No.121 「弱者男性の姫」とその周辺の考察

「弱者男性の姫」お天気キャスターの熱愛宣言に飛ぶ誹謗中傷! ファン激怒の背景に“アイドル営業の側面”

とかいうニュースに関連して何気なくしたクソどうでもいい tweet

https://twitter.com/sibusibuyanyan/status/1677555347207364608

がプチバズりしたので, 「弱者男性の姫」とその周辺について書いておく.

 ちなみに本稿は檜山沙耶の騒動そのものとは何の関係もなく, 一切触れない (彼女には個人的興味は何もない).

1. 「弱者男性」と「弱者男性の姫」

 まず驚くべきこととして, 「弱者男性」という言葉はちゃんと(?) Wikipedia に項目があるということである.

尤も, これを眺めてみてもイマイチ定義がはっきりしない感じがする. たとえば, ``ひろゆき''(こんなところで``ひろゆき''を refer している時点で``お里''と程度の知れる概念, 用語だと思うが)によればいわゆる「無敵の人」と似たような感じらしい. 

 ただ, ここにある色んな言説を比べてみても, 確かに男性にとって異性のパートナーの有無が弱者男性の判定条件の一つであることは確からしい. 実際, これを

「貧困男性」

と言わないあたり, 経済的貧富(金の無い弱い男)よりも女の有無(女のいない弱い男)の方をより強調した用語なのだろう. つまり

「未婚男性かつ, 更に財力, 容姿, ステータス等々の何らかの条件を満たしているもの」

が弱者男性らしい. これだと

「既婚男性は皆弱者男性ではない」

ということになってしまうので, 明らかに変な概念だとは思うが, とりあえずそんなようなものだとする. 

 他方, 流石に

「弱者男性の姫」

という言葉は今回初耳である. 当然 Wikipedia にも項目は存在しない. 「姫」はここでは「アイドル」的な解釈で良いと思う(それ以上の解釈はできまい). だが「弱者男性の姫」を

「未婚男性のアイドル」

と読み替えると流石に何も言っていない(むしろ「既婚男性のアイドル」の方が意味のある用語だと思う). せいぜい

「弱者男性の姫」~「弱者男性のアイドル」

くらいが限界か.

 無論「姫」と「アイドル」にも違いがある. 個人的, あるいは昭和的イメージだが前者の方が「よいしょ」されているイメージ. いわゆる「おひいさま」って感じ. 今年で90の私の祖母も大分育ちが良くそんな感じで, たとえば自販機で物を買ったことはない(買えない)し, エスカレータに乗れない(エレベーターはOK). 他方, 後者の方は「職業人」, あるいはその道の「プロ」という感じだろうか. 

 それで今回の「弱者男性の姫」とその騒動である. これを通じてもう少し「弱者男性の姫」について考えてみる. 今回渦中の檜山沙耶が「弱者男性の姫」か否かということは正直どうでもよい. そうであるかもしれないし, そうでないかもしれない. だが思考実験としてとりあえずはそうであると仮定しよう.

 そうするとまずわかるのは

『「弱者男性の姫」は弱者とは限らない』

ということである. 檜山沙耶に関しては私は人並み以上のことは知らないが, 少なくとも弱者側の人間では無さそうである. 

 次いでわかるのは

『「姫」は弱者とは限らないが, 弱者男性が大量に群がっている』

ということである. この「群がっている」というのも中々難しいところで, 今回の事例に則れば, 恐らく群がっている個々とは面識があるわけではない(「姫」が下々の者と一々面識があるわけではない). つまり「群がっている」連中は「姫」の人間関係に属しているわけでもなく, よくいえば「顧客」, 悪く言えば下僕そのものということである.

 それと関連して言えば

『「姫」は弱者男性から搾取している』

ということが挙げられよう. というか今回の事例で思ったのは

『むしろ何らかのシンボル的な意味での「姫」が先にあって, それに何らかの意味(時間, 労力, 金, 熱意, etc.)での搾取をされている男性を(未婚既婚問わず)「弱者男性」と呼んでいるのでは?』

ということである. 少なくとも今回「弱者男性の姫」云々の記事(こんなものが記事なのか…)を書いた人間の認識はそんな感じがする. そう解釈していくと, 確かに「姫」という呼称にはそれなりに整合性がある気がしてくる.

 そういう意味では, Twitter にも書いたように「弱者男性の姫」は

「全方位に的確にケンカを売っていくパワーワード」

であると同時に

「事実陳列罪」(という名の「名誉棄損罪」の典型例)

でもあると思う.

2. 「弱者男性の姫」商法とその問題点

 一つ気になったのは

『コレを書いた当の本人は弱者男性か否か?』

ということである. 私はなんとなく前者という風に感じた. つまり搾取されている奴隷側のルサンチマン(とまではいかないかもしれないが)的なものを感じた. それはこういう事情である. 

