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【ハーブ天然ものがたり】ジュニパー


ジンの香り


地球上の樹木のなかでもっとも広い分布域をもつヒノキ科。
ジュニパーは和名セイヨウネズ、ヒノキ科ビャクシン属の針葉樹です。

北半球の比較的寒い地域に自生する常緑低木で、日本でもお庭の生垣となっているのをときおり見かけます。
大きさは栽培種なら人の背丈くらいまで、スカンジナビアの原野に自生するジュニパーはおよそ10mほどに成長するそうです。
果実を英語でジュニパーベリー(Juniper berry)といって、小さな実に香り成分が入っています。

ジュニパーといえばジンの香り。
手作り化粧品を愛用していた30代~40代のころは、化粧水のベースにボンベイサファイアをよく使っていました。
アルコール度数が高く、香りがよいので、精油を足さなくてもすっきり爽やかな化粧水やトニックをつくれます。
ただ手づくりなので、日持ちがせず、保湿力がいまいちでしたが…。

ボンベイサファイアの手づくり化粧水
・ボンベイサファイア15ml
・精製水75ml
・植物性のグリセリン10ml
材料をよく混ぜてできあがり

ボンベイサファイアにはジュニパーの香りだけではなく
・アーモンド
・レモンピール(レモンの皮)
・スペインカンゾウ(甘草の一種、リコリス)
・オリスルート(ニオイアヤメ)
・セイヨウトウキ(アンジェリカ)
・コリアンダー(葉っぱがパクチーと呼ばれるハーブ)
・シナニッケイ(カシア)
・ヒッチョウカ(長コショウ)
・マニゲット(ギニアショウガ)
がブレンドされていて、深みのある香りが楽しめます。

ジンはもちろん飲んでもおいしいですが、洋酒を飲むのが苦手なわたしは、ビールに少しジンを垂らして香りづけする飲み方が好みです。


ジンの香りで腎をととのえる


先史時代のスイス湖畔にある住居跡からジュニパーベリーの遺物が発見されています。
古代ギリシャでは伝染病対策に、チベットでも疫病対策に使用されてきた記録がのこっています。

ネイティブ・アメリカンはジュニパーを神聖な儀式に使ってきました。
中世のころは万能薬として考えられ、ジュニパーベリーをつぶしたものをお風呂に入れたハーブバスが、とくに気管支炎に良いと推奨されていました。
フランスの病院では長い間、ローズマリーとジュニパーを焚いて、空気を浄化してきました。

アロマテラピーでは体内の水をうごかし、めぐりをよくする効能が注目されています。
からだの不要な粘液をとかし、毒素排泄することから、殺菌作用はもちろん、利尿作用は特に注目され、リンパの流れをよくするためのジュニパー精油をつかったオイル・トリートメントは、アロマ・サロンなどでも王道メニューとなっています。
からだを温めて活性化するので、慢性疲労時や手足の冷え、腰痛やむくみのファースト・チョイスでもあります。

温かさとほんのりした甘さ、ピリリと刺激のある樹々の香りがマリアージュされた独特の芳香を聞くと、チベット人やネイティブ・アメリカンの人々が神聖な儀式につかってきたのが頷けます。

邪を払い、心のわだかまりをとかして、意志の力を強化するハーブ、という伝承そのままに、ほんとうに望む道、天意と良知がまじわるところを探すのに役立つハーブなんだな、と。


腎気がととのうと意志力が強化されるとは、東洋医学の発想でもあります。

「図説 東洋医学」学研
五行説
「図説 東洋医学」学研

「図説 東洋医学」から、腎の項目には恐れの感情が過剰になると、時に腎を傷つけるとあります。
恐怖心は外界からの刺激によってもたらされるものが大半ですが、腎気が不安定の場合過度に恐れすぎて、慢性化するケースもあるよと。

五行説では腎臓の感受性を育み、サポートしているのは寒さと北の方位、そして水です。

北の寒さ厳しい大地を遊牧していた民族を想像してみます。
遊牧する理由は家族や仲間、家畜の食べるもの、そしてなにより「水場」の確保が大きい理由だったと思います。
季節が冬に入ればなおのこと、移動は過酷で困難なものだったと想像できます。
ようやくたどり着いた水場を目視して、いま抱えている家畜数と人間の数を計算し、どのくらいこの地に居られるか、次に水場のありそうな方角はどちらかなどを考え、計算し続ける必要があったんだろうな、と。
生きてゆくためには常に水の確保という恐れ、恐怖心がセットになっていたのではないかと思います。

生まれつき腎臓が強い人は、先読みの名人でリスクヘッジや、トラブルを回避する能力が高いといわれています。
恐怖の対象は事前に、できるだけ排除しておくことがファースト・プライオリティ、だから前倒し、シミュレーション、スケジュールを立てて管理することなどに精通してゆきます。

腎気旺盛な人は囲碁や将棋など、ゲーム全般に強いと聞きますが、あらゆる道筋を考えて、最適な一手を打ち続ける、というくり返しは、まさに腎気パワー全開という感じもします。
人類の祖が水場を確保するために命懸けで培ってきた腎の感受性、可能性のある道を探し続ける意志力の行使につながっているんだろうな、と。

