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THE GEESE

THE GEESEの高佐さんはツッコミが上手いと思います。しかもそれはコントに置けるツッコミとしてちょうど良い感じのツッコミと言いますか。ちょっと堅苦しい印象を受ける滑舌と形式的な標準語喋りがむしろ演技というものの中では明確なアドリブ性として風通しを良くしていると感じます。

まずフリートーク的なものから聞いていくと確認できるのが、高佐さんはその喋りに抑揚や緩急、強弱、助長はありますがどれもある範囲内にコンパクトにまとめられていて、そしてテンポだけは一定です。この少し機械的な言葉の発し方がTHE GEESEのシュールでナンセンスな世界観を淡々と表現する雰囲気に拍車をかけていると思います。


その高佐さんの形式的な空気感の構築を尾関さんがやんわりと崩していく事で笑いを生んでいきます。ただこの時尾関さんはそこに完全なアシストするでもなく、歩幅を揃えて一緒に淡々と進むのではなく、高佐さんを中心に置いて引き立ててはいるのだけど尾関さん自身はマイペースな歩みのためその速度の切り替えに法則性が見出しづらくなっています。なんというかイメージとしては、進行方向は一緒なのだけど尾関さんが高佐さんの周囲をぐるぐる回る様に不可思議な足の組み方で進行しているような感じです。


この2人のバランスをコントに落とし込むとその何妙な噛み合わせが台詞のなぞりとして活きてくるといった具合です。

THE GEESEのコントはその土台設定ごとボケとして尾関さんが進行してゆくものが多いと思うのですが、その進行的な気質でもって世界観の後ろ盾ごと高佐さんを包み込むようにボケてゆきます。高佐さんはその尾関さんが丁寧に充満させた空気を的確にツッコみつつもそれが機械的でブレないためコントとしてはその世界観を後ろ盾にした尾関さんのペースで進んで行くのです。ここにTHE GEESEのシュールコントとしての真骨頂があります。この基本姿勢を中心にボケツッコミを変えてみたり2人ともボケてみたりする事でバリエーションを豊かにしていきます。最近はバラエティ番組で高佐さんのそのブレなさ自体をおかしみとしてイジられたりするパターンも目立ってきました。

そういった意味でも高佐さんの自己範囲内でのブレなさと尾関さんの相手に合わせた上でのペースに持って行き方は役割分担としてもSMプレイ的だと思います。


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