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才能を延命させよ

自分の内側にあるものを外側に出すことがクリエイトと言うのならば、その作業をずっと続けることはできないなあ、と思う。

例えば20年くらい生きていれば、自分の中でコレといったものはできてきて、それを面白おかしく作品として構築することができるかもしれない。

けれど、自分の中のコレを使い果たしてしまった時に、それまでと同じように作品を生み出すことができるのだろうか。


デビュー作や、デビューから間もない頃の作品が最高峰だと言われる人たちは大勢いる。作家、漫画家、シンガーソングライター、映画監督・・・と、デビューしてすぐに才能を見初められて、すぐにピークを迎えて、そのまま姿を消す人がいる。

僕はエンタメコンテンツを世の中に送り届ける仕事を生業としているが、そうした若き才能があっと言う間に摩耗してしまう光景を何度も見てきた。

もちろん、何とかして這い上がってくる人たちも多いし、しばらくして復活を遂げる例も珍しくはない。

けれど、一定数、いや大多数が才能の発揮を継続できないのは、これまた辛辣な事実なのである。


そこで思う。

どうしたら才能あるクリエイターたちの寿命を延ばすことができるようになるのか。内側に秘めたものを一気にすり減らすことを食い止めることができるのか。

おそらくは、「才能」は大事に扱わなくてはならないものなのだ。

私たちが従来思っている以上に、才能はナーバスで、傷つきやすく、失われやすい。だからすごく丁寧に、丁重に扱う必要があるのだ。


例えば一本の素晴らしい作品を生み出したとする。それがクリエイターの才能をどの程度すり減らして作ったものなのかを、周囲の人間が気付いてあげなくてはならない。

まだまだ習作程度で、もっとこするべき、磨き込むべきものだと判断することもあるだろう。

いずれにせよ、クリエイターの才能の分量を見極める人がいてあげるべきなのだ。


才能を延命すると書くと、何か卑怯なことをしているイメージが浮かぶかもしれないが、けっしてそうではない。才能ある作品を享受できる私たち(ユーザー)にとっても、素晴らしい才能は、ずっと光り輝いて欲しいと思うはずだ。

僕としては、エンタメコンテンツを届ける仕事を今後も続けていきたいが、今まで以上に、クリエイターの内面に寄り添った活動ができていければいいなと、思うのである。




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