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【News】デジタル人民元トライアル:中央銀行が国民に総額3,000万元のおひねりを配る(20200103)

【一言コメント】
今年の中国はデジタル人民元の普及がビッグトピックスの一つとなりそうです。
今日ご紹介の下記記事では、デジタル人民元の普及によってアリペイ・Wechatペイの決済ビジネスにおける天下は終わるという論調ですが、実際のところどうでしょうか?
元々こうした電子決済を含むプラットフォーマー発の諸サービスはそれまでの社会において足りなかったもの・問題になっていたことを起点に各社・イノベーターが開発・展開し始めたものでした。
つまり単に「電子決済」自体が魅力的な商売であることも間違いでは無いと思いますが、元々の決済の不便さに目を付け、それを解決しようというマインドからアリペイが生まれ、Wechatペイが生まれという経緯だったと思えば、今既に世に出回っている決済サービスをデジタル人民元が代替するということはあれど、その先に進化していく・UXの良いサービスにするという部分においては、マインドやノウハウが足りているか、要注目ポイントであるように思います。(実際「中国銀行」、「中国工商銀行」といった国有銀行が提供するサービスの利便性は手放しで良いかと言ったら疑問符がつくところなので…)
プラットフォーマーが市場を独占しデータを搾取することを抑制するのは一つのあるべき方向性だとは思いますが、それをしている内に「多様な利便性の良いサービスの消失」ということが起きないだろうかという懸念があります、最適なバランスはどこにあるのでしょうか。

【Newsの概要】
2020年10月、中央銀行は深圳市の市民に対し一人当たり200元、計5万人に対し、デジタル人民元形態で総額1,000万元のおひねりを配った。
これはデジタル人民元のトライアルで、深圳市に続き、12月12日には蘇州市民に対しても、今度は計10万人に対しおひねりを配り、市民はこのトライアルにてデジタル人民元の利便性の高さに大いに満足しているという。
今後デジタル人民元は雄安新区、成都等でも市民に試用され、京津冀、長江デルタ等が続く予定で、2~3年以内にはほぼ全国的な普及が実現する見通し。
トライアルに参加する市民のデジタル人民元の取得方法は非常に簡単で、市当局から送られてくるショートメッセージのリンクよりデジタル人民元ウォレットのAPPをダウンロードし、ログインをすればそのウォレットにデジタル人民元が入金される仕様。
中国では既にアントグループの「アリペイ」・テンセントの「Wechatペイ」が大いに普及しているが、これらとの比較感でデジタル人民元には以下のメリットがある。
① オフラインで使用可能(APPを開き、互いのスマホを軽く接触させれば支払が完了)
② 手数料が不要(低額ではあるが、アリペイ・Wechatペイには手数料有り)
③ 法定通貨であり中央銀行がバックについている(安全性が高い)
これより中国国民の決済方法は、民営のキャッシュレス決済から、デジタル人民元に確実に移行してくると見受けられる。
尚、デジタル人民元は今回のトライアル中、プラットフォーマーであるJDが展開するECモールで使用可能となっていた。
「デジタル人民元との親和性」という面においては、それまで電子決済手段(京東ペイ)を持つもその普及に苦戦していたJDが、数あるプラットフォーマーの中から一歩リードしたと言える。
(新業財経等の記事から筆者が引用&要約)

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