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「千葉県民の日」とディズニーランドと「ぐうたらの日」

「ドラえもん」のとあるお話の一場面。のび太が6月のカレンダーをしげしげと眺めて、「ついに今年もやってきたか・・」とどんよりする。

ここだけでどんなお話だったか分かる人は、なかなかの「ドラえもん」通。これは『ぐうたらの日』というエピソードの冒頭場面である。

のび太が嘆いた理由は、6月は国民の祝日が一日もないつまらない月だというもの。祝日がないというだけで、のび太にとって6月は一年で最も不愉快で大嫌いな月なのである。

少し大げさな感じもするが、この当時は学校は週休二日制ではなく、完全休日は日曜日だけだったから、その憂鬱さは今の感覚以上だったのである。

本作ではそんなのび太の不満に応えて、ドラえもんが日本中のカレンダーを操作することのできる悪魔の道具「日本標準カレンダー」を取り出す。そして6月2日を「ぐうたら感謝の日」として、国民の休日にしてしまうのである。


この話がどんな展開で、どんな顛末になったかは、既に記事化しているので、是非ともこちらをチェックしてみて欲しい。藤子先生の発想の天才ぶりに驚く一本である。


さて、僕は何を隠そう、子供の頃千葉県に住んでいたのだが、僕が10歳の時に、「千葉県民の日」が制定されて、何と6月15日が休日になったのである。

『ぐうたらの日』を初めて読んだ時はまだ千葉県民の日が無かったので、100%共感していたのだが、県民の日が制定された後は、読むたびに何とも言えない優越感に浸ったものである。

何なら、この作品を読んだ千葉県のお偉いさんが、なるほどと思って制定してくれたのではないかと思ったりしたものだ。


本日はそんな6月15日。千葉県の子供たちは、色々な場所が無料になったり、割引になったりするので、雨の中、出掛けていたことだろうと思う。

そして、千葉県民の日の無料と言えば、有名な都市伝説が存在する。それは、僕も勘違いしていたのだが、ディズニーランドが千葉県民の日に千葉県民の子供だけが無料になるというものだ。

この都市伝説が生まれたきっかけは、例えばマザー牧場なんかも入場無料になったりするので、そうしたものと横並びにしてしまったから、とも言われている。


ただ僕は、ディズニーランドの開業日と県民の日の制定が近かったからではないか、と想像している。

ディズニーランドの開業日・・・1983年4月
千葉県民の日の制定・・・1984年6月

ディズニーランドはオープン直後から人気だったと思うが、その頃の子供たちがいち早く行きたいと思ったかと言うと、それは微妙と考えられる。今よりも情報の伝達が遅かったし、「かわいいアトラクション」というところに食指が動かなかった可能性もある。

また、土日や夏休みなどはメチャクチャ混んでいて、何時間も待たされるというニュースも流れ、子供を連れて行く大人が躊躇したようにも思う。


しかし、開業から1年たち、子供たちの間にもディズニーランドが楽しいというクチコミが広がっていく。ネックは園内が混んでいるという部分である。

そんな時に、タイミング良く平日がお休みとなる。それが「千葉県民の日」であった。そうして、千葉県の子供たちが大勢、6月15日にディズニーランドへ流れ込んでいいったのではないかと思われる。

子供たちは親のお金でディズニーランドに行くわけで、入場料金のことなどあまり気にならない。そんな当時の子供たちが、確か6月15日は無料だったよ、などと間違った記憶を流布してしまったのではないかと、僕は考えている。


ちなみに僕自身も、県民の日がディズニーランドのデビューだった。開業2年目だったかどうかは忘れてしまったが、今でも、県民の日とディズニーランドは、記憶の中で密接なものとなっている。

さらに6月は「ぐうたらの日」と「県民の日」も頭の中で密接な関係となっている。

そういうこともあって、「千葉県民の日」とディズニーランドと「ぐうたらの日」は、僕の中でワンセットの記憶に包まれているのである。




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