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黒いわさわさ、白いふさふさ






愛犬が2匹います。ブラックタンのおばあちゃんチワワと、クリーム毛並みのおてんばチワワ。宇宙でいちばんかわいい黒と白のいぬたちです。どっちも1月が誕生日なので、今日はいぬたちのお話をします。(ギリギリ1月に滑り込みであげた)





可愛い可愛いまっくろくろすけとは、小学生の時に出逢いました。今ではすっかりおばあちゃんのいぬが、まだコロコロの仔犬だった頃です。何がキッカケだったかは忘れたけどとにかく犬を飼いたい欲がMAXだったガキこと当時のわたしは、犬と触れ合える系のお店に行っては気に入った子に勝手に名前をつけていました。

当時わたしはあるお店で出会ったトイプードルの子をすごく気に入って、でも2回目に行った時にはもういなくて、すごく落ち込んでいました。あまりに大袈裟なショックの受け方をしているわたしを見かねた親が、最近新しいショップができたみたいだからそこ行ってみる?と提案してくれました。その新しいお店で見た、ちいさなちいさなまっくろくろすけに、ハートを撃ち抜かれました。

両耳が垂れた黒いけものは、ケースの中をうろちょろしてはぴょんぴょん跳ねていました。指を近づけると、白い足先をガラスにかりかりしながら追いかけてきます。いやかわいい。あまりにかわいい。例のごとく速攻で名前付けました。

それからはもう駄々という駄々をこねまくり。一緒に撃ち抜かれちゃったお母さんに可愛さを力説してその気にさせ味方になってもらい、ペット反対派の父と姉をとにかく説得しました。しかし家族はわたしが如何にワガママで口だけなのかを理解しており、また命を預かるということの大変さを分かっていたから、そう簡単には頷きません。

だけどわたしはそんなこと微塵も考えていないので、大丈夫だよわたしちゃんとお世話する!毎日さんぽ行くから!!はやおきしてごはんあげるから!!!と主張しました。が、ぶっちゃけこんなの飼ってもらうための虚勢であり虚言でしかありません。結局、毎日の早起きや散歩などは殆どやれませんでした。つか最初は張り切ってやってたけどだんだん起きれなくなったりして最終的には親にほぼ任せてました。本当にクソガキです。

そして遂に、今度の休みにもう一度来てまだ居てくれたらお迎えしよう、というとこまで話が進みました。こうなったら後はもう祈るのみ。お願いまだいて、誰もあの子を見つけないで、必ず行くから、それまでいい子にしてるから。




待ちに待った次のお休み、ぎゅっと目を瞑って念じながら入店。祈りが通ったのか、そこにはあの時の仔犬。わたしは大喜びです。大人たちが真剣にお迎えするためのお話やらをしているのもろくに聞かず彼女を抱っこをしていたら、あまりに拘束時間が長かったらしく解放されたらすぐトイレをしていました(ごめんね)。



数日後、彼女はうちの家族になりました。車での移動中、いぬが箱の中で縦横無尽に動き回るから支えて持つのが大変だったなー。ケージの中でも柱の1番下くらいの身体の大きさなのに、人間が近づいていくとてっぺんまで飛び跳ねて来てくれるのが可愛くて可愛くて仕方がなかった。当時はまだスマホがなかったから赤ちゃん時代の写真動画が手軽に見れないのが悔やしい。色んなことしてたのにあんまり動画にのこってないのが寂しい。ゴミ箱からティッシュを漁っていくいぬ、洗濯物の山からパンツを咥えて走り去るいぬ、朝の支度中時間がない中で靴下を持ち去っていくいぬ……。そんなんばっかりやないか。

でも私がスマホを持つようになった頃にはすっかり泥棒癖は落ち着いてきちゃって。カメラ慣れしたもんだから、スマホを向けると直前までどんなに吠えててもイイコにおすわりしてみせ小首を傾げてみせる。さっきまであんなに膝に乗せてソファに乗せて遊んでと立ち上がったしつこかったのに。なんなのよ良い子ぶっちゃって、かわいいんだからもう。

