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令和6年度税制改正大網によると経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)が改悪のようだ

こんにちは、しちゃうおじさん(以下「しちゃおじ」)です。

先日に{【令和5年分】確定申告(青色申告)完了~🎉そのまま【令和6年分】の「開始仕訳」をしておこう}の記事を書きましたが、ここを読まれている個人事業主(フリーランス・自営業)の皆さまは【令和5年分】の確定申告はお済みでしょうか?

所得税法では2月16日から3月15日までを確定申告期限と定めていますが、e-Tax(イータックス)からの電子申告であれば1月上旬(通常1月4日)から申告が可能ですので、毎年「しちゃおじ」は1月中に青色申告を終えて南の島に移動して仕事をしています。

で、【令和5年分】の確定申告をする際に、自民党と公明党が作成した「令和6年度税制改正大綱」を一読したのですが、{個人事業主(フリーランス)の節税対策と無駄な費用をかけない青色申告の方法を徹底解説!}の読者さんにも関係のある「経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)」が、どうやら改悪になりそうなので書いておきます。

✅ 令和6年度税制改正大綱は、自民党のホームページから閲覧できます。
https://www.jimin.jp/news/policy/207233.html

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経営セーフティ共済が節税にならない?

「税制改正大網」とは「税制改正案」のことで、PDFで121ページもあるので気後れしてしまいそうですが、「しちゃおじ」を含めた一般的な個人事業主の方であれば、「第二 令和6年度税制改正の具体的内容」の「三 法人課税」に目を通しておけば大丈夫です。

「令和6年度税制改正大綱」の86~87ページには、以下のように記述がされています。

(13)特定の基金に対する負担金等の損金算入の特例における独立行政法人中小企業基盤整備機構が行う中小企業倒産防止共済事業に係る措置について、中小企業倒産防止共済法の共済契約の解除があった後同法の共済契約を締結した場合には、その解除の日から同日以後2年を経過する日までの間に支出する当該共済契約に係る掛金については、本特例の適用ができないこととする(所得税についても同様とする。)。
(注)上記の改正は、令和6年10月1日以後の共済契約の解除について適用する。

ん~、これは経営セーフティ共済を活用した節税対策に柔軟性がなくなりました。

例えば「しちゃおじ」は令和4年の8月に経営セーフティ共済を解約しているのですが、令和6年9月30日以前の解約であれば同年12月に再加入をして一括前納をするなどで解約手当金(益金)の調整が可能だったのですが、令和6年10月1日以後の解約につきましては解約後の2年間は再加入をしても掛金を必要経費(損金)にできません。

掛金を必要経費にできないのであれば拠出しても資金が拘束されてしまうだけですので、つまりは解約後の2年間は経営セーフティ共済の利用価値がなくなりました。

ちなみに「しちゃおじ」が法人を経営していたときは、経営セーフティ共済の解約期には必ず再加入と決算前に一括前納(240万円)を行っていましたので、令和6年10月1日以後につきましてはこういった形の節税方法(課税繰延)が不可になります。

もちろん「税制改正大網」はあくまで「税制改正案」ですので、国会での審議を経て可否が決まるのですが、経営セーフティ共済の改悪については、まずこのまま成立するでしょう。

もともと、同一事業年度の解約と再加入自体が裏技っぽい感じでしたし。

なお「令和6年度税制改正大綱」の87ページでは、以下の記述も確認できます。

(14)中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例について、対象法人から電子情報処理組織を使用する方法(e-Tax)により法人税の確定申告書等に記載すべきものとされる事項を提供しなければならない法人のうち常時使用する従業員の数が 300 人を超えるものを除外した上、その適用期限を2年延長する(適用期限の延長は、所得税についても同様とする。)。

こちらは{【令和5年分】青色申告用の仕訳が完了!「少額減価償却資産の特例」の記帳(書き方)のみ注意。}の記事でも書きましたが、「少額減価償却資産の特例」の適用期限を2年延長するとのこと。

この「少額減価償却資産の特例」につきましては2年毎に延長ではなく、30万円未満の減価償却資産は一括で損金に算入できるように税制改正して欲しいくらい。

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ゴールポスト動かしたり後出しジャンケンはやめてね

冒頭の「第一 令和6年度税制改正の基本的考え方」の「(2)今後の個人所得課税のあり方」も一読したのですが、以下の記述が気になる。

① 私的年金等に関する公平な税制のあり方
例えば、退職金や私的年金の給付に係る課税について、給付が一時金払いか年金払いかによって税制上の取扱いが異なり、給付のあり方に中立的ではないといった指摘がある。また、多様で柔軟な働き方が一層拡大する中、働き方に中立的な税制を構築していくことが重要であるが、退職所得課税については、勤続年数が20年を超えると一年あたりの控除額が増加する仕組みが転職などの増加に対応していないといった指摘もある。こうした観点から、令和3年度税制改正大綱では、私的年金等の拠出・給付段階の課税について、諸外国の例も参考に給与・退職一時金・年金給付の間の税負担のバランスを踏まえた姿とする必要性について指摘した。私的年金や退職給付のあり方は、個人の生活設計にも密接に関係することなどを十分に踏まえながら、拠出・運用・給付の各段階を通じた適正かつ公平な税負担を確保できる包括的な見直しが求められる。

書いてある内容自体は理解できるのですが、これ読んだだけでも今後のiDeCo(確定拠出年金)も退職所得控除も ”改悪ありき” なのがわかる。

以前に{ガーン(꒪д꒪II)… iDeCo(確定拠出年金)と小規模企業共済と退職金の出口戦略が法改正で狂ってもうた}の記事で詳しく書いたけど、『包括的な見直しが求められる』とか言ってゴールポストを動かされても困ります。

それと、以下の記述は納得。

③ 記帳水準の向上等
また、個人事業者の場合、正規の簿記の原則に従った記帳を行っている者は約3割にとどまっているのが現状である。また、個人の青色申告における簡易簿記は複式簿記に移行するための準備的な段階としての役割も期待されているところであるが、簡易簿記での申告者の3分の1超が 10 年以上簡易簿記による記帳を続けている状況にある。近年、普及しつつある会計ソフトを活用することにより、小規模事業者であっても大きな手間や費用をかけずに正規の簿記を行うことが可能な環境が整ってきていることも踏まえ、複式簿記による記帳をさらに普及・一般化させる方向で、納税者側での事務負担、対応可能性も十分踏まえつつ、所得税の青色申告制度の見直しを含めた個人事業者の記帳水準向上等に向けた検討を行う。

{個人事業者の場合、正規の簿記の原則に従った記帳を行っている者は約3割にとどまっているのが現状である。}とありますが、フードデリバリーやネットビジネスをされている方で、まともな記帳と申告を行っている個人事業主の方は、おそらく5%も満たないと思う。

「正規の簿記の原則に従った記帳」と言われてしまうと腰が引けますが、会計ソフトを利用すれば記帳も申告も簡単だし年間1,000円前後の費用で済みますので、個人事業主の方は最早メリットのない簡易簿記でテキトー申告をしていないで正規の簿記(複式簿記)を覚えてしまうことです。

以下の記事は【令和5年分】の確定申告を踏まえた最新の情報に更新済みですので、まだ【令和5年分】が未申告な方や正規の簿記で青色申告をしたい方は、是非とも参考にしてくださいね!

以上 – 令和6年度税制改正大網によると経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)が改悪のようだ – でした。

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