見出し画像

日記 2024.03②


働き始めてまだ1年くらいなんだね!さっきその話が出てすごいビックリした。もう2、3年くらい居るもんだと思ってたよ〜と、職場のベテランさんに言われた。あまりに嬉しかったから、えへへそうなんです実は、なんならまだギリ1年経ってないくらいなんですよね、とニヤニヤしながら答えてしまった。キモイ。お礼くらいちゃんと言えないのかな。だけど本当に嬉しかった。アルバイト以外のろくな職務経験のない就活逸脱生で終わってた自分が、何だかんだここまで馴染んで適応できている職場で働けていることには未だに驚きを隠せない。正社員よりパートの方が多いような小さな小さな会社だけど、鶏口牛後とはよく言ったもので。自分が無理なくできる範囲のことが重要なものとして求められている場に身を置くことの重要性を、最近はひしひしと実感している。


ちょうど1年前の今日、わたしはここの職場の見学会に来ていた。3月の末も末、進路が全く決まってなかった私がなんとか出来そうなバイトを探してて見つけた、ひとつめのバイト候補だった。どうやって検索して辿り着いたのかはもう覚えてない。自分にできることなんて何ひとつ無いと思っていた癖に、やりたくないことは明確にあったから、そもそもの検索条件が多かったはず。通いやすいと助かる、髪色自由がいい、接客は絶対したくない、エトセトラ。空白の4月を目前に控えておいて我儘すぎる。でも逆に、ここまで来て妥協するとかいう選択肢もなかった。結果、なんと全部クリアしてる職場が偶然ヒットした。とりあえずWeb応募だけして旅行してたら履歴書の催促がメールで来て、帰宅後に慌てて書いて送った。今、新しく応募が来た人の履歴書到着が遅いことを話している社内で、ひっそり申し訳なく思っている。



会社見学をしてアンケート書いて別日に面接して、帰宅後すぐに電話がかかってきて採用が決まった。正直そんな気がしてた、というのが本音。だってなんかゆるそうだったんだもん。そりゃ最初こそ多少は緊張したけど、就活用の面接よりかは圧倒的に楽だった。意外とちゃんとした自己PRみたいなのもさせられてビビったけど、行きなれた場所だったせいか結構ぶっちゃけて正直に色々話してしまった。好感触って多分ああいうことを言うんだと思う。初めて手応えを感じた。初出勤、自分専用の社員証が渡された時はすごくうれしかった。学生身分を手放してしまい宙ぶらりんな人生へなっていくことに莫大な不安を抱えていた自分にとっては、居場所を与えてもらえたのと同義だった。

それでも流石にド初っ端から何でも出来た、なんてことは一切無く。やることなすこと全部分からないから聞きまくって、その度に時間を取らせてしまうのが申し訳なかった。本当にこれでいいのかって自問自答しまくる日々だった、と思う。けれどこれまでやってきたバイト経験のおかげで自分の得手不得手はガッツリ把握できていたし、これあのバイトのあの作業に似てるな?なんてこともお陰様であった。あー、浅く広くではあったけど色々経験しておいて良かった。

やっぱり労働経験って世界と自分の解像度を上げる作業だよな、と改めて感じた。自分が得意か苦手はやってみないと分かんない。そしてその度合いがどの程度なのかも。面倒だから苦手だけどまあできるのか、苦手すぎてやる度に心を削るのか。得意そうっていわれるし実際クソ踏ん張れば出来るけどその後すっごい疲れるから苦手なのか、別に好きじゃないけど出来るから得意なのかもと思えるのか。頭の中の自分はいつだって美化されていてスムーズに対応してしまうから、公然にみっともない姿を晒さないと学ぶことが出来ない。結局は経験して恥かいて後悔して何となく身につけて、のくだりを経ないとならない。まずは経験、こんな月並みで当たり前すぎることが、今ようやく身に染みている。



春が来た。ようやく、やっと、待ち侘びていた、遅すぎるくらいの、春が来た。去年はむしろ来てほしくなかったくらいに怖かった春が、強すぎる陽気を連れてやってきた。職場の観葉植物に日光を当てるために外へ出す。ぽかぽかどころか少しじりじりとした照りつけを感じるほどの日差しが雲の切れ間に顔を出す。なんとなく、そこの芝生に寝転んでみたくなった。いやいや仕事中だしな、けど一応休憩中だし、でも汚れるかも、でも、あー、もういいやっちまえ。地面に手をついて尻をつく。手のひらがチクチクしてちょっと痛い。ひんやりした感触がジーパン越しに伝わって来た。もしかして湿ってる?と不安に思いつつも、えい、と寝転んでみると、なんかやっぱり湿ってる気がしてすぐにやめた。けどその一瞬、視界いっぱいに広がるすっきりとした青空は、目に焼きついている。


もうすぐ今年度が終わる。来月も再来月もきっと生きてるだろう、という憶測のもとで既に予定が詰まっている。来年度、たぶん私は生きている。しかもそれがちょっと楽しみまである。変わっちまったな、わたし。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?