「撫でて」と永遠に前足で催促してきたと思えば、呼んでも来ないし。近寄ってくる素振りだけ見せていざ抱っこしようとすると逃げてくし。体調悪い時は決まってスススっと寄り添って寝てくれるんだよな。ちくしょう、ツンデレは好きじゃないけど君は特別だ。


お散歩では歩いたり歩かなかったり、というかほとんど順調に歩いてた記憶が無い。1on1だと全っ然歩かないけど、ついてくる人間の数がいっぱいだと歩いてくれる。だからお散歩は複数人で行くようになって、いぬをソファに乗せてあげたいからリビングで過ごして。そうやって自然といぬを通して、家族で過ごす時間が増えていったんだろうなあ、なんてふと思いました。飼うの反対派だった父姉もすっかりメロメロになりました。動物が苦手だったはずの姉はそんなのどこ吹く風とでも言わんばかりの溺愛。いぬが家族の平和を保ってくれているといっても過言では無いです、ほんとうに。







だから、いぬが心臓病になったときは本当に本当に本当に怖かった。幸か不幸かコロナ禍だったから誰かしらが家にいて異変に早期で気づけた+車で行ける範囲に名医がいた、という奇跡コンボのおかげで、投薬と手術でなんとかなりました。
手術当日、施術は無事終わったけど目覚めるまではまだ分からない、いつ意識が戻るかも……とのこと。とりあえず近くのペットショップでごはんやおもちゃを見つつ、ついでに仔犬とも触れ合いながら待っていたら、ちょうどポメを抱っこしようとしてた時に病院から「目覚めました」と連絡があった。なに他の子抱っこしてるの起きたんだけど、とでも言わんばかりのスピードで、思わず笑っちゃった。ごめんごめん。おまえが世界一かわいいよ。頑張ってくれてありがとう。



これを経て、私の頭にはいぬとのお別れのときがチラつくようになりました。小型犬は10歳を超えてくるとかなり高齢です。病気だって一度は乗り越えたものの、いつどうなるか他の何かにかかってしまうかなんて分からない。特に母は、いぬの一件の渦中ではとても不安がっていて老け込んだようにも見えるくらいでした。私はここに来て初めて、「犬を飼う」現実を思い知ります。ここまでに10年かかった。小学生の私が全く考えてなかった命を共にする責任の重さがドスンとのしかかってきて、怖くなりました。病院に連れていくにあたって、保険やらワクチンやら手続きに必要なものを何も知らないこと。当時の自分では何かあった時に1人で病院に連れていくことすらできないこと。金銭的な補助でさえも自分の力ではできないこと。私はなんて無力なんだ、昔の私はなんて無責任だったんだと初めて気づきました。


そんな中、家族の中でもその他まあ色々と激動の変化を迎えた結果、だんだんと『2匹目を迎えたい話』が色濃く浮上するようになりました。元々ちょこちょこ出ていたけど現実味を帯びていなかったものが、かなり前面に出てくるようになりました。もう命を預かる恐ろしさを知ってしまった私は、正直ホイホイと賛成はできませんでした。自分はまた犬に何もしてあげられないのではないかとも。だけどやっぱり、身勝手にも程がある自覚は痛いくらいにあるけれど、いぬを失った後の家族を考えることの方が恐ろしかった。加えて、幼い頃は無邪気に見てたペットショップも、生体販売に関するモヤが自分の中に生まれてきたせいでまあ〜〜進まない。ショッピングモールでお店があれば覗き、触れ合い、考えては直し……保護犬を調べ、考えては考え直し……を何度も繰り返しました。



