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【インド映画】Salaar: Part 1-Ceasefire

監督: プラシャント・ニール
出演: プラバース、プリティヴィラージ・スクマラン、シュルティ・ハッサンなど
上映時間: 2時間55分

テルグ映画の新作「Salaar: Part 1- Ceasefire」映画館で鑑賞してきました。監督は近年大ヒットしたカンナダ映画「K.G.F」のプラシャント・ニール、主演は「バーフバリ」のプラバースと、この時点で南インド映画らしいスケールの大きな作品が期待できます。Salaarは指揮官という意味。Ceasefireは停戦。Part 1ということで、続編を想定した物語の作りになっています。

時は1985年、カンサールというインド内の都市国家で、国王の息子でマンナー族のヴァルダー(プリティヴィラージ・スクマラン)はショールヤンガ族のデーヴァ(プラバース)と唯一無二の親友でした。ある日ヴァルダーの父親のラジャ・マンナーは、敵対するショールヤンガ族を排除するためにデーヴァと彼の母親を襲撃します。しかし親友のヴァルダーが仲裁をし、二人の命を救います。しかし二人は国外追放となりカンサールを去ります。

時は進み2017年、インドのビジネス界の大物クリシュナカントの娘のアーディヤ(シュルティ・ハッサン)が、ニューヨークからバラナシにやってきます。彼女は父親と敵対するグループに命を狙われますが、クリシュナカントの命によりアーディヤはアッサム州のティンスキアという村に逃れます。そこにはカンサールを去ったデーヴァと母親が住んでおり、彼のもとであれば安全と踏んだのです。アーディヤは素性を隠し、デーヴァの母親が校長を務める学校に英語教師として赴任します。

最終的には居場所を突き止められ、彼女は捕らえられます。しかしデーヴァが圧倒的なパワーで敵をやっつけて、彼女を救いだします。救出された彼女の腕にはカンサールの紋章が捺されていました。そしてテーヴァの活躍は彼女の拉致を企てたカンサール王国幹部でヴァルダーの義理の姉ラダー、そしてヴァルダーにも伝わります。

ストーリーはやや難解です。そしてこの後さらに登場人物が増え、物語はさらに複雑になっていきます。英語字幕を追いながらというのもあったのですが、正直ストーリーを追うのでやっとでした。これがこの映画の特徴でもあるのですが、マイナスに働いている側面もあります。複雑すぎるのもそうですが、どうしても解説的な場面が多くなり、退屈なシーンが長くなってしまいます。

しかしその退屈さを吹き飛ばすのがデーヴァ(プラバース)の圧倒的なアクションシーン。もう強すぎて笑ってしまいます。敵が想像の5倍ぐらいぶっとばされるんですよね。ほぼ北斗の拳です(笑)。デーヴァが無口に大量の敵をひとりで倒していくシーンは圧倒的爽快感です。

この強靭な肉体を持つヒーロー像は、南インド独自のものです。理由としては南部では北部に比べ貧困層が多く、大衆映画がヒットする傾向が強いというのがあるのじゃないかと推測しています。野暮なことを言うと、敵が吹き飛ばされる距離や、大勢の敵が丁重に一人ずつ戦いに来たりする姿には、正直リアリティ皆無です。でもそれが古くからのインド映画の特徴であり魅力でもあるので、この文化は南部では続いてほしい限りです。ボリウッドではこういった理不尽さは失われつつあるので。

信心深さも関係しているかもしれません。僕はあまり行ったことがないのですが、南部の人の方が信仰心が篤いイメージがあります。それが故にヒーロー像には必然的に神話の神様と重ねる傾向があり、シヴァのような圧倒的な強さが好まれるのかも。

この構造だと主人公のキャラクターが物語の面白さを左右するので、その点ではデーヴァはかなりわかりやすくて魅力的なキャラに仕上がっています。キレやすいけど、仁義と人情に厚く、母親を誰よりも大切にする。特にインド人に刺さりやすいキャラクターだと思います。

「Salaar: Part 1-Ceasefire」はザ・南インド映画といった、主人公役のプラバースの圧倒的な強さを売りにした映画。物語が難解で盛り上がりに欠ける部分があるが、伏線も多く張ってあるのでPart 2にはかなり期待できそう。


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