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イスラエルにおけるコミナティ4回接種の効果について NEJMの論文から

ファイザーのmRNAワクチン、コミナティの4回接種の効果についての論文です。以下、結果だけを要約してわかりやすく書きました。

感染予防効果は短期間で減弱

・4回接種後4週間の時点で、感染率は3回投与群の1/2 (171 cases per 100,000 person-days vs 340 cases per 100,000 person-days)
・その後は6~8週と経過するにつれ、3回目接種後とほぼ変わらなくなる
感染予防効果は短期間で減弱しました。

重症化予防効果は強く持続する

・重症化は、4回接種後4週間の時点で、3回投与群の 1/3.5 (1.6 cases per 100,000 person-days vs 5.5 cases per 100,000 person-days )
・4回目の接種後6週間たっても、重症化に対する予防効果は低下しないし、低下する傾向もない
重症化の予防効果は強く、効果も持続しました。

以上をわかりやすく示した図もお示しします。

4回目接種のターゲットは?

 以前の記事で
1) 抗体が減ってもメモリB細胞はそれより長く残り、感染後迅速にまた抗体を作り始めること(そのため感染初期には間に合わない)
2) 中和抗体が低下して感染予防効果が減ってもT細胞が憶えているため重症化予防効果は抗体より長く続くこと
3) 変異株に対しても反応するT細胞が長く存在すること
4) 加齢によりメモリ細胞は低下しやすくなること
などを書いてきました。それと合わせると、4回目の対象者が見えてきます。

 まずは、感染が重症化しやすい方々、すなわち、高齢者基礎疾患のある人です。タイミングが大事ですね。次が重症化しやすい方に接触が多い人たち医療関係者、介護関係者、社会に対する影響が大きいエッセンシャルワーカーが候補になるでしょうが、このあたりは高齢者ほど急がなくていいかな。新型コロナウイルス感染症の今後の法律上の扱いによっては、変わってくるかもしれません。

 頻度は高くないが、たまに重症化する40~50歳代(基礎疾患なし)はどうでしょうか。3回目はぜひ。3回接種すれば、重症化予防効果は相当高くなると考えられますので、4回目は3回目の1年後でもいいかなと思っています。ワクチンの効果を上げるには、ある程度間隔をあけることも重要ですので、副作用の軽減が見込まれ、国内生産できるノババックス(組み換えタンパクワクチン)も出てきたことですし、データを待ってもいいでしょう。

 若年世代は?重症化は少ないですが、倦怠感、認知機能低下、慢性咳嗽、味嗅覚低下などの後遺症が軽症者でもかなりの確率で出ます。みなさん、辛そうですし、中には仕事をやめた方も。3回目までは接種を推奨します。4回目はゆっくり考えるということでいいと思います。

新たな変異株が出てきたら?

 じゃ、重症化しやすい変異株が出てきたら?いつでもワクチンを多くの人が受けられるように準備しておく、いわばアイドリングの状態にしておくことは必要でしょう。そのために無駄が出るかもしれませんが、リスクを考えれば必要なコストかなと思います。今までのワクチンが効かない変異株だったら?B細胞とT細胞の両方のエピトープが認識されないような変異が起こる可能性はきわめて低いですが、新たなワクチン(新たなエピトープを認識するワクチンやユニバーサルなワクチン)の開発を待たないといけないかもしれません。

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