書家 辰巳紫瑛|心ととのえる書

書家 JapaneseCalligrapher/『心ととのえる書』。 日本人が古来よ…

書家 辰巳紫瑛|心ととのえる書

書家 JapaneseCalligrapher/『心ととのえる書』。 日本人が古来より大切にしてきた「ととのえる」を、書に織り込み届けたいと思っています。忙しない現代を生きていかなくてはならないからこそ・・・。 https://www.tatsumishiei.com/

最近の記事

アートブック「神迎え」刊行記念展示会&トークイベントがマスミ東京さん(東京・大塚)で開催されます

今年の1月1日にJapan Craft Bookさんが刊行されたアートブック「神迎え」。日本の神様の物語を日本の紙(和紙)で描かれた、それはそれは美しい美術本です。 この「神迎え」、島根県の隠岐・西ノ島にある焼火神社を舞台に1300年以上も伝わるお神楽のお話を、画家・水野竜生先生の水墨画、文筆家・稲垣麻由美氏の文で構成し、本石州和紙に印刷をし、この印刷以外はすべて職人さんの手から成るものです。未熟ながら、私も題字とお神楽の一節を書かせていただいております。 この「神迎え」

    • そういう流れになっている

      少々心ががさついて、無駄にイライラする時間が増えそうな気配だったその日、目の前のことを放り出して外に出た。 近所の小さな公園にある河津桜。その日はもう葉桜になり始めていた。私は、満開の桜より、精一杯開く花たちのすぐ下から、まだあさい緑色のクシュっとした小さな葉が見え始める葉桜に、強く惹かれる。 子どもの頃からそうだったので、周囲の大人にはよく不思議がられていた。 花は開くことに徹する。美しく開いてやろうとか、この後散ってしまう己の運命など微塵だって考えてはいない。葉の方も

      • プライドと命を懸けることと爆発

        岡本太郎氏といえば太陽の塔。 昭和生まれ世代、また特に関西出身の人間には心の拠りどころになっていることがあるでしょう。この私も言わずもがな。 私のバイブルともいえる太郎氏のご著書『自分の中に毒を持て』。時折読み返すのですが、そのたびに、「命を懸けているか。プライドを持っているか。」と問いかけられているように感じます。 その問いは自分が何者であるかを認めているか、弱いなら弱いでそれを受け容れること。 またプライドというものは、受け容れた自分のことを胸を張って世に開くこと。

        • 無事に会期を終えました

          辰巳紫瑛展〜心ととのえる書〜 昨日、無事に会期を終えました。 22日の搬入から丸1週間。お運びくださった皆様、様々な形で助けていただいた皆様、会場の桃林堂様、全ての方々に心から感謝申し上げます。 個展のタイトルを背負ったのは私ですが、1人ではとても出来なかったことを噛み締めております。 それを大事にし、また書く道を行きたいと存じます。 今後ともよろしくお願い申し上げます。 今あるのは、大いなる疲労感のみ。早めに解消する努力に励みます。 まだまだ書いていきたいので

        アートブック「神迎え」刊行記念展示会&トークイベントがマスミ東京さん(東京・大塚)で開催されます

          個展の初日を迎えました

          辰巳紫瑛展〜心ととのえる書〜 2024年1月23日(火) 12時 無事に初日を迎えることができました。 作品制作、表装、DMの準備、搬入。 どれもこれも私1人では出来ませんでした。 手を借り、知恵を借り、叱咤激励を受けて迎えた初日。「やれやれ」という諦めも含んだ安堵を胸にしています。 達成感も感慨もまだ湧いて来ず、未だこれで良かったのかな…と、展示した作品を前に首を傾げておりますが、ひとまずここが今の私の集大成。これ以上もこれ以下もありません。 未熟で拙い作品ではご

