見出し画像

放課後ランプ ①

「放課後はランプが点くなり出動していました。ああ、どこかで誰かが魔法のランプを擦っているのだなあ、と思って。アラビア千夜一夜の名に恥じない働きをするために僕らは地図の光った地点を見極めてその場にすっ飛んで行きました。時給ですか? 当然ボランティアですよ。まだ学生でしたからね。現場では依頼人様とのコミュニケーションを第一に考えて行動しました。先輩ランプの精のやり方を尊重し、かつ、お客様の求めるものを的確に提示するのです」
 熱弁したが残念ながら放課後ランプ社からの採用通知はもらえなかった。その代わりにランプ無料お試し券なるものが送られてきた。実物のランプではなくQRコードを読み込んで『ランプの精を呼ぶ』をクリックするタイプだ。内実を知っているだけに顧客になるのは躊躇してしまう。噂によると自動的に会員登録されて、また呼び出しがかかるのだとか。どういう仕組みなのかわからない。年間数万組のカップルが誕生しているという。


たらはかに様のお題に参加しています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?