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最近のイランに関する風刺画を見てみた #24

アッシャルキルアウサト紙という報道局がある。サウジ資本であるからか、そのサイトに掲載されている風刺画はイランを批判するものがよく目につく。

下記、アッシャルキルアウサト紙視点でのイランを紹介する。なおアッシャルキルアウサト紙に投稿されている風刺画は全てアムジャド・ラスミー氏の作品だ。

①例えばこんなものがある。

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出典: Al-Sharq Al-Ausat 2021.2.16

斧というかピッケルには「イラン 」、青い旗には「イエメン」と書かれている。イランがイエメンを二つに割っている。イエメンの人々を分断しているようだ。

②次はこんな画だ。

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出典: Al-Sharq Al-Ausat 2021.2.15

「イエメン」と書かれた人が、「イラン」と書かれた腕によって刃物で差し切られている。その刃物には「フーシ」と書かれている。①の画よりも、具体的かつ過激である。やはりこの画でも、イランがイエメンを分断していることが描かれる。またそれは具体的にイランがフーシを利用してということだ。

③つぎはこんな画だ。

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出典: Al-Sharq Al-Ausat 2021.1.25

右側の鍵を持った人物には「イラン 」、左側の鍵穴頭の人物には「フーシ」と書かれている。フーシによって閉ざされた扉には「政治的解決」と書かれている。すなわち、イランがフーシの鍵を持ち続けている限り、政治的解決の扉は開かれない。政治的解決ができないということは? あるのは暴力的解決だろうか。

④次の画だ。

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出典: Al-Sharq Al-Ausat 2021.2.11

後の人物には「イラン」と書かれている。その前の盾となっているものには右から「レバノン 」「シリア」「イラク」「イエメン」と書かれている。イラン犠牲となっているのはイエメンだけではないのだ。

⑤次の画だ。

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出典: Al-Sharq Al-Ausat 2020.12.29

「民兵」と書かれた左側の人物が銃を使って、「イラク」と書かれた右側の人物を「イラン 」と書かれた洞穴に誘導している。イランの武器はフーシだけではない。民兵も使用するのだ。

⑥次の画だ。

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出典: Al-Sharq Al-Ausat 2021.1.24

「イラク」と書かれたタスキを巻いた人物の背中には、「ダーイシュ(いわゆるイスラム国のこと)」と書かれかた紙が打ち付けられ、それを的に「民兵」の銃弾が打ち付けれれる。イランの民兵は「ダーイシュ」の駆逐を大義名分に、イラクを蜂の巣にする。

⑦最後の画だ。

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出典: Al-Sharq Al-Ausat 2021.2.18

右奥の「イラン」と書かれた人物が、左奥の「中東」と書かれた人物に銃を向けている。そしてアメリカの帽子を被った人物に向かって、机の上の「交渉のテーブル」と書かれた文字を示している。ここでいう「中東」は何を意味するか? これまで上で見てきたようなイエメン、イラク、レバノン 、シリアだろうか。そもそもイランはそのような中東を人質に、アメリカに何の交渉をもとめているのか。

そこで日本語で今日(2021.2.22)のニュースを読んでみる。

参考:日本経済新聞 2021.2.22 「イラン、最大3カ月の査察受け入れで合意」

イランとIAEAの核合意に関するニュースである。イランが核合意に従うことを求めるバイデン政権 VS 米国の経済制裁の解除を求めるイラン。

核合意に関する交渉の中で、イランは米国に先に経済制裁の解除を要求していたが、今回のところはイランがとりあえず妥協案を認めたようだ。他にも次のような記事がある。

参考:ロイター 2021.2.22「焦点:核問題巡る米・イラン交渉、始まっても見えないゴール」

この記事によると、最近イラクの米国基地にミサイル攻撃があったようで、その米軍を攻撃したと疑われる勢力をイラン が支援しているようだ。となると、先ほどの画でイランが銃を向けていた「中東」というのは中東にある米軍基地のことであるのかなとも考えられる。

解釈は多様である。ニュースを読むと風刺画が理解できる、風刺画が理解できないときはニュースを読む。ニュースをより深く理解するために風刺画を見る、ニュースの解釈を考えるために風刺画を見る、風刺画をきっかけに知らなかったニュースを知る。それすべて楽しいことである。

それでは。


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