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ブロックチェーン・エンジニアになるために大切なこと(shiftbase 日原翔/sho)

shiftfbase CTO 日原翔 が語る「エンジニア」という仕事

shiftfbaseの最新情報など公開していく公式note、第2回目はCTO日原翔(sho)のインタビューを公開します。shoに、そもそもエンジニアという仕事とは、理想のエンジニアとは、これからエンジニアになるために大切なこと、などについて語ってもらいました。

shiftbase CTO 日原翔

エンジニアは「楽」を作る仕事に

−−そもそもエンジニアとはなんでしょうか? どんな仕事と捉えているのか、エンジニアのshoさんにお伺いしたいです。

エンジニアという言葉ってすごく広いです。例えば機械技師もエンジニアで、自分でコンピューターの回路などを設計する組み込みエンジニアもいれば、ソフトウェアエンジニアもいる。またソフトウェアエンジニアにもフロントエンドとかバックエンドとか。またセキュリティエンジニアとか機械学習エンジニアとかもいます。そしてそれらの定義や線引きも、曖昧だったりします。

その前提でエンジニアとはどんな仕事か? エンジニアリングって何かというと、僕は「楽(らく)」を作ることだと考えています。エンジニアリングって言葉は、「デザインする」とか「生み出す」といった意味の言葉が発展して生まれたもの。で何を生み出しているかというと「楽」です。余裕とか時間とか、言い換えてもいいかもしれないです。

だからエンジニアは「楽」を生み出す、その仕組みを作る仕事、「楽」することに真剣に向き合う仕事。これは前述の様々なタイプのエンジニアといわれる仕事に共通しているはずです。

みんな「楽」したい、だから例えば人間は馬車を作り、さらにエンジニアリングして自動車を作った。エンジニアは昔からいて、色々なものを人々はエンジニアリングし続けてきて、今がある。

そして生まれたコンピューターも、アルゴリズムを書いてしまえば、あとは上手いことやってくれる奇跡のモノですよね。

道具を作り、道具を使い、それで生まれた時間で新たなことを考え、一度やったことは二度やらなくてよくする。抽象的ですがエンジニアリングの根底はそこにあると考えています。

少し話がずれますが、ブロックチェーンもそうですよね。僕は「楽」を産む技術だと思っています。国際送金が楽になるとか、署名技術で確認を楽にするとか、真贋担保を楽にするとか。

これだけネットで世界は繋がっているのに、価値の移転だけは依然として難しい状況がある。でもそれもブロックチェーンで技術的に可能になりつつあるわけです。それは重要で、まさにエンジニアリングの醍醐味を感じられると思うので、僕は今ブロックチェーン技術に興味を持っているんですよね。

「イケてる」エンジニアとそうでないエンジニア

−−shoさんの定義するイケてるエンジニア、そうでないエンジニアはどんな人ですか?

先ほどの話と繋がりますが、楽しそうにエンジニアリングしてる、「楽」を作ることを楽しんでるエンジニアはイケてると思います。逆にそれが楽しくないなら多分エンジニアは向いていない。別のことすべきですね。

そしてイケてないというか、良くないと思うのは、実力を誇示してマウントしてくるようなエンジニアですかね。例えば、自分の方がコードを書けると初心者にマウンティングするなど。そういうカルチャーは残念ながらあって、エンジニアだからこそ陥りやすい部分でもあるんですが。

でもエンジニアの仕事は広いし深い。その全てを知ってる人はいないと言ってもいいし、結局分からないことだらけな訳です。

例えばソフトウェアエンジニアリングの場合も、オープンソースでみんなが情報を公開し、開発し合うというのが、エンジニアカルチャーだと思っています。

ある人がここを作ったから、別の人がそれをやらずに次を作れる、ってのがエンジニアリング。そんな中でいちいち「お前こんなこともできないの?」みたいな空気を出してたら、そこからコラボレーションも生まれない。そして結局みんな損をするだけ。

よく強いエンジニアとかいうじゃないですか。言わんとしてることは分からなくもないですが、当然エンジニアに強いも弱いもないですよね。

みんなお互いに依存し合ってるのがエンジニア。これからエンジニアになろうとしてる人がいたら、超ウェルカムして沼らせてあげるのが、エンジニアのあるべき姿勢だと思ってます。

web3とWeb2.0エンジニアの違いはある?

