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楽しく仕事をした者が勝つ/エンタメコンテンツ営業心得⑤

日曜日の夜は憂鬱である。

一晩寝た翌朝には、前の週に積み上げたままの仕事に着手しなくてはならないし、嫌なことを含めた一週間にやるべきことをリストアップしなくてはならない。

エンタメコンテンツを扱う仕事は、外から見れば楽しそうに見える世界だと思うが、実際の中で働く人たちは、必ずしも楽しく仕事をしているわけではない。

やらねばならないことをやる。嫌でもやる。気が進まなくてもやらねばならない。そんな風にして、追い込まれている人たちばかりなのである。


しかし、である。

エンタメコンテンツという、人を喜ばせることを商品とする仕事は、やはりそこに従事する人たちが、喜びをもって働かなくてはならないと思う。喜びを与える人が辛い思いをしていては、きっとコンテンツに内包する楽しさは伝わっていかないだろうから。


僕はエンタメコンテンツの営業職、マーケティング職、企画職と、いわゆる川上から川下までを経験してきた。今はまた別の角度で働いているが、扱っているものはエンタメコンテンツであり、「エンタメを人に届ける仕事」という職分からは外れていない。

日曜日の夜は人並みに憂鬱だが、それでもウィークデーは全速力でパワフルさを忘れずに仕事をしている自覚がある。


ところで、その人が楽しんで仕事をしているかどうかの指標は、別の職場の人間に、今着手している仕事を説明した時に、どのような反応があるかで定点観測することができる。

大変なことや苦労話も含みつつ、全体的に「楽しさ」がにじみ出る人は、やはり楽しく仕事をしていることになるんだろうと思う。そして、楽しく仕事をしているように見える人は、だいたい良い仕事をしているものだ。


エンタメコンテンツ業界は、一度足を踏み入れると、そこから抜け出し難くなる魅力がある。けれども、毎年一定数の人たちが、嫌気を差して業界から去って行く。

見た目の派手さに魅せられて、何とかして業界に潜り込むわけだが、楽しさよりも大変さが先に立ち、疲弊して、ある時にスッとこの世界から身を引いていく。楽しく仕事をしなくてはならないのに、どうしても楽しめなくなるのである。


では、どうやったら、楽しく仕事ができるのだろうか。やりがいだろうか、対価だろうか、人間関係だろうか。

僕としては、何か一点だけを強調するのではなく、複合的な要素を掛け合わせることで、楽しさが生まれてくるのだと思うのである。

具体的に、
・自分が好きなコンテンツ(ジャンル)であるか
・一緒に働いている人たちと仲良くできるか
・自分の頭で考える仕事か
・考えるよりも行動してしまう勢いがあるか
・この仕事を一生ものにしたいという覚悟はあるか
・きちんと生活できる収入を確保できているか
などなどの要素が思い浮かぶ。

お金が貰えなければ、どこかで経済的に破綻してしまうし、周囲の仲間に恵まれなければ、楽しさのエンジンは掛からない。行動したくない仕事だったら、向いてないのかもしれないし、頭で考えることを否定される仕事であれば、自分である必要がない。

そんな風に、ひとつだけの要素に頼らずに、色々な楽しさポイントをかき集めて、総合的に自分が従事するべき仕事だと考えられるようになれば、きっと自然に「楽しく仕事」ができるようになっているはずだ。


この仕事を25年やってたが、周囲を見渡してみて、自分以上に長く続けている人は、すべからく楽しそうに仕事をしている。どんな手を使ってでも、楽しく仕事をした者が勝つ業界なのではないかと思うのである。



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