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渋谷の街をシェアで豊かに。「PLAY! SHARE SHIBUYA」の構想の秘密とこれからの街づくり

「シェアって何だろう?」を考えるインタビュー企画。今回は、「PLAY! SHARE SHIBUYA」に取り組む渋谷区観光協会 理事長でありシェアリングエコノミー協会のアドバイザーでもある金山淳吾さんと、渋谷区観光協会 事務局長の小池 弘代さんに突撃インタビュー。なぜ「シェア」なのか、今後どのような取り組みをしていくのか。そして渋谷はどのような街になっていくのかを伺いました。

15のシェア事業者と新たな観光資源の活用を目指す「PLAY! SHARE SHIBUYA」は、渋谷区内のユニークスペースや商店街、渋谷区民はもちろん、渋谷に関係する様々な方々のスキルやモノ、時間といった「資産」を新たな観光資源としてシェアすることで、これまでの観光サービスとは違った新しい体験を提供し、地域内のさらなる観光振興に取り組むことを目指すという取り組みです。

20世紀の経済成長の仕組みから、シェアリングエコノミーという新たな時代の仕組みへ。

20世紀における個人の経済の仕組みって、年齢が上がるにつれ、もらえるお金が増えるというものだったんですよね。若くてエネルギーがあり、革命を起こしていきそうな人たちにはあまりお金をあげないで、思考も衰えて体力も衰えた頃にお金を持てるようになる。そういう人たちが悠々自適に過ごすことで世の中のお金が循環する仕組みだったんですね。

その結果何が起こったかっていうと、若い人たちが何のために学び、自分にはどんなエネルギーやアイデア、想像力があるのか分からなくなってしまったんですよ。

会社に行って、会社や事業のノルマをこなせば給料がもらえる。会社の中で頑張って仕事をしても、成長曲線は会社に司られてしまっているので、自分がやりたいことをやれない、「やる気」と「やれること」のバランスがすごく悪いんです。会社に所属して、生きる術としての仕事「ライスワーク」をこなすだけになってしまってたんですね。

それが変わっていくきっかけとなったのがインターネット。「こんなに自由にビジネスができるんだ、こんなに自由にお金を稼ぐ人がいるんだ」ということを知って、自分がやりたいことが発信できるようになり、ソーシャルメディアでいろんな人と繋がれるようになった。価値観やファッション、興味・好奇心というものと新たに出会える、再会できる仕組みが2010年くらいから整ってきました。

いろんな情報や新たな繋がりの仕組みが整ったことで、「自分のスキルややりたいことを仕事にしたい」と考える人が増えて、「何かできないかな」と考えたときに、シェアリングエコノミーがすごくマッチする、ということに多くの人が気付き始めているんですよ。ある程度の経済実現は会社でやるんだけど、自己実現はシェアリングエコノミーで、と考える人が増えていると思うんです。


シェアリングエコノミーが広がるのは「弱さ」。シェアで自信や力をつけて豊かな社会に。

自己実現と経済実現って、シェアリングエコノミーみたいな仕組みじゃなくても、起業して人を集めてスタートアップ作って資金調達して、ってやっていくこともできるんです。でも、誰もがそこまでの強さはない。だけど何者かにはなりたい、っていう内なる野望や社会参画共感がシェアリングエコノミーに注目してるんじゃないかなと思ってます。

自分で起業していくような「強い人」と、そうではないけど何かしたいと感じている、あえてわかりやすく表現するなら「弱い人」というのがいて。弱い人の方が母数が多いんですよね。でも弱いことって全然悪いことじゃなくて。弱い人たちが居ることは、コミュニティーや社会作りには必要なことなんです。昔国語の教科書に「スイミー」ってあったと思うんですけど、あんな感じで、弱い人たちは群になって社会を動かす力になるんです。大きな力や野望は持たないけれど、ちゃんと会社に所属して、社会の中で安定的な生活を得ながら自分の付加価値を作るために集まる。弱さを認識した上で、社会を変えていこうと力を発揮するのは、すごく望ましい形の一つなのではないかと思います。だからこんなにシェアが広がるんですよ。

社会や街というのも、少数の強い人が作るのではなく、多数の弱い人たちが緩やかに変化をさせていく方が豊かさにつながると感じていて。観光協会を立ち上げ直した時に、「Play Shibguya」をテーマにしてしまうと、僕が作った企画やシナリオに強制的にみんなを巻き込まなきゃいけなくなるんですよね。そうではなくて、いろんな人にいろんな楽しみ方や体験、カルチャーを作って欲しい。そういった思いを込めて「Play Diversity Shibuya」になったんです。

日本にはいろんなところに八百万(やおよろず)の神がいるとされていますよね。いわゆる「一神教」が一つの強いサービスだとしたら、複数のサービスをシェアして新たなサービスや価値を提供するのが八百万の神。一千万、二千万の遊び方や楽しみ方、価値観がより渋谷を楽しくしていって欲しいと思っているので、シェアというシステムを応援したいし、それによって弱い人たちが自信や力を持てるようになれば、社会は豊かになると思ってます。