–−Web2.0のソフトウェアエンジニアと、ブロックチェーンエンジニアって違いはあるんでしょうか?

基本的にはそんなに違いはないと思います。

ただブロックチェーンエンジニアが特徴的なのは、作り切るという経験ができること。言い換えると、初心者が自信を持つまでの時間が短いと思ってます。

イーサリアムなどパブリックなブロックチェーンは、すでに動いていますから、環境構築の必要性が小さい。デプロイ先は決まってる、自分でコンテナ用意する必要ないし、サーバーもいらないしみたいに。RPCノードにコントラクト送れば良くて、RPCノードはもうあるみたいな。そういう意味では早いし「楽」だと個人的には感じています、本当にゼロベースだった場合には。

これはブロックチェーンだからというより、オープンソースだからかもしれないですね。元々インターネットやソフトウェア技術なんて、大半がオープンソースでギークたちが、ガチャガチャやりながら、ドキュメント書いて、お互い共有して作り上げて、今に至るわけじゃないですか。

ブロックチェーンプログラミングは原点回帰してるかもしれないですね。オープンソースだし、みんな同じ規格を触ってるし、許可とか不要だし。長い目で見て後に振り返ると、Web2.0的な、一部クローズドにする進め方の方が異常に見えるかもしれないですね。

文系の人がエンジニアになるなるためにすべきこと

–−未経験でこれからエンジニアを目指す人は、まず何を学ぶべきだと思いますか?

まずは「UNCHAIN」に入ってほしいですね(笑)。「UNCHAIN」にはこれまで文系でプログラム未経験の方も多く参加して学んでもらってます。

宣伝はさておき、エンジニアを目指す方にとって、本質的に大切なことが1つあります。それは自分で何かを作りたいという確信と、作りたいものが明確にあること。何を勉強すべきかという前に、まず作りたいものが明確にあることが大切です。

本当にそれだけが必要だと思っています。それが明確なら、やるべきことは全部手段の話なんですよね。作りたいものがあれば、そのために何をすればいいか細分化して、その手段を勉強すればいいだけ。Webサイト作りたいならそのリソースなんていくらだってあるし、ウォレットコネクトしたいんだったらそのドキュメンテーションを探せばいい。

逆に雰囲気でエンジニアになりたいな、作りたいものは明確じゃないけど、という人は結構厳しいと思ってます。では、なぜ厳しいかというと、技術的に厳しいんじゃなくて、学ぶのが厳しいんですよ。目的が希薄な状態で学べることなんて、多くないと思います。

一方、作りたいものがあれば技術なんか勝手に身につくと思うし、周りもサポートしてくれると思います。

ChatGPTから見えた、ブロックチェーンの課題

–−既存のブロックチェーンエンジニアにとって、これから必要なことはなんだと思いますか?

UXの改善だと思います。これまでメールやSNSが普及して人々が当たり前に使うようになったみたいに、どうすればみんながウォレット使ってトランザクションをオンチェーンに刻むようになるのかと、日々考えてます。

おそらく多くの人があまり興味がない技術的部分と、私たちクリプトの人たちが、ここは守らないといけないという部分があって、今それが乖離してる状況がありますよね。

でもやっぱりUX問題をクリアしないことには、技術なんて意味ないんですよね。だからUXを良くしていかなければいけない。

ただ一方でそれにあたって妥協してはいけない点が、例えばプライバシーだったり、改ざん不可能性や分散性みたいなことがある。そもそもそれら守れないんだったらブロックチェーンじゃなくてもいいんじゃないかとなってくる、AWSでいいじゃんと。

だから僕らが大切にする技術的な部分を、人々はそんなには興味がないってことをまず自覚しなければいけないと思ってます。そしてそういった技術をプロトコルに隠す、後ろに置く。

