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「のび太の大魔境」の原点は、幻の名作「ジャングル黒べえ」だった!

「ドラえもん」は、1979年にTV放送(2回目)が始まり、すぐに国民的アニメへと成長を遂げる。そしてその翌春、早速映画化されることになった。

記念すべき第一作目は「のび太の恐竜」(1980年3月公開)。この原作は、1975年9月に「別冊少年サンデー」で発表された中編を、劇場版に際して長編化させたものである。

二作目は「のび太の宇宙開拓史」(1981年3月公開)。これは劇場版を前提に、コロコロコミックで前年9月号から6か月連続で連載されたものが原作となる。本作にも元ネタとなる中編が存在する。それは「こどもの光」1979年1月号の別冊で発表された「ベソとこたつと宇宙船」である。「宇宙開拓史」は、このSF短編とガンファイターのび太をドッキングさせて作られている。この作品は、いずれ考察するつもり。

三作目は「のび太の大魔境」(1982年3月公開)。原作はコロコロコミックの81年9月から翌年2月まで連載された長編。こちらのネタ元となる作品はないかと探していたのだが、意外な作品から、本作のアフリカの秘境というコンセプトが生まれていることを発見した。

それが、「ジャングル黒べえ」である。

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「ジャングル黒べえ」は、一度世の中から封殺された作品で、その歴史については、ウィキなどを参照されたい。

子供の頃は本作の単行本を買っておらず、「藤子まんがヒーロー全員集合」で一本読んだに過ぎない。気が付けば絶版となってしまい、慌てて古本屋で藤子不二雄ランドの「ジャングル黒べえ」を探し当てて買い求めた。

藤子・F・不二雄大全集では、これまでの単行本未収録も含めた完全版として、日の目を見ることができた。感謝感激です。

改めて本作をパラパラと眺めていたら、黒べえの故郷としてピリミーという国が紹介されていた。ピリミーは、「ジャングルの奥地に古くから伝わる伝説の国。ジャングルの奥のそのまた奥に、だれも行ったことのない魔境があるという。動物も植物も珍しいものばかり。住民たちはみな魔法を使うという」という設定とのこと。

「のび太の大魔境」では、ジャングルの奥地(魔境)に犬が独自に進化を遂げた国が出てくる。この設定は「ジャングル黒べえ」からの引用だろう。また。住民たちが使うのは魔法ではなく高度な科学ということに変えているが、発想は一緒である。

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もっとも、ジャングル黒べえ以外にも、例えば「海の王子」やA先生の「シルバークロス」などでも謎の多い大陸としてアフリカを描いている作品も数多い。1960年頃からアフリカ諸国が次々と独立を果たして、神秘の大陸が徐々にその姿を現していくのだが、藤子両先生はまだアフリカが謎のベールに包まれた頃に少年時代を過ごし、それが作品に現れているように思えるのである。

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