そしてある日、いぬを連れてちょっと遠くの公園へ家族で出かけ、帰り道にいぬが居たお店の系列店へ足を運んでみたそのとき、ちっちゃな白いふさふさに出逢いました。
元気いっぱいな子犬たちがガラスの向こうで跳ね回る中では比較的大人しく見える子で、もうすっかりおばあちゃんな我が犬でも仲良くやれそうかも、と感じました(ところがどっこい家に来てみれば超わんぱくで、上の犬に突撃かましてる)。そして何より、お母さんがめちゃめちゃに惚れ込んでいました。うちはお母さんの希望を重んじる傾向がかなり強いです。いちばんお世話してきてるのでそりゃそう。




その他にもいろーーーーーーーんなことを考え話し合った結果、その子を家族にお迎えすることにしました。白いふさふさは初めこそ恐る恐るしていたもののわりとすぐ慣れて、あの大人しさはなんだったの?ってくらい駆け回っては全てに突撃する勢いになりました。うれションすごいわ終始落ち着かないわトイレは上手くいかないわ、えっ子犬ってこんな大変でしたっけ?と思わず先輩犬を振り返ると、相変わらずトイレを終えたら直ぐに拭きやすいようこっちへケツを向けてくれる。いつからそんないい子になったん?この走り回ってじっとしない子犬に教えてやってくれ。


さすがに私も大人になりましたので色々お世話してますが、上手くいくときと難しいときが半々で。やめてとかもういいよとか全然聞かないから窒息しそうなほど力強く顔を舐めまくってくるし、トイレシートはボロボロにするし、歩く度に足にまとわりついて噛んでくるしで、まあ〜〜大変。だけどびっくりするほど人懐っこくて呼んだら絶対飛んで来るし、お散歩は結構好きみたいで順調に歩きます。しかもここに来ての発見なのが、白いいぬが1匹増えたことでまっくろくろすけも順調に歩くようになったこと。足が悪くなってきたから長くは歩けないものの、以前のようにテコでも動かないほどビタ止まりして帰り道の方向を見つめるようなことは減りました。もしかして一緒に散歩する仲間がもっと欲しかったのかな。



そんな生後数ヶ月のパワフルな成長具合とは反比例に、おばあちゃん犬はどんどん弱っていく一方。いつしか歩く姿も常にふらふらな様子になってきました。身体を支えきれず、自分の身震いにすらも耐えられなくて転げてしまうくらい、足腰が弱ってきたり。目が上手く見えてないのか、ごはんのお皿を探すような仕草をしていたり。いつもはそんなことないのに、まるで存在を確かめるように私の手を積極的に舐めてきたり。トイレをよく外すようになってきたし、踏ん張る姿勢すらもしんどいみたい。ご飯の前でお座りもできなくなってきた。それでも和室の布団の上でヨタヨタになりながら近くに来て丸まって、私の手を前足でちょいちょいして「撫でれ」といってくる姿は変わらず可愛くて、でもなんだか今にも息を引き取りそうで、もう会えなくなっちゃうような気がして、1人でこっそり泣きました。お願いだからまだ居なくならないで……。

追悼みたいにしたくないから、元気なうちに記録をたくさん残しておきたくて。どこまでも勝手な人間ですが、どうかゆるしてください。もうあなたたち抜きの生活は考えられないのよ。朝、7時頃になると起き出してトイレをしてたまに外して飼い主を強制起床させ、さぁリビングへ行こうとしつこく顔を舐めてくる下の子。一緒に寝るようになったおかげで部屋が片付いた。夜、7時頃になるとのそのそ起き出して、ごはんを貰えるまでねだり続ける上の子。ご飯をあげても吠えてくるから、なんの要求なんだそれはってときも全然まだある。でも、うるさい吠えもしつこい舐めも、ウザったい時もあるけど無いと寂しいんだよなー。君たちのおかげで生活がいい方向に回ってるんだよ、冗談抜きに。あー、世界の何よりもだいすきだよ。お願いだから一生そばにいておくれ。13歳と1歳のお誕生日おめでとう。神様、頼むから人間と犬の寿命を逆にしてくださーい……

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