「冬のひかり」より(海老名絢『あかるい身体で』)

日の出前、午前五時五十五分
寒さに身体が縮こまると
わたしの質量も減る気もする
カーテンを開けても暗いだけだから
遮光したままの部屋
冬は内側に目が向く

夜が一番暗い季節
長さもあって 押しつぶされそうに
感じる
ひとり分の生き方しか持ち合わせていない
まちがい探しすらできなくて
理由もなく落ち込む
時間が強制的に追い立てて
テレビから流れるニュースが
天気予報に切り替わったら、合図



海老名絢『あかるい身体で』収録
発行:七月堂

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