ラムネ炭酸寝顔 ①
「ラムネ!」
浴衣姿の彼女がビー玉の落ちたビードロの瓶を手渡しながら、らで始まる言葉を叫ぶ。炭酸がコポコポと溢れ出ている。ありがとうと受け取りながらヤンチャをしてナンバーワンだった頃を思い出した。ドンペリニョンの栓がポンと抜けて白い泡が飛んでいたよ。それにしてもラムネか。ラはラッパのラ。それは青空という語を選んだ僕への答えだ。彼女は昔乱波(忍者)だったこともあると言ってたっけ。くのいちだ。本当かどうかわからないけど。誰に仕えていたのかも。過去は淡々散々雲散霧消していた。この子の親は紛れもなく僕たちだ。バギーを覗きこんで答えを見つけた。
「じゃあ、寝顔!」
これは僕と彼女が手に入れた平穏なひとときだ。
「良かったわ。あの子があんたを落としてくれたおかげで万事が丸く収まって」
なつかしい誰かの声がした。例の界隈の跡地の広場でフェスティバルが開催され屋台が並んでいる。僕に光の泡がまとわりついてはじけた。
400文字
甘目です、ラムネだけに🫧🫧🫧🫧🫧🫧
たらはかに様の裏お題に参加しています。
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