ただ過剰な恐怖心、慢性的な恐れにのみこまれると、通常運転が交感神経優位の状態になり、ちょっと例えが原始的になりますが、いつでも逃げるか戦うかという臨戦態勢に入っているような感じで、血液は筋肉に集中します。
血管は収縮し、唾液や涙が出にくくなり、気管支が広がり、心拍数は高まり、消化は抑制され、とうぜんですが排便・排尿も、いまそんな場合じゃないからと抑制されます。

からだの水をスムーズに循環させるには、腎臓・膀胱などの泌尿器系が不要なものをサクサク選別して、排泄しつづけることが肝腎ですが、慢性的に恐怖心を抱えていると、体内の水を捨てることにストップをかけてしまう心理(=機能)もはたらくのだろうと思います。

風を読み、空を観察して、森羅万象を見据えながら、水を確保し続けてきた人類の祖は、恐怖という感受性を最大限に活用しながら「これでもう大丈夫、なんの心配もありません」という具合にスイッチを切ることはなかっただろうと思います。

この天地のあいだには人の智だけでは計り知ることのできないものが存在する、ということを受け入れ、恐怖心を小脇に抱えて、自らの選択が、いつでも良知であることを祈りつつ、次の水場を求める旅路に出向いて行ったんだろうな、と。

恐怖心が皆無になると天地への敬意を忘れてしまい、天意を受けとる妙がわからなくなるし、ありすぎれば四肢の力が抜けて一歩も動けなくなってしまう。だから腎を傷つけるほどの恐怖心を抱くことは、逆に命取りになると知っていて、しなかったのではなかろうか、と。

時代や国が変わっても、人の腎気が整うと良知が発動され、意志には森羅万象の力が宿り、天意そのものになるんだろうな、と思っています。
ジュニパーをつかって、恐怖を克服し意志力が強化されると信じていた古人は、人の腎気がととのうことで体内をめぐる血と水に天意が宿ることを知っていたからこそ、後世にその叡智を伝えようと、儀式にジュニパーを頻繁に使っていたのではないかな、と妄想しています。


天意が宿る水の意志


旧約聖書には預言者エリヤが疲れきって、ジュニパーの木のもとで眠ったという記述があります。
「預言者」というと神の代理人のような感じで、現代人にとっては想像すらむずかしい職業(?)ですが、天意と良知の交わるところを受信して、意志を誤差なく遂行するヒトというイメージがあります。
「アルケミスト」パウロ・コエーリョ著に出てくる少年のような感じかな、と想像しています。

ボンベイサファイアとアルケミスト


「人が本当になにかを望むとき、全宇宙が協力して、夢を実現するのを助けるのだ」

アルケミストを読んで一番印象に残ったセリフです。
若いうちは「夢や望み」ってシャボン玉のようにフワフワと浮かんできて、それをほんとうに自分が望んでいるのかどうかは、実際にチャレンジしてみないと分からない未熟者でしたから、体内を流れる水のことなんて一ミリも慮ることなく、結果失敗も挫折もどっさり経験しました。
体内を流れる水も、地球からお借りしている原料なので、ちゃんと対峙して、ていねいに対話するんだったなぁと、いまは思うようになりましたが、挫折や失敗の経験値は宝物になったなぁとも、思うようにもなりました。


人のからだは水袋といったのは、野口体操の創始者、野口三千三先生。

ゆらゆらしたり、ぶるぶるしたり、ぐるぐるしたり、曲線的でシンプルなうごきをくりかえす体操は、体内の水とおしゃべりしているような感じでとても楽しいです。
恐怖を感じた日はとくに、アドレナリン放出後に「体内の水確保!」という最善策をとっているはずなので、「水確保指令解除~!」と、力を抜いてゆらゆらするのオススメです。

日常的にもあたまで考えること、こころで感じること、からだで実践すること、その3つが揃いぶみするって、なかなかむずかしいと思うのですが、からだは一番おもたくて、たとえば毎日英会話の勉強を10分つづける!とか、ヨガを30分する!とか、頭で考え、こころが同意しても、からだがついていくのを拒んで、なにかと理由をつけて三日坊主で終わってしまうことってよくあります。

からだが人生を推進することに協力的になってくれるためにも、60%ほどを占める水に宿る意志力、水の精霊たちを導くジュニパーの力をお借りして、エンジン始動するのもよいかな、と思います。

腎気がととのい、体内の水がバランスよくめぐるとき、決心も決断も水の流れるごとく、さらさら動いてゆく。
寒さ厳しくなるこれからの季節は特に、冷気がはいると体内の水分調節が上手にできないこともあるかと思いますが、まずは沐浴や運動で汗をかいて、からだの内側から熱を発生させることが大事と思います。

ジュニパー精油は継続して使ったり、いちどにたくさん使いすぎると、腎臓を過度に刺激してしまう可能性があります。
腎臓に重い障害がある方も、同理由で避けた方がよいとされています。
通経剤になるので、妊娠しているときも避けた方がよい精油です。
精油には植物のエッセンスが凝縮して入っていますから、たとえ1滴といえどたくさんの量を摂取していることをお忘れなきよう、上手におつきあいくださいませ。

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お読みくださりありがとうございました。
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