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介護保険の今後を考える

こんちは!副業社労士まさゆきです

パパ育休を始め、日本は育児支援に積極的です。他国に比べても遜色ない制度が整いつつあります。介護支援については如何でしょうか。
育児支援が少子化対策となれば経済成長というリターンに繋がります。介護支援が経済成長に繋がるか疑問です。高齢化を考えれば追加支援策は介護予算を圧迫し増税に繋がるため、議論に及び腰なのは判りますが、それでいいのでしょうか?

《介護休業給付は何故93日だけか》
公益財団法人生命保険文化センターの介護期間に関する調査結果によると、介護期間の平均は4年11ヵ月です(平成27年度生命保険に関する全国実態調査)。10年以上介護が続く場合も約16%、介護は長期化傾向です。介護に専念しようと思うと、93日の介護休業では足りません。
93日という期間は、自らが介護する期間ではなく、4年以上続く介護に対し、仕事と介護を両立する体制を決める期間です。「93日」は、体制を決める間の家族介護がやむを得ない期間、休業ができるようにする観点から創設されました。給付は月給の2/3です。

《介護休暇は無給という現実》
体制を決めた後は介護休暇を利用します。法が定めた介護休暇は年5日(1人当たり)。有休無給は会社が選択でき、無給のケースが多いようです。フレックスタイム、短時間勤務等の措置義務が会社にありますが、介護に充分とは言えません。

2019年「就業構造基本調査(厚労省)」によると、介護をしている労働者のうち、介護休業や介護休暇等を利用したことがある人の割合は、全体の15.7%(約37万8,000人)です。過去5年間に家族の介護や看護を理由に離職した人は48万7,000人です。

《介護保険で賄える費用》
介護保険で受けられるサービスは大まかに4種類。①食事・入浴・体の機能維持のデイサービス②リハビリ中心のデイケア③短期・長期入居サービス④住み慣れた場所でサービスを受ける地域密着サービスです。介護される方の状態(介護度)で要支援~要介護の7段階に分かれ、サービス内容や月利用限度額が異なります。自己負担は1~3割。
自己負担が高額となる場合自己負担額の上限があり、超えた部分は介護保険から給付があります。例えば年収約383万円以上~約770万円までなら、月自己負担額の上限は44,000円です。ただし、介護保険対象のサービスに限られ、それ以外は自己負担です。
介護保険の利用には市町村の認定が必要です。認定を受けなければ介護保険の対象外です。

《老人ホーム入居費》
介護にかける時間がないなら、老人ホームを利用しなければいけません。費用相場は月額10~30万が多いようです。これとは別に入居初期費用や特別サービス費用がかかる施設があるので、個々の施設に問合わせる必要があります。
一つ一つの費用が介護保険の対象か否か、確認して自己負担額を確認します。費用が不透明な点が介護に対する不安を駆り立てる要因です。

《介護する側の持ち出しになる現実》

厚労省「施設サービス自己負担の1ヶ月あたりの目安」です。介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)大部屋で利用した場合の費用です。自己負担1割の場合です。

令和5年4月~国民年金額が月66,250円、約△4万円の赤字となります。他の生活費もあります。貯蓄が無い場合、介護する人の負担となります。
介護と仕事を両立する場合、現制度では収入が減り介護する方の厳しい。心の負担に加え「介護疲れ」の原因となります。

《膨らむ介護保険給付》
介護保険給付費用は増加を続け、令和4年で11.6兆円となっています。給付が不十分でもこれだけの費用がかかりさらに増加します。

《介護目的増税は不可欠》
1)介護離職と介護する人の負担を考えると、介護する人への助成金、例えば介護年金等の制度設計が必要と考えます。介護年金で自宅介護する余裕が出来れば、介護保険給付の膨張が抑えられないか?と思います。
2)介護年金を制度化しなくとも、介護保険料の増加を考えると増税議論は避けて通れません。及び腰にならず、増税前提で最善の制度設計を考えるべきではないでしょうか?

来年もよろしくお願いします。


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