かれている。

個人的な感想で申しわけない。私的には怖かった。手塚治虫先生の火の鳥、大江健三郎先生の治療塔、他。このような題材の本は幾つもあるが、地球がダメになったからと簡単に宇宙に行くのか?と思うのだ。
まあ、そんなひねくれた人間はSF小説を読む資格はないのかもしれないが。

最後になって、この物語は主人公のパティちゃんが書いているとわかるのだが、新しい星での絶望に希望。
書かれた年代が1981年ということもあり、フロッピーディスクだの出てきたり、ITも旧い感じで面白かった。
訳者のあとがきにあるように、これは、「人類の歴史」という視点で描かれているのだ。
その昔、地球だって、森を切り開き家を造り、農耕を始め簡単な道具を作ってきた。
これから、この星に住んだ人たちはどうなっていったのか?続きが知りたくもなる本であった。


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