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住宅ローンの元利均等方式での返済に対する計算例

$${A}$$円の住宅を購入するために月利$${P}$$で$${N}$$ヶ月のフルローンを組んで元利均等方式で毎月$${X}$$円を返済するとしよう。 本稿の目標は$${X}$$を$${A, P, N}$$の式で表すことである。 以降、本稿では元利均等方式での返済例を扱うことに注意されたい。 返済を漸化式する$${n}$$ヶ月後に残っている負債を$${A_n}$$とするとする。ただし、$${A_0=A}$$とする。 このとき、$${n\geqq 1}$$に対して、次の

    • 3観点評価と成績の分散

      高校でも3観点評価が始まっています。 私も昨年度にはじめて3観点評価で成績をつけました。 3観点での成績をつける中で気付いたのは、成績が極端に良い生徒の数と極端に悪い生徒の数が減って、平均点の近くにいる生徒の数が増えたことです。 これは、どうしてでしょう? もちろん、昨年度の生徒の成績がたまたまそうなったということもできますが、数学的に考察するのも何かの価値があるだろうと思い、本稿を書いています。 3観点評価以前の成績の付け方を確認しましょう。 定期考査の点数から算

      • 加重平均で株を買う例

        本稿ではFAANGを加重平均で買う例を示します。 まず、それぞれの銘柄の株価と株数は以下のようになります。 FACEBOOK: 290.53, 2,212,153,203 APPLE: 191.18, 15,728,702,000 AMAZON: 128.36, 10,260,353,688 NETFLIX: 438.34, 444,541,116 GOOGLE: 120.14, 5,874,000,000 時価総額は株価と株数を掛

        • さらば、たすき掛け! AC method!

          今回は2次式の因数分解をするときに使えるAC methodを紹介します。 YouTubeでAC methodを検索すると次の動画が上位に来ています。 動画の方が分かりやすいという方は、こちらを参照ください。(英語です。) それでは、上の動画に出てきている問題を解いてみましょう。 $${9x^2-12x-5}$$の因数分解です。 通常、このような式の因数分解では「たすき掛け」と呼ばれる方法を使いますが、今回はそれを使わずに「AC method」を使います。 整数$${

        住宅ローンの元利均等方式での返済に対する計算例

          数学の勉強方法(自分流)

          数学をどうやって勉強するのかが分からなくて苦労している人が多いと思います。正直、私もその一人です。そんな私ですが、実践している勉強方法を書いていきます。 まず最初にあげたいのは、 定義や定理は「どんな良いことがあるかに注目する」ことです。 定義や定理は何か良いことがあるから存在するはずです。 例えば、三角比を定義すれば正弦定理や余弦定理が導かれるのが良いところです。 正弦定理や余弦定理は、任意の三角形に対して外接円の半径を求めたり辺の長さから角の大きさを求めたりできるの

          数学の勉強方法(自分流)

          ワイルドナイツVSイーグルスの感想

          ワイルドナイツが逆転サヨナラコンバージョンゴールで勝った試合の感想を書きます。 まずイーグルの仕上がりがとても良かったです。 オフェンスもディフェンスも良かったです。 変な言い方ですが、ワイルドナイツは相手の良さを引き出すのが上手ですね。 ワイルドナイツは、選手をローテーションすることでチームの平均値を上げています。そのために同じ攻撃・防御システムを使い続けているように思われます。 イーグルスからすると、ずっと同じシステムを使い続けているので事前の研究がしやすかったので

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          【ラグビー】アセット・アロケーション

          株式や債券などに投資をする際に「アセット・アロケーション」という言葉が出てくる。 これは資産(アセット)の配分(アロケーション)という意味で、大きな枠組みの割合を指している。 例えば、 日本株式40パーセント 日本債権10パーセント 米国株式30パーセント 米国債権20パーセント という具合である。 アセット・アロケーションでは、具体的な株式や債権の銘柄は考えない。 具体的な中身はポートフォリオと呼ばれている。 どうしてアセット・アロケーションを考えるのかというと、

          【ラグビー】アセット・アロケーション

          【ラグビー】4ポッドの限界

          世界的に主流となった4ポッドですが、段々とディフェンスのシステムが対応してきたので、今となっては4ポッド一辺倒でアタックするのが難しくなってきているように見えます。 4ポッドに対応する防御システムとしてはワイルドナイツが採用しているものが分かりやすいです。端的に言えば、外側の選手が前に出て相手のポッド間の接続を分断してしまうものです。加えて、相手のポッドに対応して防御網にもポッドを作ることで効率的にしています。 したがって、特にゴールライン付近では4ポッドが機能しなくなっ

