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RISING SUN ROCK FESTIVAL 2023メモ

お盆はライジングサンロックフェスティバルへ!北海道への旅ともなれば本来計画的に準備するところだけど、今回はかなり直前に参加を決意。今年はフジロックとサマソニ以外での夏の旅行を結局やめてしまって丁度予定が空いていたのに加え、現地の天気も良さそうだし、よく見ればタイテも好きなものと観てみたいもののバランスがいい…などの要素が重なり、もう衝動的に思い立ってしまった。結局航空券をゲットできたのは、キャンセルが流れたと思われる前日の夕方だった。くれぐれも皆さんは計画的に準備しましょう。

<Day 1>

8月11日金曜日。新千歳空港発の10:30の電車に乗り、麻生駅着が11:33なのでおよそ1時間。駅に着くと、地下道には既にシャトルバスを待つ人、人、人。何度も折り返すほどとんでもなく長い列だった。地下通路なので陽は当たらないが、それでもとても暑い。事前にコンビニで買っておいたクーリッシュもすぐに溶けてしまったものの、ひとときのクールダウンにはなった。フジロックの時も毎日お世話になったので、夏フェスの朝に買っていくのがオススメである。40分ほど並んでようやく乗れたバスは、観光バスではなく普通の街のバスだった。通常フェスのシャトルバスは全員座れる観光バスが用意される事が多いがここはそうではなく、一定数の座れない人が出てしまう。自分も運悪く座る事ができず、旅行用の大きな荷物を抱えながら35分も立って乗車するハメになってしまった。フェスが始まってもいないのに、まあまあイヤな体力の消耗である。

12:49、会場着。クロークに荷物を預けて会場を見回ってみる。前回行った2009年からステージ数が減り、聞き覚えのないステージができている。そのうえレイアウトもかなり違っていて、もはや同じフェスとは思えないほどだ。メインのSUN STAGEもなんだか前より小さく感じた。気のせいだろうか。

14:30、Hygge STAGEでSCOOBIE DO。スクービーは何度も観ているのでこの日やった曲は全部お馴染みだし今更特に発見はないのだけど、やっぱりこのバンド、ライジングへの思いがとりわけ重い。ライジングサンのいいところは「ライジングサンがないと生きていけない人達に会えるところ」らしい。その後、同ステージでCENT。去年BiSHがキャンセルになってしまったのをソロでリベンジしたという事らしい。この時間は本当に暑くて、ボーッと観ていたのが正直なところ。そして隣のdef garageで秋山黄色を拝見。例の事件があってから意識が変わったんだろうなーと思う。フェスで人に集まってもらえる事がどれだけ幸せか、身に沁みて感じている様子だった。夕方同じステージに出ていたChilli Beans.はなかなかの動員で、いわゆる「邦ロック」的な若いオーディエンスが多い。ライジングが尖っていたのはもはや昔話のようなもので、今や数多ある邦楽フェスの参加層と大きな差はない気がする。(と言いつつもこの日泊まったホテルで翌朝、Oi-SKALL MATESのTシャツを着た女性がいてなんだかんだ流石だなあとも思った)

日が落ちたRED STAR FIELDに登場したのは復活後初にして今年唯一の夏フェス出演となるThe Street Sliders。本来ならSUN STAGEレベルの案件だけど、もうこれが伝わる層も少ないんだろうなー。正直ピンとくるのは俺の世代よりも上だし。HARRYさん初めて生で観たけど古き良きロックスターな趣で流石であった。そしてRED STAR FIELDのトリは東京スカパラダイスオーケストラ。フェスのスカパラと言えば「ゲストヴォーカルは誰なんや」問題なわけですが、この日最初に現れたのはTAKUMA(10-FEET)。そもそもこの枠はThe Birthdayのものだったのがキャンセルになってしまったという話から、チバさんに届け!と「カナリヤ鳴く空」、続けて10-FEETとの「閃光」を歌唱した。中盤、ハナレグミが登場し「追憶のライラック」。この曲はリリース時から大好きで、ずーっと生で聴きたかったのがようやく叶った!夜空の下での永積タカシのとろけるような歌唱は絶品だなあ。更に欣ちゃんが在籍するフィッシュマンズで時々ヴォーカルを務めている縁から「いかれたBaby」をセッション、ってこの時点でだいぶお腹いっぱいなのだけど、ライブ終盤には宮本浩次が現れ「明日以外すべて燃やせ」の絶唱に会場大盛り上がり。みんな満足げに会場をあとにしていた中、メンバーが再び現れ、アンコールの許可が出た!ともう1曲披露する流れに。あらゆるフェスに出ているスカパラだけど、気合いの入れようが一段階違う感じがした。3人もゲストで呼ぶ回、ちょっと観た事がないので。