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渋谷をライフワークという2枚目の名刺を持てる街、ダイバーシティにしていきたい。

僕らは多様性=ダイバーシティの力ということを観光協会という組織として考えていたわけなんですけど、同じことを考えていたのが渋谷区長なんですよね。
渋谷は「ちがい(個性)をちからに変える街」という基本構想を持っているんです。自分の中に眠る個性をしっかり力に変えていけるきっかけとやチャンスがいっぱいある街だよ、と。「you meke shibuya」というのが渋谷のブランドアイデンティティなんだけど、あなたが渋谷らしさを作る、あなたは渋谷らしさの1人なんだ、というのをテーマに掲げているんですね。できればみんなに2枚目の名刺的なものを持って欲しい。自分のライスワークは持ちながら、ライフワークで誰かと繋がりながら自己実現している街づくりをしていきたいなと思ってるんです。

その上で市民向けの基本構想が7カテゴリー定義されていて、子育て・福祉・健康・スポーツ・防災。この辺はだいたいどの街でも定義されています。残りの2つが渋谷にしかない面白い基本構想で、「コミュニティのデザイン」、「愛せる場所と仲間を誰もが持てる街」なんですね。なるべく多くの世代や多くのジャンルの人たちと横の繋がり、縦の繋がりをたくさん作っていきたいと考えているんです。

いろんなコミュニティがある状態がダイバーシティ、と考えている人が多いんですど、いろんなコミュニティが小さくまとまって、コミュニティがあるだけという状態は「ダイバーシティ」ではなくて「バラエティ」が豊かってだけだと思うんですよ。個人的に多様性とかダイバーシティはエコシステムだと考えています。生物の多様性というのはエコシステムですよね。弱いものが一個上のものに食べられて、それがまた上のものに食べられて、1番強いにたどり着く。その全てが土壌を豊かにして、また新たな生物が育っていく。それが生物多様性の正体で、人間社会においてのダイバーシティの正体でもあると思っているんです。

情報で繋がったインターネット、コミュニティとコミュニティが出会う、再会するのがSNS、そしてそのさきの「共同(共生)状態」がシェアなんじゃないかなと思っているんです。情報だけではお金は動かない、再会や出会いだけではお金は作れない。シェアは価値やお金を生み出していけるものだと考えています。シェアによって20世紀的な一億総中流社会ではない、多様な経済感覚や豊かさが設計されると思っているので、それを期待して「Play Diversity Shibuya」を創っていこうとしています。いろんなコミュニティや繋がりがあって、単体でも面白いんだけど、AとBをコラボレーションすることでさらに面白くなる、CとDを繋げることで新たな価値が生まれる、そういったことを誘発していける街づくりをしていきたいですね。

街を創る新しいカルチャーに必要なのはマイクロビジネス。シェアのインフラで回収性のある街づくりに。

観光協会という立場で街の文化をどう創るかを考えたときに、文化って誰かが作るものじゃなくてみんなが創るものだと思っていて。

もともと街って、しっかりした綿密な計画によって創られていますよね。例えば街中に交通機関とか駅を造ろうとすると、ものすごくカロリーが必要になるんですよね。専門家が入って、人の流れを分析して研究して、って流れになるんです。街の大きな大動脈的なものは駅や電車で、毛細血管的なものはバス。さらに細かく自転車とかで街の血脈は構成されるんですけど、インフラでいうと人の動きや興味、どこに新しいお店ができたかとか、どこにコミニュティがあるかとか、どういう風に人を惹きつけるか、というのはほぼ予測不能なんですよ。

それまでは、例えば1950年代の、焼け野原で何もなかった東京に百貨店を作ればそこに人がくるのは予想できたんです。でも、今はインフラが整って、ソフトウェアで人の行動がされるようになった。

最近でいえば銀座のコリドー街とかそうですね。サラリーマンのおじさんが行き着く場所だったのに、今は若者の街になっている。でも実はコリドー街のインフラは変わっていなくて、使い方が変わっただけなんですよ。昔はおじさんが行き着くところだったから、タクシーの利用も多かったんですけど、若い人たちの出会いがたくさんある街となると、4人乗りのタクシーとかあんまりいらないんですよね。オープンカーでその街で出会った誰かをどこかに連れていってあげるほうがニーズがあるかもしれない。でも、それを大手のタクシー会社が担うのは難しいですよね。そういったところにシェアビジネスが生まれるかもしれない。

多様な生活や新しいカルチャーが生まれてきたときに、公共インフラでそれを補おうというのは土台無理な話なんですよ、戦略が立てられないので。大きい会社もなかなか難しい。豊かな経済成長を株主に対して約束しなきゃいけないところって、なかなか反応できないじゃないですか。となると、新しい現象に対して即座に反応できるようなマイクロビジネスが必要になってきます。そういうときにシェアというインフラはすごく有効じゃないかと思います。

