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【世界羊旅】モンゴルで食べた羊肉料理

この写真はモンゴルでお世話になった遊牧民と羊達です。

モンゴル料理は、遊牧民の食文化がルーツです。
寒冷かつ乾燥という厳しい自然環境下で、モンゴルの人々は数千年にわたって遊牧を続けてきました。そのため食材は家畜からの恵みである乳製品や羊肉中心の料理が多いです。
つまり、モンゴル人は羊肉料理のエキスパートです。

今回は遊牧民のゲルと、ウランバートル市内のレストランで味わってきた羊肉料理を紹介します。


画質悪いですが、ドローンで撮影したゲル周辺の風景
伝統的な仔馬の焼き印式


遊牧民のゲルで羊の屠畜から、調理まで教わった。




■チャンサン・マハ

チャンサンマハは、骨付きの羊肉を塩だけで煮込んだ、シンプルでありながら奥深い、モンゴル遊牧民文化を象徴する料理です。

チャンサンマハを囲んで宴会。馬の乳を発酵させた「アイラグ」を回し飲み。


モンゴル語で「チャンサン」は茹でる、「マハ」は肉、つまり茹でた肉という意味です。材料は先ほど屠畜したばかりの羊肉と水、塩のみ。それだけで驚くほど羊肉を美味しく食べられます。


骨の周りの肉が美味しい。

世界ではラム(仔羊)が人気ですが、遊牧民は年老いたマトン(成羊)の雄から食べます。これは単なる嗜好ではなく、羊の個体数を維持して、持続可能な羊肉供給を確保するためです。

羊肉の旨味が滲み出た茹で汁で〆の麺を食べると最高です。
チャンサンマハにはアイラグは合わないということで、ウォッカを回し飲み。最低3杯は飲み、開けた瓶は飲み干すのが礼儀らしい。


■チャンサン・ゲデス

モンゴル語で「茹でた内臓」という意味のチャンサン・ゲデス。内臓は肉と比べて腐りやすいため、屠畜後すぐに調理されることが多いです。

水も限られているので、茹でこぼしなどはしません。そのため内臓特有の香りがかなり強く、完食できませんでした。


■ツォイワン・ゲデス

チャンサン・ゲデスを完食できなかった私のために、アレンジしてくれました。ツォイワンとは焼きうどんのような料理で、今回の具材は残り物の内臓です。味付けはシンプルに塩のみで、チャンサン・ゲデスよりは食べやすくなりましたが、これは玄人向けの料理です。


■ホルホグ

羊肉と野菜を、塩や香辛料とともに牛乳缶に入れ、さらに焼け石を詰めて蒸し焼きにしたモンゴルの伝統料理です。素材の旨味がしっかりと閉じ込められ、焼け石の遠赤外線効果により、やわらかくジューシーに仕上がります。

乾燥させた馬糞はモンゴルでは定番の燃料。この中で石を焼いている。


■ツォトガスン・ゲデス(ザイダス)

血のソーセージです。羊の血液に小麦粉を混ぜて、腸詰めにします。コクがあり、レバーのような風味で美味しい。


■ボダーテイ・ホールガ

羊肉のチャーハン。シンプルな味付けで、中央アジアのプロフのような味わい。


■ボーズ

モンゴルの蒸餃子。具材は羊肉と玉ねぎのみというシンプルな構成ながら、力強い旨味。手切りミンチの粗挽き食感で食べ応えも抜群です。

皮から手作り。
ウランバートル市内で食べたボーズ(焼き)


サワークリームソースをかけて。


■ホーショール

モンゴルの揚げ餃子。外サクサク、中ジューシー。

■バンシタイ・シュル

バンシと呼ばれる餃子が入ったスープ。

ミルクティーで煮たバージョンは「バンシタイ・ツァイ」


■羊の尾脂のしゃぶしゃぶ

ウランバートルでは中国式の火鍋も人気です。
日本のしゃぶしゃぶのルーツともされる火鍋(シュワンヤンロウ)は、実はモンゴルの遊牧民が冬に凍った羊肉をスライスして湯にくぐして食べたのが起源とされています。厳しい自然環境の中で生まれた智恵と工夫が、姿形を変えて現在も親しまれているのですね。

羊の尾脂のしゃぶしゃぶ。美しい真っ白な脂身。


口の中であっという間に溶ける。全く重くない。




■さいごに

モンゴル滞在を通して、改めて羊の存在が遊牧民の生活に不可欠であることを実感しました。羊は彼らにとって単なる家畜ではなく、生活を支えるかけがえのない存在であり、深い敬意と感謝の気持ちを持って接していました。

モンゴル遊牧民の伝統的な価値観は、「命を無駄にしない」という精神に基づいています。

彼らは羊のあらゆる部分を余すことなく活用しています。

肉や内臓は食料として、血はソーセージ、毛皮はゲルの防寒や衣料品として、骨は道具や装飾品に加工されます。


シャガイと呼ばれる遊牧民の遊び道具。羊などの家畜のくるぶしの骨。


命を大切にし、資源を無駄にせず、環境との調和を大切にする姿勢は自分にとっても大切な教訓となりました。




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