          近づく個展開催日を前に

          個展の作品を年末ギリギリに表装のお願いをし、会場にDMをお持ちしてと走り回って漸く迎えた年明けから、10日程が経ちました。 実は、近づいてくる個展開催日にまだワクワクする余裕がありません。 それでも時はきっちりと進んでいきます。 今の自分の心を無理に乗せて行く努力はやめよう…お気に入りのお香を聞きながら、展示する軸を前に自身に言い聞かせています。 この軸にしたためた文言は「放下著(ほうげじゃく)」。「執着を捨ててしまえ!」という強く言い切った意味を持ちます。 執着には色

          DMが出来上がりました

          年明けに開催する個展のDMが出来上がってきました。 拘ったのは「シンプルであること」。とても気に入っています。 会期中の27日(土)14時から、ギャラリートークの予定をしております。浅学でお恥かしいですが、少しお話させていただこうと思います。 ご都合許す方は、お運びくださいませ。 表具屋さんへ持ち込む締め切り間近です。 上手く行かないものもあり、少々苦しんでおりますが、自分のもっているものでしか書けないのですから、いい意味で図太く開き直っていこうと思います。

          個展開催のお知らせ 2024.1.23~28

          【個展開催のお知らせ】 辰巳紫瑛展〜心ととのえる書〜  2024年1月23日(火)〜28日(日)   於:桃林堂青山支店内画廊 この度、個展を開催するはこびとなりました。 6歳で近所の書道教室に通い始めてから、ただただ書くことだけが自分の中にあり、今に繋がって来ています。 何を成して来たか、と問われても答える言葉を持ち合わせていない未熟者でございますが、自分の中にあるものを書にすることに臨みます。 年明けの寒い時期ではございますが、お時間赦す方にお運びくだされば

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          11月14日・12月3日に開催した大人の学び舎・万年筆講座@Atelier&Gallery一凛

          去る11月14日と12月3日に大人の学び舎・万年筆講座を開催いたしました。 万年筆というと大人の持ち物。 そんな憧れにも似た思いをお持ちの方も多いと思います。 でも、日々使いこなすということに少し引け越しの方もいらっしゃることをよく耳にします。 数多ある筆記具の中でも、私は万年筆を一番好みます。 書き始める際の紙に当てたペン先の柔らかさと強さに、背筋が伸びるような、凛とした美しさをいつも感じています。 書き手の力加減によって、ペン先からは泉のように湧き出してくるインクの

          11月14日・12月3日に開催した大人の学び舎・万年筆講座@Atelier&Gallery一凛

          書が与える力

          月に1度、高齢のご婦人のプライベートレッスンに伺っています。 ピンクのお洋服がよくお似合いで柔らかい笑顔のその方は、足腰が弱くなられ、年相応の記憶のあいまいさをお持ちです。 毎回、私が用意していく手本を少し練習された後、色紙に清書されるのですが、いざ紙に向かい、筆を執られると、顔つきが締まり、目の光が強くなります。そして、ゆったりと筆を運び、力強く美しく書き上げられます。 先日すっくと立ちあがって清書をされた折には、その凛としたお姿に、付き添われているお嬢様も私も、ただた

          墨を磨る

          書の墨を磨る時、墨を握りしめ、力いっぱい、一所懸命に磨るのが良いと思っている方は多いと思います。これから書く意欲が墨に宿ってのことかもしれません。 でも、実はその逆。墨を硯にそっと触れさせるぐらいで、ゆっくり優しく磨るのが良いのです。病み上がりの人に磨らせるとよい、と聞いたこともあるくらいです。 固形の墨は硯との摩擦によって粒子が分解され、水と一体になって液墨になります。この粒子は細かければ細かいほど、伸びのある書き心地のよい液墨を作ってくれるのですが、力いっぱいガシガシと

          心ととのえる

          21世紀も23年を重ね、現代は「速い、簡単、便利」を求められることが多くなりました。 スマホやPCはあっという間に多くの情報を集めてくれ、それを手に入れるとすべてを経験したように感じられます。 でもかえってそれが、生活を忙しない(せわしない)ものにしているように感じています。 そんな中でふと自分の心を止める瞬間を持つことが出来たなら、或いは持つように意識して、作ることに努められたなら、またすぐに訪れる忙しない時間に向かっていく原動力となるように思います。 その瞬間が心をと