コーチは必要かどうか

こんにちは。
ライフル射撃のコーチの小山です。
大学生や社会人のコーチをしたり、
射撃のジャケットを修理したり、
射撃場を作ったりしています。

先日、ある選手からの
「コーチって必要ですか?」という
質問に対して僕が勉強してきた
コーチとしての考え方を伝えました。

ちなみにその時の僕の回答は
「何をやるにも味方は必要で
 そばにいて常に力に
 なってくれる人は重要だよ」と

偉そうに伝えたのですが
自戒と復習の意味を含めて
まとめてみました。
少し長くなってしまったのですが
良ければ読んでみて下さい。

コーチの語源と類似するもの

コーチの語源は、ハンガリーにある
コチ(Kocs)という所で15世紀から
製造が始まった「馬車」に由来します。

欧米では人を乗せて目的地まで
連れて行く乗り物をコーチと呼び、
C級コーチ講習でもこの辺りは
カリキュラムとして学習しますが、
乗物から転じて、
人を目的地(ゴール)まで連れて行く人が
コーチとなったわけです。

コーチに似て非なるものは
じつは何種類があります。

①ティーチャー

②インストラクター

③メンター

僕の勉強した限り、
コーチの仲間はこれぐらいです。

①ティーチャー

学校の先生を代表するように
「教える」人たちです。
知識、技術などを教えてくれる
お手本のような人たちで
こうすれば良い、この方が良いと
自身の知識や経験から
ものごとを教えてくれます。

初めて触れるものに対して
ティーチャー(ティーチング)の存在は
非常に重要なものです。
算数の先生が面白いから
算数の授業が好きになるように
楽しいもの、面白いものとしても
提示してくれます。

②インストラクター

ティーチャーの仲間に
インストラクターさん達がいます。

インストラクトは「やることを伝える」
という意味です。
学習の順番を教えてくれます。

テニス教室の従業員さんは
先生とも呼ばれますが、
インストラクターとも呼ばれます。

インストラクターさんは
サーブの打ち方、ラケットの動かし方等
実技がある場合の
先生の名称と認知されています。
海外の射撃場で射撃体験をする際には
ティーチャーではなく
インストラクターさんから教わります。

③メンター

メンターはビジネスの世界で
最近特によく聞かれる言葉です。

知識や経験、実績があり、経験則から
アドバイスやサポートをしてくれます。

各々で自信のある分野を持っていて
人間育成の指導もします。

近年のスポーツ界の
講習の内容はこちらに寄っていて
コーチというよりメンター教育を
受けている感覚があります。

これらを踏まえて
コーチって何なんだろう、
必要なのかなと考えていきます。


じゃあコーチって何をする人なの?

コーチというのは前述通り
「人をゴールまで連れて行く人」です。

こちらからゴールを設定すると
それはティーチングとなるので
コーチされる人(選手)に
ゴールを作って貰わなければ、
行く先が無くなってしまい、
コーチの存在意義は
なくなってしまいます。

なので、この理屈で考えると
選手が自身で立てたゴールに進むように
選手にアプローチをして促す、
その立場の人がコーチとなります。

その点、部活の場合は
チームで目標を掲げる分、
意思統一がし易くて非常に良いですね。

難易度が上がるほど自分のゴールへの
絶対的なサポーターの存在は
必ずといっていいほど必要なものです。
1人で戦い続けるという事は、
どんな人間でも本当に難しいからです。

僕を例に挙げてみます。
僕は今、国産競技用ジャケットを作って
世界と戦おうとしています。
縫製素人の僕が工場に通ったり、
新型肺炎の影響で業務が止まったりと
本当に大変です。

何より一番きついのは
「本当に出来るの?」とか
「採算取れるんですか?」とか
「カパピー越えるの難しいでしょ」など
ネガティブな言葉を浴びる事です。

こればかりは悔しいですし
本当につらい気持ちになります。

ですが僕には
一緒に開発を進めていた先生や
応援してくれている両親や仲間、
僕(のコート)に期待をしてくれる
選手がいてくれるので
もう引き返せないですし、
引き返す気持ちも全くないです。

