小林茂俊

アレルギー専門の小児科医/帝京大学小児科教授/ピアノ弾いたり歌ったり写真撮ったり/ウイ…

小林茂俊

アレルギー専門の小児科医/帝京大学小児科教授/ピアノ弾いたり歌ったり写真撮ったり/ウイスキー派 FB : https://www.facebook.com/pianoman.kobayashi TW:https://twitter.com/pianoman_shige

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    アレルギーや小児科の話をまとめます

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    お酒にまつわるいろんな経験談、おすすめのお酒のご紹介などを書いています

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自己紹介です

免疫・アレルギーが専門の小児科医です。大学病院にて、食物アレルギーの経口免疫療法はじめ、アレルギー疾患の診療・研究を行っています。 大の音楽好きで、時々ライブハウスでピアノ弾いたり、歌ったり。花や夕景などの写真撮影も趣味で、時間が取れればあちこちフラフラしてます。好きなお酒はウイスキー、時々ラム、ブランデー。食べ物は、おいしいものであればジャンルを問わず好きです。 医学・医療だけでなく、音楽、映画、写真などいろんなことを書いていこうと思います。よろしくお願いします。 F

    • 最近の小児の感染症の動向について

      はじめに  5月以降、小児の感染症が増加していると言われています。報道では「新型コロナウイルス感染症対策のため免疫力が落ちたからだ」という論調がありますが、実際どういう意味で免疫力と言っているのか明確ではありません。集団免疫が低下したということなのでしょうか、それともマスク等で免疫そのものが全般的に機能低下しているという趣旨なのでしょうか。新型コロナウイルス感染によって、免疫が変容したということなのでしょうか。  「免疫力」「免疫が低下」といった言葉は、学問の場では専門家

      • 抗ヒスタミン薬とヒスタミン

         今年は花粉が多く、花粉症で悩む方も多いかと思います。この記事では、花粉症でもっともよく使用される抗ヒスタミン薬について解説します。 ヒスタミンの機能ヒスタミンとアレルギー  ヒスタミンは細胞から細胞へ情報を伝達するケミカルメディエーターのひとつで、様々なアレルギー症状を誘発します。たとえばマスト細胞から放出されたヒスタミンによって、花粉症ではくしゃみ、かゆみ、鼻水が起きますし、じんましんではかゆくなったり、皮膚が赤くなったり、盛り上がったりします。そこで、アレルギー症状

        • 花粉症といかに戦うか⑥ 舌下免疫療法その3 原理

          少しだけ専門的な話 1 舌下免疫では何が起こっているか?  アレルギーは、免疫のはたらきで攻撃しなくてもいいものを間違って攻撃してしまう病気。花粉を敵と勘違いして、くしゃみや鼻水で追い出そうとします。勘違いした免疫を再調整するには、どうしたらいいでしょうか。舌下免疫療法を含めたアレルゲン免疫療法では「免疫寛容」というしくみを応用します。 2 免疫寛容とは  免疫寛容とは、過去に免疫応答(この場合はアレルギー反応)を起こしたことがある抗原(アレルゲン)にたいして、免疫応

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          花粉症といかに戦うか⑤ 舌下免疫療法その2 副作用とトラブルシューティング

           この記事では、舌下免疫療法の副作用とトラブルシューティングについて解説します。 舌下免疫療法の副作用 一般的な薬剤では、肝臓・腎臓などに負担がかかるなどの副作用が起こりえますが、舌下錠の副作用は異なり、副作用のほとんどが錠剤に含まれるアレルゲンによるアレルギー反応が原因で起きます。  副作用は比較的多く、約半分の方に出ます。えっ、多いのでは?とご心配かもしれませんが、一般的に軽度ですし、効果が出てアレルギー反応が抑えられてくれば、副作用は消えていきます。副作用が理由とな

          花粉症といかに戦うか⑤ 舌下免疫療法その2 副作用とトラブルシューティング

          花粉症といかに戦うか④ 舌下免疫療法その1 方法・適応・効果

           花粉症治療の真打ちともいえるアレルゲン免疫療法は、原因となるアレルゲンを少しずつ体内に入れることによって、アレルギー反応を起こすはたらきそのものを抑え、アレルギーを起こりにくくする方法です。症状を抑えるだけの対症療法とは異なり、アレルギーの根本的な治療となりうる方法です。アレルギー自体が起こりにくくなるので快適な効き心地です。  その中でも舌下免疫療法は、小児でも外来で容易に可能であることから、お勧めの治療です。この記事では、その方法・使い方、原理、効果、副作用、使用上の

          花粉症といかに戦うか④ 舌下免疫療法その1 方法・適応・効果

          花粉症といかに戦うか③ アレルゲン回避

           この記事ではいかに花粉を減らすかについて解説します。症状を軽くするもう一つの方策が「花粉を回避すること」です。 そのためには ✅花粉を体に付着・侵入させない ✅花粉を家に持ち込まない ✅花粉を取り除く ✅花粉情報を収集する ことが大切です。 1 花粉を体に付着・侵入させない  特に外出時、花粉は衣服や体に付着します。付着のしやすさは、衣服の素材によって異なりますし、体の中でも髪の毛には付着しやすいです。付着を最低限にするために以下の方法があります。 ✅マスク・

