強くなるための涙

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「子どもみたいだったじゃん、俺ら。寄せたらダイレクトではたかれて。でも、寄せなくちゃ、ボールを持たれるしね。」


「ただ(安部)裕葵なんかの顔を見ると、自分もああいうときがあったなって思った。あいつは最後まであきらめず、ボールを追っていた。俺もああやって戦っていたなって思いだした。チャンピオンズリーグでマン・Uとやったときなんて、左サイドまでボールを取りに行ったなって。」


そんな安部は試合後、涙を流している。それについて訊かれた内田が言葉に詰まった。


「わかるんだ、俺は裕葵の気持ちが(涙声。ハナをすする)。自分がやってきたものがね、今まで。サッカーボールを蹴り始めてから。差をね。痛感すると、間違っていたのかなって(消え入りそうな声。涙をこらえる)思ってしまう。裕葵の気持ちと俺の気持ちが同じかわからないけれど、もう追いつけないのかなって……それを、思い出した」


「こういう相手とやって、もう追いつけないと思うのか、自分がヨーロッパへ行ってやってやろうと思うのか、それによって、選手の位置というか、プレーヤーとしてのレベルが変わってくるから」


「(安部は)日本にとどまっている選手じゃないと思うよ。今日の涙を見てもわかる。こういう気持ちをきっかけにして、強くなっていくもんだと思うから。今日のあいつの涙が今後の日本のサッカーにとって、なんかいいきっかけになってほしい。裕葵はそれくらいのポテンシャルを持っているから。」


「俺らがレアルと対戦して感じるものを、レアルの選手が知っているのか、知らないのかはわからないけれど、この思いは、我々にとってはすごい大事。日本という国、鹿島というチーム、裕葵という選手、聖真という選手にとってはね。この大会は無駄にしちゃいけないと思う。」


「年取ったな俺も。こんなことをいう日が来るなんて思わなかった。後輩のことを自分とダブらせて、涙ぐむなんてことはないと思ってたけど、かわいいんだよ、後輩は。」

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