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挑み続けるパフォーマー武藤将胤

シャララ万博カーニバルの魅力の1つが、世代やジャンルの垣根を越えたコラボレーション。そこから生まれる新たな「交流」は心揺さぶる感動的なパフォーマンスを生みます。

今回ご紹介するパフォーマーの方は武藤将胤さん。
武藤さんはご自身が難病「ALS(筋萎縮性側索硬化症)」でありながらも、持ち前の明るさと情熱でどんな壁をも乗り越えようとなさっています。
そんな武藤さんにパフォーマンスをする熱い想いを聞いてきました!

武藤将胤
1986年ロサンゼルス生まれ、東京育ち。2014年10月27日に難病「ALS」の宣告を受けるも、ALSの啓蒙活動を行うことを決意し、一般社団法人「WITH ALS」を立ち上げ代表を務める。また視線入力を応用したVDJプレイを行う「EYE VDJ」プレイヤーである。さらに「01」というファッションブランドを立ち上げるなど幅広く活動する。

武藤氏が戦う「ALS」とは?

ーー「ALS」という病気はまだあまり認知されていないと思います。実際にどのような病気なのですか?

武藤:ALSという病気は運動神経だけが徐々に衰えていって、全身が動かなくなっていく病気です。手足を動かす自由も、こうやって声を出してお話しする自由も徐々に奪われていきます。

しかし、最後まで知能や感覚の働きはみなさんと同じように正常なままです。進行が進むにつれ、自分から意思伝達が難しくなってしまうのです。

このALSという病気は極めて進行が速いのですが、いまだに有効な治療方法が確立されていません。

それでも僕は、そう遠くない未来に「ALSが治る日」が必ず創れると信じています。そのために今の自分にできることを全力でやっているんです。

ALS宣告からわずか2時間で前を向けた理由

ーーALSの宣告を受けた時はものすごいショックがあったと思います。それでも様々な分野で武藤さんは活躍されていると思いますが、どうして前を向けたのですか?

武藤:僕は2013年の9月頃から異変を感じていました。病院に検査入院しても病名がはっきりしないことに苛立ちもありました。そんな中、セカンドオピニオンを求めて仙台の東北大学病院へ向かい、そこでALSの宣告を受けました。

正直、ALSと宣告された直後はものすごいショックで、頭の中が真っ白だったっていうのがリアルなところです。それでも、新幹線で東京に戻るまでの2時間でなんとか気持ちを前向きにしたいなって思ったんですね。

それは今思い返すと2つの理由があったと思います。
1つ目は強がりでもいいから、前を向いて東京に戻ることで家族、仲間、そして当時プロポーズ前の妻に「俺はもう前向いてるから大丈夫だよ。安心して。」って伝えたかったんです。強がりでもいいから前を向こうって思えたのが1つ目の理由ですね。

2つ目は、残りの限られた時間をくよくよ悩むより、自分の歩みたい人生に時間を使おうと思えたからです。ALSという病気は治療方法が確立されてないないですし、先生から「余命は3年から5年」というお話もあったので、生まれて初めて有限の時間っていうのを目の前に突きつけられました。

「本当に限られた時間なんだとしたら、何に時間を費やすことが1番後悔がない人生なんなんだろう」と帰りの新幹線の中で考えさせられました。自分の原点に戻って考えると、大学生の頃からのビジョンである「社会を明るくするアイデアを形にし続けていくんだ」っていうのを強く思い返しました。

ALSとともに生き、戦うことを決意しました。

眼の動きさえもパフォーマンスに

ーー武藤さんは今回、子どもたちやアイドルとコラボレーションすると伺っています。武藤さんはどのような形でパフォーマンスなさるのですか?

武藤:僕はもうほとんど手の自由がきかなくなってしまっています。しかし、比較的最後まで残る眼の動きを使い、音楽と映像をコントロールしてパフォーマンスできるんです。

ーーそれが眼の動きでVJとDJを同時プレイする「EYE VDJ」ということですね?

武藤:そうです。人間の目は動かすと微細な電気を発しているんですね。それを感知するセンサー付きのメガネ型デバイスJINS MEME(ジンズ・ミーム)を活用しています。そして音楽と映像を眼の動きだけで同時にプレイするシステムを開発し、音楽フェスや様々なイベントでプレイしています。

ゲームセンターなどにあるジョイスティックを想像してみてください。僕の場合、手の代わりに、目を左右上下に視線を動かすことによって操作しています。選択したい場合は、瞬きで決定しています。そのシステムを使って、好きな音楽や映像をかけ、そこにエフェクトで変化をつけたり、メッセージを表示したりしているんです。

武藤将胤の愛され力

ーー武藤さんは周りの人からすごい愛されてるなという印象を受けます。チームの仲を深めたり、コミュニケーションをとる上で意識されていることはありますか?

武藤:お互いにどれだけ真剣に相手のことを考えて助け合えるかが大切だと思います。それはALSになる前から、今でもずっと考えてますね。今、僕がこの体になったとしても、僕に助けられることがあれば全力でやりますね。

本気で向き合って、お互いに助け合えばいいと思うんです。お互いに相談すればいいと思うんです。僕でも助けられたり力になってあげられることがあると思うので、僕は一生懸命最後までやり続けたいです。

例えば、ALSだけでなくても大きな怪我をしたりして苦しんでいる人の気持ちが僕は痛いほど分かります。そして、その悩みや苦しみからきっといつか救われる日がくると思っています。その日が来るまで僕は「一緒に頑張りましょう」と声をかけたいですね。

人生初めてのパフォーマンス

ーーこのシャララ万博カーニバルが子どもたちは初めての大舞台となります。武藤さんの初めてのパフォーマンスはどうでしたか?

武藤:僕の初めてのパフォーマンスはおそらく4歳ぐらいの時だったんですね。僕自身はアメリカで生まれて、幼少期をアメリカで過ごしました。その時に、近所の方々が集まるハロウィンパーティーで、一緒にダンス踊るっていう催しがあったんですね。そこで初めて踊ったのが僕の初めてのパフォーマンスだったと思います。

そこにはいろいろな国籍の方がいて、その日初めて出会った方やあまり喋ったことのない方とかもこのダンスをきっかけにして、みんなで達成感を分かちあって、仲良くなれました。

垣根を越えて最高の仲間を

ーー最後に一緒にコラボレーションする子どもたちや、アイドルさんたちに向けてひとことお願いします。

武藤:先ほどもお話したように、みんなでパフォーマンスすると様々な垣根を超えて仲良くなれます。今回のパフォーマンスを通じて最高の仲間をみなさんには作っていただきたいなって思います。


こんな熱い想いの武藤さんがパフォーマンスするシャララ万博カーニバルは8月31日です。開催まで残り3週間となりました。これからもパフォーマーの方にどんどんお話を聞きにいきたいと思います。次回もお楽しみに!

そして、今回のインタビューはなんと動画でも見ることができます!
武藤さんから熱いメッセージをいただいてきたので、ぜひこちらもチェックしてくださいね。

さらに詳しいシャララ万博カーニバルの情報を知りたい方は以下のリンクへからお願いします。当日みなさまが来てくださることを心より楽しみにしています!

テキスト・編集/神谷恭汰
撮影協力/ケン 横田真紀 倉地健一
特別協力/神保慎一郎

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