「水の旅」より(峯澤典子『あのとき冬の子どもたち』)

もう二度と会えないひとも
生まれてから一度もめぐり会えないひとも
同じ花の気配に変わる街まで
流れてゆくことを
旅、と呼ぶのなら

通りすがりの岸辺の
たとえば大聖堂や鳥の白さを
数えては
忘れるために
残りの時間はあればいい



峯澤典子『あのとき冬の子どもたち』収録
発行:七月堂

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