 「奴隷」を「奴隷」のままに飼い殺しにして, 生かさず殺さずうまく絞り続けるコツは, 兵頭会長もいつか言っていた気がするが

『その当事者たちを「奴隷」と気付かせないこと』

である. 世の中を見渡せば, そんな仕組みばかりだと否応なく思い知らされるのが人生だが, 逆に絞る側もその状況に慣れすぎているのが昨今である.

 そりゃあ, そうだろう. だって, どんなブスで, どんなにバカだろうが, ちょっとかわいい絵をつけて, 動かすだけで, バカのように金を集めることだってできるのだ. それとて簡単ではないが, 一度そのうまい仕組みを構築してしまえば, 「姫」の引退とかそういう事情でもない限り, 決まった額を絞り続けるのは難しくない. それが正に

「弱者男性の姫」商法

である.

 こういうのは古今東西問わず「エンターテインメント」と名が付くものは多かれ少なかれそういうものであるが, 正直 old-fashioned な私としては昨今はそれが目に余るというか, 余りに阿漕で悪質なケースが多すぎる気がしている. 問題点は色々あるが, たとえば, 搾取のサイクルというか,

「常態化してしまうまでのスピード(「奴隷」をナメるようになるまでの時間)が異常にはやい」

ことである. それは人道的, 倫理的問題も然りながらリスクマネジメント的に非常に危ういと感じるからである. 

 つまり搾取が常態化してくるとそれでは足りなくなってくるのが人間の性, 業である. そうなれば今いる「奴隷」は今以上に絞るのが「当たり前」であり, 更に新たな「奴隷」を連れてくる欲求も抑えがたくなってくる. 

 そんなことが続くうちにどうなってくるかというと, 当然のことながら「奴隷」の制御が難しくなっていくのである(だってストレス過多が常態化して, その数も増えていくから). にも関わらず, リスク管理は疎かにしたままなのだ(だってそんなことしなくても今まではなんとかなってきてしまったから). いずれ限界はきて, 何らかの危機的状況が発生する. 

 恐らくこのテの界隈の炎上騒動の構造的要因はこういうことなのだと思う. 昔はこの辺のマネジメントはそれなりに慎重にやっていた(し, マネジメントやコントロールができた時代だった)が, 昨今はYouTube等でこの辺が「大衆化」してしまい「玉石混合」というより既に「悪貨に駆逐されてしまった」状況になっている. 私ならそんな「地獄」に行くのは金を貰ってもゴメンだが, 当然ながら「飛んで火にいる夏の虫」は後を絶たない. 

 そんな中で「姫」が重要になるのはわかる(正に「画竜点睛」と同時に考えてみれば「なんと哀れな」とも思う). そして「弱者男性の姫」商法の中で当の「姫」がどこまで自覚的か否かは別問題で, 単なる「神輿」だった場合には彼女も「姫」という役割を与えられた「奴隷」の一人に過ぎず, 被害者とも言える(ただし, 兵頭会長も言うように『(仕組まれているとはいえ)「奴隷」は自身で「奴隷」であることを望む』傾向があるので, 実際には単純な被害者とも言い難い). 実際, その「現実」にふと気づいてしまい, 「地獄」から抜け出した者も少なからずいるかもしれない(ちなみに私がVTuberが引退する時に「解脱」と呼ぶのはそういう意味がある. 無論「解脱」に至らず再び「地獄」に「転生(!!)」してしまう輩も多いし, 「解脱」して「地獄」は抜け出せても, 今世で人として生きる以上「六道輪廻」は抜けられない. それでもあの「地獄」よりはずっとマシだと思ってしまう).

 だから「結婚」だの, それに「引退」だのなどというのは喜ばしい事であって, 本来こんなワケがわからん騒動になることはないのだが, 炎上してしまうのはそれが「地獄」で「弱者男性」と呼ぶ魑魅魍魎相手に金を絞ってきた対価ということなのだ. 今回の檜山沙耶を例にすれば, そんな魑魅魍魎を相手にしない(文字通り「歯牙にもかけない」,「眼中にも無い」)お天気キャスターは腐るほどいる(というかその殆どがそうだろう)中で, グッズだの何だのを売り出しておいて, 今更

「そのリスクは負いたくありません」

では話が通らないだろう. 

 今回のnoteの発端になった「弱者男性の姫」云々の記事も, 私にはその対価の一種のように思えた(実際にどうかは知らんけど). それは絞られてきた「弱者男性」達の怨嗟の声であり, 奴隷に「自分たちは所詮奴隷だ」と気付かせてしまった(リスク管理を疎かにした)悪手により払うペナルティとして享受すべきである. それができないとしたら, 悪党にももとる三下のチンピラであり, そういう輩の末路など考えるまでも無かろう. 


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