見出し画像

でっかいダツを食べる試み②〜持つべきものはデカイ厨房と料理人の身内〜



前回はコチラ↓


皆さんこんにちは。暖かい日が続いて油断していたら突然の豪雪に見舞われて泡吹いて倒れた新潟県人こと藤助です。

さて、前回くっそデカいダツを釣り上げたものの、デカすぎて一般ご家庭のキッチンではまな板に乗せる事すら不可能。

藤助家のクソ狭限界キッチンでは到底太刀打ちできまい


ごらんになって、この大きさ!


しかし皆さま、安心召されよ。

こうなれば最後にして究極の手段…

実家の厨房をお借りしよう


めんどくさい作業はぜーんぶここで。
毎度お世話になります


こういう時、実家がお料理屋さんだと大変助かる。ながーいダツが収まるまな板、良く切れる各種包丁、調味料、何でも捌ける板前さん、なんでも御座れだ。


まずはサッパくん達からいきましょうか


サッパ沢山と小アジ3匹、よくよく見るとコハダも何匹か紛れているが、全部お酢で〆る事にする


まずは鱗をとって頭を落とす


腹も落とし


内蔵を掻き出して洗う



背骨と



腹骨をすきとる


1つずつ小骨を抜いて、うむ、圧巻



父上、お塩をお願い致す



父「ここまで綺麗に並べる必要は無いんだけど、
キチンとやった方がテンション上がるよね」


塩を馴染ませ臭みと水分が抜けたら
お酢にしばらく漬ける。
本当は一昼夜がベストだが、時間がないので簡略



余分なお酢をとる



美しい仕上がり。


ここまでで結構な時間がかかっているが、途中でやめるわけにもいかない。
お次はメインのダツ君だ

基本的に外道として扱われ、食用として好んで釣る人は稀で、「仕掛けがめちゃくちゃにされる」「鋭い歯で釣り糸を千切られる」「ダイビング中にライトに突進してきて怪我・死亡する事故がおこる」「小骨が多くて可食部位が少ない」等のネガティブな噂が絶えない魚。

料理人歴ウン十年の父も、「扱ったことは無いけど、多分美味しくないかもなぁ~」と言うが、まぁまぁ、何でも経験するが吉である


母「暇だったから早く帰れると思ったのに〜!」
と言う声を尻目に2ラウンド目開始


瑠璃色の骨にビックリ!



綺麗な白身


腹骨をすく


小骨も抜けるっちゃ抜けるけど、
流石に手間すぎるので切とっちゃう



皮をとって完成




すべての下処理が終わったので、後はプロの板前さんにバトンタッチして、刺盛りを作っていただく



左上がダツで左下がコハダ
鹿の子の切れ目がついてるのがサッパ、右下がアジ



我が父ながら素晴らしい出来栄え!
最高の刺盛りである。

さっそくアジからいただいてみると、脂がのったり旨味がバツグンに濃かったりする訳では無いけど、やはり安定の味。

サッパも、ほうほう、コハダより「さっぱり」してる味だからサッパ…というわりにしっかり美味い。

これは食べ比べても判んないかもなぁ…とコハダを食べてみると、一瞬「あっ!」と思う程に違いがある。うまいこと言えないが、脂の感じとか香りとか、やっぱりこっちの方が一段上の様な気がする

さて、お待ちかねのダツは…
こりもち、とした食感、一見淡泊かと思うが、むぐむぐと味わってみると、奥の方に石垣貝のような旨味とほんのりとした甘さが舌にじわと広がって消える。

これは、結構美味くないか…?

いや、かなり美味い!

格好つけて「珍しい魚だし、せっかくだからお客さんに食べてもらってよ!」と、ほとんど父にあげた事を後悔する位には美味い。

あたしって、ほんとバカ

あっという間に食べきってしまい、ちょっと勿体ない気持ち。また釣れたら、次はどうやって食べようか
唐揚げも美味しいみたいなので、ぜひ食べてみたいものだ



追記

世間様では危ない上に小骨が多くて臭い!等とまったく相手にされていない可哀想なダツ君だが、個人的には釣って楽しい、捌いて楽しい、食べて美味しいと一石二鳥、三鳥と大変お得な魚だと思う。

危険さは弁明の余地は無いが、可食部位はこのくらいの大きさなら普通の魚と変わらないし、臭さは住んでいる場所や餌、処理までの時間などによって大きく左右される物だし、「不味いと聞いたことがあるので食べない」ではなく、一回くらい挑戦してみても良いんじゃないかな

少なくとも、今回のダツ君は青魚特有の香りはしたけど臭味もなく大変食味良好な個体でした

あと、このエメラルドグリーンの美しい骨を実際に見てみて欲しい

大人になってから久しぶりに感動したので、ぜひこの気持ちを共有したいのです


青くて綺麗な骨にはしゃぐ30歳


それでは皆さん、良い野食材ライフを

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?