小さく始めて、当たり前に使われるようになったら大きくさせて、公共インフラにしていくっていうのも街づくりの一つ。実験的な取り組みとして導入して、成功したら大きく成長させて新しいインフラになるイメージですね。実験フォーマットとしてはすごくいいんじゃないかなと思ってて。
そんなことが渋谷の中でいっぱい起こればいいなと思ってます。なるべく大きなプレイヤーが集まって大きな実験をやってもらって、僕らはそのサポートできる限りやりたいと思ってるんです。一緒に学びながら成長していきたいですね。

だんだん大動脈を持つことが負担になってきているんですよ。ソフトの実験ユーザーをたくさん持っている方が小回りがきくんですよね。10年くらいでメイン事業が変わっていく今の時代、街の変化も昔より新陳代謝が上がってきた感じがしてますね。

昔はビッグ・ストロング・ハードというのが強さの象徴でしたけど、今は弾力性を持つものが強いです。ブロックチェーンとかもそうですね。強いセキュリティを構築するよりも、みんなで分散して守ったほうがいいよねっていう。そのイメージで、いろんな人たちがいろんなインフラを用意したり観光資源を創ったりして、どれかがダメでも別の観光資源があって、ダメだったものを他で吸収したり再生したりするエコシステムがあって。固くて強くて大きいものって、壊れたら直すのにすごい時間とエネルギーがかかるので、経済的にもすごく非効率なんですよ。小さいものが集まって再生していく街になるといいですね。10年プランの回収性のある街づくりというか。

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基本構想は誰しもが共感できるストーリーに。

渋谷区だけが特別ということはなくて、ほかの地域でも行政に部署を作ったりシェア宣言とかはやっているので、こういった取り組みをやりたいとは思っているんだろうなと感じます。ただ、それをどう解釈して価値観を共有していくかっていうのが足りていないところが多いですね。

シェアって価値観とか概念なので、実感力がないんですよ。手にとって触れないから分かりにくい。シェアの価値観、概念を信じて、しっかりした言葉でみんなに布教していく人が必要なのかもしれないですね。経済の仕組みもそっちにシフトしていくはずなんだけど、なかなか加速しないのは布教者の問題かもしれないです。

渋谷は掲げるビジョンや取り組みとシェアがきちんと紐づいて、一貫性があるんですよ。
渋谷の基本構想は、シェアの可能性を感じている人には共感力の高い基本構造になりますけど、そうじゃない人にも「自分たちのために作られてる」って見えるようにコピーライターを入れてるんです。基本構想がコピーライティングされているから、共感を生みやすいストーリーになってるんですよね。もともと区長が広告会社出身っていうのもありますし。そんな視点も大事なんだと思います。

シェアを伝える場所を設けて、これからの渋谷の街づくりにつなげていきたい。

渋谷にいろんな人たちが来やすい街だなって思ってもらうために、シェアサロンみたいなものができたらいいなと思ってます。コワーキングスペース的なものより、もっと無意味に立ち寄れるサロン。

シェアシェアって言いながら、繋がりや出会いをプラットフォーマーに任せているだけでは意味がないので、「シェアの窓口」みたいなものもやっていきたいですね。スタートアップの支援をこの街でしていこう!となると、スタートアップの相談窓口とかができるんですよ。中小企業を再生させよう!だったら中小企業の相談窓口。なので、シェアビジネスに興味はあるけど、どうやっていけばいいのか分からない、という人たちに対して、「シェアの窓口」を小さくてもいいから創ってあげられたらいいかもしれないですね。

シェアリングエコノミー協会でもシェアの窓口はやっていくと思うんですけど、シェアエコ協会はオンライン上での動きがメインになるので、リアル窓口が渋谷にできました、というのはシェアの周知にすごく有効な形だと思います。シェアのプラットフォーマーたちに来てもらって、アドバイスしてもらうみたいな。何かのサービスには誰かが持っている有形無形のスキルや資産が必ず紐づくので、シェアの窓口でお悩み解決できたら嬉しいですね。
価値が無いと思ってた人に自分の資産に希望を持ってもらえれば、それが1番街を豊かにしますから。


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「ちがい(個性)をちからに変える街」という基本構想の元に、新しいことをどんどん仕掛けている街、渋谷。インタビュー中に「シェアの窓口」なんてアイデアも飛び出しましたが、シェアリングネイバーズでは、今後も渋谷区観光協会とコラボした渋谷の街にシェアを広める企画を様々予定しております! ネイバーズメンバーのみなさまにもご協力いただきたいと思っておりますので、気になる…という方は今すぐネイバーズにご登録を!

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(最後に、金山さん、小池さん、TEAM NEIGHBORSの蓑口、倉橋でパチリ。)

9月20日に渋谷区観光協会後援で小池さんモデレーターのトークセッションを開催します!
「実践者集合!シェアサービスを使って模索する新時代の暮らし方・働き方」
https://www.facebook.com/events/394063644627416/

SIWコラボ イベントTOP_アートボード 1

PLAY! SHARE SHIBUYA 
http://play-shareshibuya.com

シェアを活用した街づくりをもっと知りたい!と思ったあなたは、
SHARING NEIGHBORSになろう!
https://sharing-neighbors.com/(登録無料)



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