これはコーチが沢山いるような
状況と変わらないので
色々言われても僕自身は
ぶれずに前に進めています。

(コーチが多すぎて
注文も多いですが…笑)

誰も支持してくれない世界と、
1人でも支持してくれる世界。

1つの道を進んでいくと、
同時に嫉妬や敵対心で
反対評価の人が必ず現れて
ネガティブな言葉浴びせてきます。

「無理だ」
「やめておけ」
「失敗しろ」

これが本当にあるので僕も
何かが弾けて1人で踊りだしたり
猫の動画を見続ける時もあります。

あまりにも浴び続けてしまうと
自己評価が下がったり
ゴールに迷いが生まれるのです。

そんな時にコーチの真価が
問われていきます。
その選手の一番の応援者として
側に居続けられるのは
コーチという存在なのです。

コーチも勉強しなければならない

以上がコーチが必要な
理由とされていますが、
ここからが僕の持論が混じるので、
ご興味ある方は読み進めて下さい。

ここまでを整理すると
選手の内から出た目標を
応援するだけの人になるのですが、
スポーツのコーチとしては
選手の要望や希望に
応えるだけの知識が必要です。

勿論、目標を立てるのは選手で
達成するための解決方法を
選手と考えなくてはなりません。

選手の立てた目標が日本一なら
日本一になる為に必要な、
地方大会入賞ならば
それに必要なプロセスの作成です。

選手が考えたゴールに対して
良し悪しは置いておきます。
(内から沸く情熱は一番大事なので
言及せずにゴールが高くなければ
意見はするようにしています)

僕の中では先述の
コーチの立場の理解と
ウェイズ・オブ・ザ・ライフル
丸暗記の知識量があれば少なくとも
良いコーチになれると思いますが、
それ以上というのは難しいのです。

本人の特性の把握、
その為のコミュニケーション能力、
メンタルマネジメントなど
必要な能力は多岐に渡ります。

勿論、選手としての実績、
コーチとしての実績などは
1番目に付くところですが
僕はオリンピアンでもなく、
日本代表コーチでもありません。

なので質問に対して
答えられるだけの知識量、
提示できる選択肢の多さは
後から学んで差を埋めようと
努力しています。

国内外の市販されている本、
ネットの情報収集は当然として
体の知識、服の知識なんかは
かなりの時間を割いているので
勉強量だけで言えば自信もあり、
コートの縫製技術、
射撃場を持つことなんかは
自身の能力の底上げになっています。

疑問と今後の課題

僕がコーチと名乗り始めてから
疑問に思うことは多々あります。

特に大学スポーツは長い間、
体育会という閉ざされた世界で
公言もしづらく書くべき内容かも
怪しいところなのですが、

選手のコートバックを
運んであげないのかな?とか

片付け一緒に
してあげないのかな?とか

OBでもコーチはコーチなので、
その辺りは線を引いて選手の為に
手伝った方が良いと思ってます。

もっといえば声掛けや、
試合中に後ろにいて欲しいか、
どこまで手伝った方が良いかまで
聞けると選手は
安心して集中できます。

とはいえ、習慣とは恐いもので
拒絶レベルの遠慮や、
OBに荷物を持たせて指導対象に...
なんてズレてる世界があって、
ここで監督でもない僕が
部の運営方針に意見しても
しょうがないなって気持ちに
なったりもしています。

大学スポーツのスタッフって
OBが多いので難しいですね。

まとめ


ここまで長文を読んで頂いて
本当にありがとうございました。

僕もまだまだ至らない点も多く
偉そうなこと言えないのですが
やっぱり若干偉そうに
なってしまいました。

これを読む皆さんはコーチの方とかも
いるんじゃないかなと思いますが
どうかご自分の選手を
大好きでいてあげて下さい。
それが一番大事だと思ってます。

それではまた射場で会いましょー。

おわり。

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