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          線型独立という考え方

          ベクトル$${\bm{u}, \bm{v}}$$が線型独立であるとは、未知数$${\alpha, \beta}$$の方程式 $$ \alpha \bm{u} + \beta \bm{v} = \bm{0} $$ の解が、$${\alpha = \beta = 0}$$しかないときを言います。 これを考えることで何か良いことがあるのか?というのが初めて見た人の印象だと思います。 線型独立というのを考えるモチベーションのひとつは、表現の一意性が成り立つことにあります。つま

          線型独立という考え方

          ICTと教育

          そもそもの話から始めると、教員は労働として「教育」に関わっているのだが、本来は、教育は労働とは別ものである。 ICTを活用した教育が進められている。 これは、労働としての教育を深化させようという動きである。教員を労働者と見るならば、そこで提供されている教育は商品化されたサービスなのである。

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          プラスチックのトランプ

          コロナウイルス関連でギガスクール構想が加速され、大阪府の高等学校では生徒にクロームブックが配布された。 そこで話題になるのがクロームブックを授業でどのように活用するかだ。 グーグルクラスルームを使った連絡やグーグルフォームを使った課題などがよく使われている。 新しいものを取り入れた授業にはこれまでにない可能性があるし目新しい魅力もある。 しかし、常に新しいものを探し続けなければならない忙しなさもある。 最新の流行を追い続けることは必ずしも授業にとって良いことではない

          プラスチックのトランプ

          ベクトル空間

          高校の数学の授業で習うベクトル。 ベクトルとは何かとうと、ベクトル空間の元のことである。 では、ベクトル空間とは何かというと、いくつかの公理(条件)を満たす集合のことである。 ということで、つらつらとベクトル空間の公理が述べられることになるのだが、これが初心者にはとても複雑に見えることが多い。 要するに足し算とスカラー倍があって、あとはそれに関連するいくつかの自然な条件があるくらいに思うくらいが初心者にはちょうど良いのではないかと思う。

          ベクトル空間

          生徒がつくるまとめプリント

          私の授業では、生徒自身にまとめプリントを作らせています。 枠だけのプリントを渡してまとめさせることもありますが、 今回は漫画をつかって、まとめを書かせることにしました。 白塗りした吹き出しの中にまとめをかくというアイディアです。 まとめプリントというと、テスト対策プリントのイメージがありますが、 このプリントは生徒自身が自分の苦手なところをまとめるプリントです。 生徒自身がまとめることで自発的な学習につながると考えています。 また、限られたセリフのスペースの中に書かなけ

          生徒がつくるまとめプリント

          なぜ逆像法がうまくいくのか

          与えられた関数の最大値や最小値を求める方法のひとつに逆像法があります。本稿では、どうして逆像法で最大値や最小値を求めることができるのかを解説します。 自然数$${n}$$に対して、$${\Omega \subset \mathbb{R}^{n}}$$を適当な領域とし、$${f: \Omega \to \mathbb{R}}$$は最大値$${M}$$をもつ関数とします。 逆像法とは要するに$${M}$$を求める方法です。 逆像法を説明するには、逆像の説明をする必要がありま

          なぜ逆像法がうまくいくのか

          2022年度大阪府教員採用試験の数学の問題

          2022年度の大阪府教員採用試験で次のような問題が出されていました。 $${f(x)=\displaystyle \frac{2\sin x + 2}{\cos x + 3}}$$の最大値を求めよ。 分数関数というのが面白そうだったので解いてみました。 いわゆる逆像法というのを使います。 具体的には、実数$${k}$$に対して、 $$ f^{-1}(\{k\})=\{ x\in \mathbb{R} | f(x)=k \} $$ が空集合とならないような$${k

          2022年度大阪府教員採用試験の数学の問題

          コラッツ型の数列のシフト関数について

          コラッツ型の数列 数列$${\{a_n\}}$$がコラッツ型の数列であるとは、$${a_n}$$が偶数のときに$${a_{n+1}=a_n/2}$$となり、$${a_{n}}$$が奇数のときに$${a_{n+1}=3a_n+1}$$となる数列のことをいいます。 数列$${\{a_n\}}$$がコラッツ型であれば初項の値に関係なく、ある自然数$${N}$$に対して$${a_{N}=1}$$となるだろういう予想があります。これはコラッツ予想とよばれていて、懸賞金がかかっています

          コラッツ型の数列のシフト関数について