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【インド映画】Dr. Babasaheb Ambedkar(2000)

監督:ジャッバル・パテール
出演:マンムーティなど
上映時間:3時間

昨日映画「ガンジー」を見て、ある人物を思い起こさずにはいられませんでした。それがこの映画の主役であるアンベードカル。
アンベードカルはカースト制度による差別撤廃のための手段を巡って、あのガンジーと対立した男です。そしてガンジーは彼の意見を通さないように、断食をして死にかけています(最終的にはアンベードカルが折れました)。

そんなアンベードカルはカーストの最下層よりさらに下の「アウトカースト」出身です。ただ親に幼いころから勉強の大切さを教えられ、大人になることにはめちゃめちゃ賢くなり、アメリカやロンドンへ留学にも行きます。

上記の通り才能に満ち溢れたアンベードカルですが、カースト制度はそんなことお構いなし。アウトカーストだからという理由で、他のカーストの人と同じ水を飲めない。ホテルにも泊まらせてもらえない。さらにはヒンドゥー教徒なのに寺院への立ち入りも禁じられている。
ほんま昔のカースト差別むちゃくちゃですよね。

これらのことに耐えかねて様々な反対運動を起こしていきます。
アウトカーストが飲むことを禁じられている貯水池の水を、仲間をたくさん引き連れて飲みに行ったり、ヒンドゥー寺院にも強引に入っていきます。

そして弁護士になったアンベードカルは第2回英印円卓会議に出席し、被差別階級の人がちゃんと選挙でえらばれるように被差別階級だけが選挙権、被選挙権とも持てるような特別枠を作るように提言します。
これに反対したのがガンジーです。「そんなことをしてはカースト間の溝がより一層深まる」と言って断固反対。そして断食へと至るのです。

いやー、ムズい。どっちも正義なんですよね~。
確かに過去の歴史を見れば特別枠でも設けない限りアウトカーストが選ばれる可能性はほぼゼロな気もします。
ただそれによって完全にカーストで区別することによって差別意識がより一層強まるのも事実。実際現在インドにある留保制度(大学入試や公務員試験でのアウトカーストの特別枠)は、高カーストが逆差別にあっているなど批判の声も上がっていて、よりカースト対立意識が強まっているという側面もあります。

ただ実はこのカーストに対するガンジーの考え方は、結構批判的な意見も多いところなんです。なぜならガンジーはカースト制度自体はそのまま残して、差別だけを撤廃するといっていたからです。
カースト制度は差別とは切っても切り離せないものなのに、何を非現実的なことを言っているんだと、特に不可触民からはあまりよく思われていなかったともいわれています。

結局はアンベードカルの求めていた分離選挙は撤回されますが、不可触民の議席は当初アンベードカルが要求していた倍の議席が与えられることになりました。妥協案ってとこですかね。

インドが独立を果たすと、アンベードカルはインド憲法の草案の作成を任されます。この功績がインド国内では一番有名かもしれません。
「インド憲法の父」とも呼ばれています。
もちろん、カースト制度による差別禁止という法律も入れています。

しかしその法案自体にもヒンドゥー教徒から批判の声が上がったり、結局完全に差別を撤回するには至らず、最終的にアンベードカルは約30万人の不可触民と共に仏教徒に改宗します。
改宗に至るまでに色んな宗教からオファーがあったのですが、アンベードカルは仏教を選びました。
理由はアンベードカルが昔から仏教に興味があったことと、仏教の三原理(知恵・慈悲・平等)がより幸せな人生を送るために必要だと思ったから。

アンベードカルはその2か月後に亡くなりますが、彼が集団改宗を行ったナグプールには今も多くの仏教徒がいます。
そのトップにいるのが日本人の佐々井秀嶺氏であるというのがまた面白い。
いずれナグプール行ってみたい!

っていうストーリーです(笑)
この人もインドにおける重要人物のひとりなので、興味のある方はぜひ!


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