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人間 vs ロボット

株式会社人間は大阪の「京町堀」という町にあります。

ここはデザインや広告の会社が多く、かっこいい言葉で言うなれば「クリエイティブな地域」と言えるでしょう。そんな京町堀の一角にある「愛晃ビル」という古い雑居ビルの中に人間はあります。

今朝、会社のポストを開けると1枚のチラシが投函されていました。

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オフィスに ロボットが やって来る!

なんとも斬新なデザインとコピー。
強烈な印象に残るほどでもありませんが、どこか歯がゆい違和感を残してくれます。

「なにこれ」
「あ、それ今朝投函されてたんですよ」

まず食いついたのは人間の「できるデザイナー」こと松尾さん。
「できるデザイナー」の目にもこれは異質なものだったらしく、吹き出すのを押し殺しながらチラシを眺めています。

「やっぱ、デザインはこうでなくちゃね(半笑)」
「そうっすね(半笑)」

楽しげな雰囲気を感じ取ったのか、ぞろぞろと人間メンバーが集まってきます。

ロボットにできることは、ロボットにやらせましょう!
ロボット件費は、何と7万5千円程度/月
もちろん労働保険料、社会保険料も必要ありませんし、賞与だって払う必要はありません!

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結構書いてることも過激で面白い。
「ロボット件費」って完全に造語なのに全然上手くないんです。

「『ロボ件費』の方がいいのに…」
そこまで興味なさげだった山根さんもついに呟きます。

で、これ何のサービスなんですかね。
よくよく読んでみても、あんまり具体的なことを書いてないんです。

「ロボットに仕事をさせよう」
「ロボットで効率化させよう」
みたいなことだとは思うのですが、「何を」かが一切書かれてません。

掃除をやってくれるんなら「ルンバ」みたいなことでしょうし。
会話ができるのなら「pepper」みたいなことなのでしょう。
ただ、このチラシにはそれが1mmも書かれていません。

ふと思いました。

「もしかしてこれって、スゴいサービスなのでは?」

「何が」を書かないのは、「何でも」できるからなのではないでしょうか。
炊事、洗濯、肩もみ、買い出し、ホチキス留め、資料作成、警備、ブレスト、企画、ディレクション、果ては経営まで。

考えただけでゾッとします。

このロボットはもしかすると雑用担当から入って、どんどん人の仕事を奪い、最終的に経営の実権まで握ってしまう、ロボット界からの刺客なのではないでしょうか。まさにターミネーターです。

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なんて、あるはずが無い。
それこそ「クリエイティブ」ではない作業系だけです。

ひと盛り上がりしたあと、そのチラシを手にとって呆然とする男性が一人いました。総務の白井さんです。

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「白井さん、どうしました?」
「…」

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「白井さん?」
「…」

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「コイツ…」

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「俺よりもらってるやん!」


全員爆笑しました。
なんとロボット件費の方が白井さんの人件費より高いのです。

だから、白井さんがこの会社にいるのかもしれません。

ロボットより安いから。
誰も拾わないボケを少し照れながら発表するけど、安いから。

人間 vs ロボット

将棋の電王戦などで「人間が負けた」と言われますが、まだまだそんなことはありません。やっすい人件費でこき使われつつも、仕事に喜びを見出してせっせと働く白井さんや、自分のような人間がいるのですから。

サポートされたお金は恵まれない無職の肥やしとなり、胃に吸収され、腸に吸収され、贅肉となり、いつか天命を受けたかのようにダイエットされて無くなります。