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#40 ライバルの存在

日本講演新聞
ライバル意識~強くなって初めて気付いたことスポーツライター/元女子マラソン五輪選手 増田明美さんのお話です。


私が競技生活で「あってよかった」と思うのがライバルの存在です。ライバルに感謝することができれば実力も伸びていきます。

私は陸上で高校に入学し、監督の先生のところで下宿生活をしていました。

ふすま一枚隔てた隣の部屋に住んでいたのが私のライバル「亮子」です。私たちは女同士で、同じ種目でしたから、ずいぶん足の引っ張り合いをしました。

例えば、よく彼女の部屋に忍び込んで30分くらい時計を遅らせていました。するとグラウンドに着くのが遅くなり、その間に私が余計に練習できるんですね(笑)。

それから、「彼女はどんなこと考えて練習してるんだろう」と気になって、お風呂に入っている時に彼女の部屋に忍び込み練習日誌を読んだりしました。

「彼女も私の日誌を読んでいるに違いない」と思い、私がお風呂に行く時には、最後に書いた文字と鉛筆までの距離を定規で測っておきました。彼女がもし盗み読みをしたら、その距離がずれるので分かると思ったんです。

で、お風呂から帰ってきて測ったらやっぱりずれていました(笑)。

そういう私たちの関係を監督は知っていたらしく、ある日私たちに言いました。

「日本のトップに立つほどの強い選手というのは何より人格が大切だ。お前たちが互いに、『相手がいるから頑張れる』と刺激し合えることに感謝できた時、二人とも強くなれる。ライバル意識は高尚でなければいけない」と。

 そして気付きました。

「私は亮子がいなかったらこんなに練習を頑張ってこれなかった。亮子は自分を限界まで引き上げて練習させてくれた。やっぱりライバルの存在は必要」と。


物凄い話である。
絶対に負けたくない。
本気度が伝わってくる。

しかし、ライバルがいたからこそ、自分の実力が上がったことは間違いない。誰をライバルにするかの重要性も感じる。

正直、ライバルは鬱陶しい存在である。
しかし、ライバルは自分一人では辿り着けない場所まで運んでくれる存在である。

よきライバルと出会い、受け入れる。
あなたにはどんなライバルがいますか?

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