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【洋画】シャイニング(1980)

監督:スタンリー・キューブリック
出演:ジャック・ニコルソン、シェリー・デュヴァル、ダニー・ロイド、スキャットマン・クローザースなど
上映時間:2時間20分

以前鑑賞した「恋愛小説家」がとても面白くて、他のジャック・ニコルソンの作品も見たいと思い鑑賞。見るのは2度目。

ストーリーは小説家志望のジャック(ジャック・ニコルソン)が、コロラド州・ロッキー山脈のホテルで、豪雪による冬季閉鎖期間中に管理人として住み着く職を得て、妻のウェンディ(シェリー・デュヴァル)と一人息子のダニーを連れて、そのホテルで生活をするという話。

しかしそのホテルはいわくつき。以前管理人をしていた男は、孤独で頭がおかしくなり、家族を斧で殺して自分も死んだという。しかしジャックは特に気に留めず、家族にその話をすることもなく仕事を引き受けることに。
息子のダニーは「シャイニング」と呼ばれる予知能力を持っており、ホテルに行く前からそこで暮らすことに危機感を覚えていた。

タイトルの「シャイニング」は、息子の超能力の名前なんですね。ただシャイニングの能力が生かされることはあまりなかったような(笑)。この一筋縄では理解できない感じが、キューブリックっぽい。

ストーリー自体もスリル満点で素晴らしいのですが、やはり演出が見事すぎました。
スリラーなので緊張感の維持が肝心なのですが、それを音と映像で途切れないようにする演出が見事。まず音楽・BGM・効果音、めっちゃ恐怖を煽ります。細かいところでも「キャンキャンキャンキャン」みたいな音が鳴りやまず、常にハラハラさせられます。

シーン切り替えはフェードイン・アウトを多用することで、緊張が切れないようになっていました。場面転換は決まって真っ黒な画面に白字で日時を記す演出。黒ってなんか怖い感じがあって、ここも絶妙に緊張の糸を切らさないんですよね。

あと衣装やセットも芸が細かいなーと。ダニーの服装がミッキーマウスや、アポロなど子供っぽくて夢のあるものなのですが、それがこの映画の絶望的な世界観と対をなしていて狂気を感じます。
キューブリックでミッキーといえば「フルメタルジャケット」を思い出します。あのラストシーンは、今でも映像が頭に焼き付いています。

ホテルのカーペットの模様も狂気性の演出に一役買っていました。幾何学模様の連続したあのカーペット、ずっと見ているだけで気が狂いそうになります。

シーンでいうと、シャワールームから裸の女性が出てきて、ジャックがその女性とキスをするというシーンが一番強烈でした。
あの女性、めっちゃ怖かったです!!裸の女性を見て「エロい」じゃなくて「怖い」と思ったのは生まれて初めてかもしれません(笑)

しかし一番トチ狂っていたのはジャック・ニコルソン。狂いすぎてて思わず笑っちゃいました(笑)。
これは演技が凄すぎるという笑いもそうですが、笑うことで恐怖感を和らげるという自己防衛反応が働いたためとも感じました。見る側をこんな状態に陥れるジャック・ニコルソン、あっぱれです。最後のあの顔はもう最高すぎた!!

シェリー・デュヴァルも、ダニー・ロイドも、ディック役のスキャットマンも、全員素晴らしい演技でした。ダニーとディックがシャイニングで交信するシーンは特に鳥肌ものでした。

あとから調べてみたら、キューブリックが彼らにかなり強烈な演技指導をしていたとのこと。シェリー・デュヴァルにはテイクを重ねるだけでなく、怒鳴ったり罵声を浴びせたりすることで、極限のプレッシャー状態に追い込んでいたと。スキャットマン・クローザースにはあるシーンで140テイクも撮り直したとのこと。

今の時代だったら完全にアウト(笑)。ただキューブリックの作品に対して妥協を許さない姿勢は、プロフェッショナルだな〜と。

「シャイニング」はキューブリックの凄腕演出、ジャック・ニコルソンを始めとする出演者たちの怪演によって繰り出される狂気的スリラー映画です。
素晴らしい作品だけど、向こう1年は観たくないなー。すげえ疲れます(笑)

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