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「村をつくる」はリアルなあつ森?!コモンズとテクノロジーの関係

コモンズ(共有資源)は、共有地や入会地といったアナログな世界から観察されてきたこともあり、一見テクノロジー(特にデジタル技術)とは距離がありそうに見える。

でも、実は結構絡み合っているのだ。今回は、コモンズとテクノロジーの関係について考えてみたい。

執筆:丑田俊輔(シェアビレッジ代表)

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複数の視点から見えてくる未来のコミュニティの姿

数年前に巷で話題になった『限界費用ゼロ社会』(ジェレミー・リフキン著)という本がある。テクノロジーが加速度的に進化していくことで、徐々にモノやサービスを生産するコストがゼロに近づいていくという考察だ。

その過程として、「共有型経済(シェアリングエコノミー)」が盛り上がりを見せていく。たどり着く先は、売り手・買い手の境目が溶けた「生産消費者(プロシューマー)」による「協働型コモンズ」、と予測する。

同じ時期に出版された『エクサスケールの衝撃』(齊藤元章著)もパンチがあった。スーパーコンピュータの演算性能の進化が特異点を越えていく未来を、技術者の視点から描いている本だ。分厚すぎるが。

テクノロジーの発展は、どちらかというとアナログな世界の手触り感やつながりを弱めていくように見られがちだし、実際そうしたことも起きる。けれど、その先に「コモンズ」や「コミュニティ」という合言葉で合流するかもしれない、という視座は面白い。

テクノロジーがコモンズという概念を拡張する?

また、デジタル技術は、「コモンズという概念を拡張する」上でも密接に関わってくる。
物理的な場所や住民票にとどまらないコミュニティをつくりやすくなったのも、インターネットの発明を起点に、SNSをはじめ、場所や時間を越えたコミュニケーションのコストが劇的に下がったことが大きい。

一方で、Facebook CEOのマーク・ザッカーバーグ氏は、2020年のスピーチで"A New Private Social Platform"と題し、グローバルに繋がりすぎた世界で、手触り感や目的を持てる小さなコミュニティを再構築していきたいと語っていたりもする。(“コミュニティテック”を標榜しはじめたShare Villageとも共鳴するメッセージだった)

そして2021年、そのFacebook社をはじめ様々な企業が投資をしている「メタバース」という概念も頻繁に聞かれるようになってきた。デジタル空間上で様々な営みが生まれ、その仮想世界の中にコモンズを持ったり、コミュニティが生まれはじめている。

ぱっとイメージしやすいところだと、「サマーウォーズ」や「龍とそばかすの姫」の世界観などだろうか。

リアルもバーチャルも余白だらけ

小中学生達の放課後を見ていると、「あつまれどうぶつの森(以下、あつ森)」や「フォートナイト」の中で友達と待ち合わせをしたりもする。バーチャルのみの付き合いや人格もあれば、リアルな世界と地続きだったりもする。自然と行き来をしている、というか、“行き来”と認識していないくらい自然だ。

そう、リアルかバーチャルか?という二項対立はもはや死語になりつつある。いずれにせよ、コモンズはデジタル空間へと拡張されていく。この流れは止まらない。(そういえば最新のWIRED誌の特集は「NEW COMMONS」!)

同時に、縮小高齢社会をひた走るリアルな世界においても、山・遊休地・空き家などなど、資本主義の隙間からこぼれ落ちる潤沢な資源が湧き出している。

そういえば、Share Villageが掲げる“村つくろう。”という合言葉は、「リアルあつ森だね!」と言ってもらえることもある。

(あつ森も、シリーズの最初は「村」をつくるところからはじまった)

確かに、どちらかというとリアルワールドが得意なShare Village。自分も、渓流釣りをしに源流域の大自然にダイブしていると、「やっぱリアルだよねぇ〜!」とか話していたりもする笑

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だけど、コモンズの眼鏡をかけて眺めると、リアルもバーチャルも、アナログもデジタルも、ぱきっと分ける必要もなく。共通するのは、とにかく可能性に溢れているということ。

あつ森も、Horizon Worlds(Facebookのメタバース)も、そしてShare Villageも(規模は全然違うけど!)、ある意味ライバルであり、コモンズを拡張する仲間なのだ。

この余白だらけの世界、遊び尽くさないともったいない!

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