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休まる2019→熱い2020

出発の日の京都は朝からどよっとした空気が漂い、空は重い灰色に覆われており、道にはポツポツと黒い点が生まれていた。

東京で生まれ育ち、京都に転居し生活し、いつの間にか京都で過ごした月日の長さが、人生最長期間になった。第2の故郷はこうして生まれるものだと身をもって体験した。

2019年は一言で言うなら周りのありとあらゆるものが変化していく年であった。大好きな祖父が亡くなることがあったり、自分は仕事を退職した。離職期間が半年経つ前に次の仕事を始める予定であったのに、気がつけばニート生活も7ヶ月の時を過ごしていた。気づいているのにわかってない。消費しているのに感覚がない。そんな貴重な時間を怠惰に過ごしてきた。

ただダラダラとニート生活を送る中で、ありがたいことに新しい出会いもたくさんあった。そして、離職期間のもともとの予定であった在職時には会えなかった人、行けなかった場所に多く時間を費やした。次のステップに向かうための糧を集めるために。

その期間を過ごしている中で『時間はお金に変えられない。』と強く感じた。会いたい人に会う。やりたいことをする。何もしない。全てのことに時間が使われる。時間に比べたらお金なんて無限だ。そんなふうに感じれるくらいに自分が自分のために使う時間は尊い存在だと気がついた。

そんな1年の大半を夏休みに使った2019は終わりを迎え、新たな挑戦の年2020は幕を開けた。

2020年は環境がガラッと変わる。第2の故郷京都を出て、生まれ故郷である東京で働き始める。実家から初めて身を出す。不安と期待でドキドキワクワクしている。

家を出発する際に母から手紙をもらった。東京に向かう新幹線で読んで欲しいと。長い期間一緒に過ごしてきた時間が初めて途切れる。そんな手紙は読む気力を大量に必要だということはわかっていた。新幹線に乗り込み、まずは一眠り。起きてから心してルーズリーフ1枚の手紙に向き合う。だめだ、3行で目から水分が溢れ出す。母の偉大さは目に染みる。

東京は京都との空とは違い、晴れ晴れしく青く広がっていた。雨の後に虹がかかるように、泣き顔は自信に満ちた顔に変わっていたはずだ。

恩返しはしっかりしよう。

ここまで読んでいただきありがとうございます。 本と友達になります。