見出し画像

「八人目の敵」③

「では早速お手続きいたします」
カード機能は停止し数日後に新しいものが郵送されることになった。これで買い物できるし交通機関が使えるしATMに行けるし医者にもかかれる。下位だが住民票だって追加してやる。
 その日のうちに交番に立ち寄り紛失届を出した。拾得物として届きましたら連絡が行きますがあくまで管轄は県内ですから県外や国外の場合は除きますと言われ予想に反してか反さずか使えねえななどと大声で言える立場でなかったので快諾した。
 だが言いかえれば新しいものが届くまではそれらはできないということだ。さらに恐ろしいことに死んだとだけ聞かされただけで遺体を見たわけでない自分のカードが誰かに別の命を吹き込まれていたら? チップを読ませずチラ見せするだけなら生きているかどうかわからない。
「あなたが目撃したとき彼はすでに亡くなっていたのです」まるで子ども騙しのトリックだ。顔写真だと? メイクと髪型と眼鏡だと誤魔化し通せばいい。

ツヅク

408文字

#小説

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?