屁ッセイタイトル2のコピー__44_

知らないアドバンテージ

あいちトリエンナーレ問題。

正直に申しまして、私はTwitterのトレンドに出ている文言をチラ見した程度にしか理解していません。つまり知らないということです。行ったのに。

金髪が何故怒られているのか。
どんな展示をして、どんな避難を浴びているのか。
そもそも現代アートとは何か、草間彌生はなぜオカッパなのか。

知らないんです。

しかし、今日は編集部の方々とのランチで「あの問題を受けて、文化ってどうよ?」という話になりました。

ちゃんとした自分の立場を持っていて、朝から嫌な気分になりたくないからとTwitterを見ない人。聞くだけで虫酸が走るから拒絶している人。そして何も知らない私のような輩。

だから「どう?」って聞かれても困るんです。
ちゃんと怒っている人に申し訳なくなるほど、無関心なので。

これは相手の立場に立って考えると、とても無礼な行為です。
だっていきなり通行人に自分が「お前の母ちゃんで〜べそっ!」と罵られた時に、隣にいた友人が「お前の母ちゃんのヘソに興味ないからなあ」と無関心を露呈させたらムカつくでしょう。

それと同じです。

私はどうにか必死で話を合わせようとします。

「まあ、でも簡単に定義できるものでもないですからね」
「アートって奥が深いですよね」
「あ、ご飯おかわりお願いします」

私がランチ中、まともに話したのはこの程度。
これほど無味乾燥なコメント、逆に失礼な気がしてきます。

そこで私は「企画する」という方法をとりました。
とりあえず問題が起きていそうなので、視点を変えて提案をしてみるのです。するとポジティブな「改善する」という方向に意志が向きますから。

「アートの題名をAIとかに読み込ませて、人間の意志が一切入らない『絶対炎上しないアート』とかできませんかね?」
「エロ単語のを卑猥度順にランクつけて、各国の人がどこまで許せるか調査して『エロ表現の自由度ランキング』とかどうでしょう?」
「お水、お願いします」

結局、大したアイデアも思い浮かばず、わたしは水をすするだけのデクノボウと化しました。どうしたものか。

ですが、話はだんだんと「でも、知らない人がほとんどだよね」「Twitterでトレンド入りしてもせいぜい1万とか3万とか、日本の人口の数%やん」みたいな流れに。

そんな中、ライターのニシキドさんが一言。

「あいちトリエンナーレって何ですか?」




「ええぇ!?」

一同が綺麗にざわめきました。
全く知らない人がいるだなんて。

でも、その分ニシキドさんはスマブラが超強いし、ドラクエも死ぬほどやり込んでいる。トリエンナーレを捨てて得たものがたくさんあるのです。

知らないものはしょうがない。
興味がないならしょうがない。

知っているものが人を形成するのなら、知らないことも人を形成するはずです。クミンが入っているカレーと、入っていないカレーは味が異なるでしょう?その違いは「クミンが無い」ということから生まれているのです。

無いことも個性。
だとするなら、無いことで得ているものがあって当然。

知らないアドバンテージだってあるということです。

サポートされたお金は恵まれない無職の肥やしとなり、胃に吸収され、腸に吸収され、贅肉となり、いつか天命を受けたかのようにダイエットされて無くなります。