この日はここで終了。シャトルバスはやっぱり座れなかった。ホテルの最寄駅ではもう23時を過ぎていて札幌グルメは堪能できなかったけど、安くて美味いセイコーマートに助けられた。

<Day2>


8月12日土曜日、タイムテーブルには載っていないがバケツドラマーMASAを観る。ストリートスタイルで演奏し、終了後投げ銭を募る。そしてSUN STAGEのトップバッターはケツメイシ。そもそもフェスに出るのが数年に一度だし、まして1発目に出るのってあんまり見た事がないから、この状況なら1曲目は「はじまりの合図」では…!と期待していたのだけど、華麗にスルーして「いい感じ」でスタート。チャラいダンサーを従えての「LOVE LOVE Summer」の後、早くも「夏の思い出」!もうここで出しちゃうの?と思ってしまったが、その後のMCで「この曲がもう20年前」という話から旬を過ぎたと自虐し「君達がVaundy観に来たの俺は知ってるよ」「そんな事ないよー!が1番傷つく」「どうぞしっこタイムにしてください」としっかりネタにするあたりは流石である。その後の「君にBUMP」やメドレーに入っていた「涙」など、とにかくヒット曲の多いグループなので、ライブが終わった後アラフォーらしき男性が「高齢者に優しい」とつぶやいていた。確かに。

EARTH TENTに移動してRockon Social Club。男闘呼組のメンバーが全員参加するバンドで、現代のトレンドなど完全に無視して昔ながらのハードロックを展開していた。アイドルがロックをやるのにナメられていた時代の人達だからかロックスピリットが人一倍強く、ロックフェス側が軟化していく現代においてむしろ逆にロック指数が濃かった。なんだこの逆転現象は。高橋和也のアクの強いMCにはつい笑ってしまったし、岡本健一の美形ぶりも知ってはいたもののちょっとビックリするレベルだった。

def garageのThis is LASTを眺めた後、Hygge STAGEでは地球三兄弟が真心ブラザーズと奥田民生の3人だけで弾き語り。これといって両者のヒット曲を挟むわけでもなく、11年前にリリースした唯一のアルバムからガンガン曲をやっていく。「フェスは初めて」と言っていたけれど、その11年前の冬にフェスに出てるはず。夏フェスが初、なのか?

SUN STAGEのBABYMETAL、気付いたら2列目で観てしまったんだけど、ライジングってステージとんでもなく近いのね。ほんとにすぐそこにいた。SU-METALのMake a big circle!の声から後方ではビッグサークルが生まれ、大モッシュ大会。この光景を見て、ああ今後ROCK IN JAPANには出ないのだろうな、と思った。この日の時点では新曲は未解禁だったので、往年のアンセムを連発。Road of Resistanceはいつ観ても感動するなー。ちなみにV系好きとしてはヘドバンギャー!!推しである。そしてRED STAR FIELDに移動してOAU。去年会場のレイアウトに文句を言ったなんて話もあったが、今年はすごくいい雰囲気で上機嫌。気付けば辺りはすっかり暗くなり、冷たい空気の中ラストの「帰り道」が沁みた。

SUN STAGE後方に花火が打ち上がった後、ステージにはMISIA登場。「陽のあたる場所」に「つつみ込むように・・・」と初期の名曲を早々に繰り出し、場内早くもピークタイムに。それはゲストに矢野顕子が控えていたからのようで、MISIAがコーラス参加した矢野さんの「音楽はおくりもの」、矢野さんがかつて忌野清志郎とライジングで歌ったのを見て一緒に歌いたいと思ったという「ひとつだけ」、矢野さんがMISIAに提供した「希望のうた」の3曲をセッション。「希望のうた」ってMISIAが歌うとそこまで矢野さん色が強くない気がしていたけど、やっぱり本人が歌うとそうなるもんだなー。そしてラストにはRockon Social Clubが登場し、コラボレートにより完成した新曲を披露。元々50分枠だったのが気付けばたっぷり70分もやっていた。