仕組みを見たいやつは見ればいい。そのブロックエクスプローラーにちゃんと公開して、トランザクションとかを追えるようにしとけばいいけど、そこは別に一般ユーザーの体験に求めてはいない、みたいな。使いたい人が使えばいいぐらいのテンションでやるべきではと思ってます。本来面倒なUXのはずのウォレットコネクトとかをやることに、何か体験価値みたいに見出すのはちょっと変な話。

ChatGPTのトレンドなんか見ると分かりやすいですよ。なぜここまでバズってるかというと、実はその自然言語処理の性能ではなく、あの公開方法が良かったからだと思ってます。

昔から僕はAPI叩いてGPT触ってましたが、今回のトレンドで変わったのはインターフェース。僕らのようなエンジニアでなくても触れるようになりましたよね。ChatGPTはあくまでアプリケーションで、モデルは後ろにあるけど操作方法はむしろ限定されている。

GPTには、できること・できないことが、まだまだ沢山あって、その中でGPTが得意なことの1つに、小さいクエリに答えるという部分があった。そのクエリが連続してたときにコンテキストを維持することができる、という部分だけをChatGPTはユーザーに切り出したんですよね。実はみんな「やべー」っていって触ってますが、GPTモデルの一部しか触ってない。

でもこれだけトレンドになっているわけで、やはりインターフェースというのは大切なんだなと。それはブロックチェーンにも言えることだと思います。

だからエンジニアリングするとき、僕が大事にしたいと意識してるのはインターフェースですね。人が触るときに使いやすい設計にしてなければいけない、そして可能な限り抽象化して後ろに隠せるものは隠すべきだと思ってるんです。そういうふうに設計していくべきだと思ってます。

今がチャンス、すごくいい環境

−−web3などブロックチェーン・暗号資産領域の現状をどう感じていますか?

多くの人が言ってることですが、冬相場でもありますから、エンジニアの視点では、地に足をつけてじっくり作り上げようというタイミングだと思ってます。

今AIがトレンドになってますが、それも今回が初めてではなく、これまでも何回も盛り上がったり、盛り下がったりしたタイミングがありました。それらを繰り返したそのAIが、今ワッと大きくなったと感じるのは、実用に耐えうるところまできた感じがあるからですよね。人の役に立つという一定の閾値を超えると、イノベーションが起こる。

だからブロックチェーンに興味がある人たちがするべきは、短期視点のトレンドに囚われず、この技術の本当に魅力的な部分を信じて、それが社会にとって「楽」だったり、良い価値を生むようなことを目指して粛々とやるのがいいと思ってます。

さらに日本は今それをやるのにすごくいい風が吹いている状況ですよね。米国が規制に揺れる中、すでに日本は規制が整っていてある程度ルールも明確になってきている。世界の中でも恵まれていると思います。

海外では粛々と良いものを作るどころでない状況の国も多い中で、今このタイミングで日本の私たちがちゃんと作っていけば、ヘッドスタートが切れる、競合優位性が世界に対して出せると思ってます。

数年後振り返った時に、世界から「あのとき日本は規制も整っていて、マネーゲームやらずにちゃんとビルダーがビルドしてたから、このプロトコルもあのプロトコルも日本産だ」と言われるようになるといいですね。

取材/編集 設楽悠介(あたらしい経済)
撮影:堅田ひとみ


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株式会社shiftbaseは「Dynamic collaboration for dynamic shifts(コラボレーションを促進し、社会に飛躍的な変化を生む)」をミッションに、web3領域に特化した技術主導のビジネス開発チームです。web3エンジニアコミュニティ「UNCHAIN」を主軸に、手を動かし未来をかたちづくる人たちのコラボレーションを促進するための持続可能なエコシステムの構築を目指しています。当社は、Polygon、Polygon Studios、NEAR、ASTAR Network、HashHub、Fracton Venturesとオフィシャルパートナーシップを締結し、アーティストのスプツニ子!、ソフトウェアウェレット「MetaMask」創業者のkumavisにアドバイザーとしてご参加いただいています。
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