Diosが急遽フルメンバーでなくなってしまったと聞き、EARTH TENTの神はサイコロを振らないを拝見。サブスクで上位なのが「夜永唄」や「泡沫花火」といったバラードだけど、ライブを観るといい意味で印象が変わるというか、古き良きギターロックの正統後継者な感もある。キタニタツヤと出演時間が近かったのでコラボ曲「愛のけだもの」披露に期待していたけれど、ゲストとして登場したのはアユニ・Dで、神はサイコロを振らない × アユニ・D(BiSH/PEDRO) × n-buna from ヨルシカ名義の「初恋」を披露。そっか、そっちの線もあった。これはこれでレア。

Lucky Kilimanjaro。深夜のEARTH TENTという、一番フロアっぽいシチュエーションで鳴らされる人力ダンスミュージック、彼らの音を楽しむのに合っていたんじゃないかと思う。そこに集まる深夜とは思えないほどの満員のオーディエンスは、いわゆる「見つかったバンド」のそれといった雰囲気。続けて同ステージにキタニタツヤ。リハーサルで本人が登場し、撮影OKを宣言。昨日出たフェス(ロックインジャパンのこと)ではNGだったので帰りにスマホを見るのが寂しかったらしい。前述の「愛のけだもの」はリハだけで披露していた。目下ヒット中の「青のすみか」、王道ロキノン系ギターロックでいいですね。早くもアンセム化しているのがわかった。

深夜2:30過ぎのRED STAR CAFEには好き好きロンちゃんが登場。前日に決まったという緊急アクトで当然タイムテーブルにも載っておらず、Twitter、いやXの告知を見てオーディエンスが集まる。セットリストを決めていないゆるい雰囲気で、中盤からは曲のリクエストを募りながら進行。「勃起ドリーム」やったのが嬉しかった!(タイトルだけ書くととんだ変態ソングだが、一応ロンちゃんの中で最も社会派な楽曲である) ライブ終了後、チェキ会に突入。朝まで暇だったのもあって深夜のテンションでうっかり参加し、ハートマークで2Sチェキを撮ったのだった。「やらない後悔よりやる後悔」とロンちゃんは言ってたけど、2週間経っても特に後悔はない。

4時になり、ヘッドライナーマカロニえんぴつが登場。最初未だ辺りは暗かったけれど、ライブが進むごとにどんどん明るくなっていくのがわかる。自分達がトリを務める事を「ライジングらしくないんじゃないか」と心配していたというはっとり。恐らく年齢的にもう一回り上で、音楽的にももっと硬派なバンドが務めるものでは?と思っていたんではないかと。若いロックファンには伝わらないかも知れないけど気持ちはわかるし、その感覚がちゃんとあるのがいいところでもある。まあこうやって世代って変わっていくんだろう。アンコールとして最後に演奏されたのが「ヤングアダルト」で、"夜を越えるための唄が死なないように"というお馴染みのフレーズが、最も相応しい場所で鳴り響いたように感じた。この日は微妙に曇っていて、朝日は正直いつ昇ったのかよくわからない。

終演後、シャトルバスを待つ長い列。結局2時間並んだ。あまりに眠くて立ったまま寝てしまい、何度も後ろの人に「進んでますよ-」と言わせてしまった。本当に申し訳ない…。朝を迎えた感動をぶっ飛ばすほどの長い長い待機列だった。

ライジングは14年前(!)に一度行った事があって、お盆で飛行機も値が張るしもう行かないかな…と思っていた。そして今年、今度こそ最後でもおかしくないぞという気持ちでもう一度行く事にした。というのは10年後の夏にライジングサンの告知を見た時、最後に行ったのは10年前か、と思うのと、24年前かと思うのとでは絶対にこのフェスに対する解像度が違うからだ。その発想は、間違いではなかったと思う。ライジングサンは2009年から大きく変わっていたからだ。ただライジングはある意味フジロックよりも音楽が真ん中にあるフェスだと思っていて、そこだけは変わっていなかった。本当に暑かったけれど、楽しい夏のひとときだった。

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