          花粉症といかに戦うか③ アレルゲン回避

          花粉症といかに戦うか② 治療薬その2(小児を中心に)

           花粉症の治療薬について続けます。花粉の画像は環境省の花粉症環境保健マニュアル2022から取っています。ステロイド点鼻薬、抗ヒスタミン薬とご紹介してきましたが、今日はロイコトリエン受容体拮抗薬、点眼薬、奥の手の抗IgE抗体、そして使うことをお勧めしない薬剤について。舌下免疫療法、花粉アレルゲンの回避法については別記事にします。 3 ロイコトリエン受容体拮抗薬  鼻づまり(鼻閉)は、マスト細胞や活性化した好酸球によって放出されたロイコトリエンによって起きます。そのため、ロイ

          花粉症といかに戦うか② 治療薬その2(小児を中心に)

          花粉症といかに戦うか① 治療薬その1(小児を中心に)

           冬は厳しい寒さでしたが、最近暖かくなってきました。それとともにスギ花粉が大量に飛び始めました。本年11月から12月にかけて行われた環境省のスギ雄花花芽調査(https://www.env.go.jp/press/press_01019.html)から、ここ10年で最大の飛散量が予測されています。今年は花粉症の方には受難の年となりそうです。新たにデビューする方も多いのではないでしょうか。ここでは花粉症の治療(治療薬、効果、副作用、タイミング)について解説します。私は小児科医で

          花粉症といかに戦うか① 治療薬その1(小児を中心に)

          災害におけるアレルギー疾患の対応(その8)

          東日本大震災の避難所で実際に起きた事例と繰り返さないための工夫 図1、2は東日本大震災で実際にあった事例とその対応について記載したものです。 ご紹介しているパンフレットは、厚労科研「大規模災害時におけるアレルギー疾患患者の問題の把握とその解決に向けた研究」において、アレルギーのお持ちの方とそのご家族、行政、災害医療従事者に行ったアンケート調査に基づいて作成しています。 今回の調査の中で、アレルギーをお持ちの方と行政の間で認識にギャップがあることがわかりました。たとえば避

          災害におけるアレルギー疾患の対応(その8)

          災害におけるアレルギー疾患の対応(その7)

          もしもの時のために… お薬・水・食糧 備蓄できていますか? これは掲示用(ポスター用)の資料です。診察室、役所、学校など各所に掲示していただけるとありがたいです。備蓄のすすめ、非常用持ち出し袋の内容の参考例、アレルギーポータルのリンクが簡潔に示されています。少し字が小さめですが、食物アレルギーなど特別な配慮が必要な方は14日分の備蓄をおすすめします。 アレルギー表示の注意点とアレルギー用ミルクの紹介 箱、ポリ袋、缶、びん、ペットボトルなどの容器包装された加工食品には、ア

          災害におけるアレルギー疾患の対応(その7)

          新型コロナウイルス感染症の重症度分類の問題点

           まず東京都の約1年間の新規陽性者数、死亡者数、重症者数をお示しします。このグラフを見て不思議に思いませんか?  デルタ株優勢期(第5波)とオミクロン株優勢期(第6波)を比較すると、新規陽性者数は後者の期間で圧倒的に多く、そのために重症化しにくいと言われるオミクロン株でも死亡者数が多くなっています。その割には重症者数が少なすぎるように見えませんか?  これは、今の重症度分類が重症度を正確に反映していないためと思われます。死亡者の多くの方が、軽症〜中等症に分類されていること

          新型コロナウイルス感染症の重症度分類の問題点

          日本の感染者数が世界最多?

          日本の感染者数が世界最多?マスクしてるのに?マスクも行動抑制もない国の方がどうして少ないの?にわかには信じられなかったので、データを集めました。 最初の図を見てください。ここ1年の人口100万人あたりの新規感染者数と死亡者数を、日本とフランスで比較したものです。 確かに瞬間的には(上のグラフの右端)、日本の新規感染者数はフランスより多くなっていますが、オミクロン株が優勢になったここ7ヶ月を比べると、フランスの方が圧倒的に多いことがわかります(任意の期間グラフの下の部分の積

          日本の感染者数が世界最多?

          東京都のここ1週間の年代別新規陽性者数の動向       

          東京都のここ1週間の年代別新規陽性者数のグラフです(下図の左)。7日移動平均を自然対数にしてプロットし、直線回帰していますが、傾きが増加率を表していると考えてください。ここ1週間の増加がそれ以前に比べて大きいので解析してみました。データは東京都新型コロナウィルス感染症対策サイトからダウンロードして、解析しています。 20歳代と10歳代の増加が大きく、30歳代、40歳代、50歳代の増加がそれに続きます。これは新たな波を形成するパターンです。ただ今回は、10歳未満の増加は、他の

          東京都のここ1週間の年代別新規陽性者数の動向       

          小児におけるLong-COVIDについてLong-COVID in children and adolescents: a systematic review and meta-analyses

          小児における新型コロナウイルス感染症の長期的な影響(Long-COVID)について懸念しておりましたが、NatureのScientific Reportsにシステマティックレビューの論文が掲載されたのでご紹介します。 Long-COVIDはまだ定義も確定していない概念ですが、今回ご紹介する論文では、National Institute for Health and Care Excellence(NICE)およびNIHの定義をもとにして論じています。二つの施設の定義は若干異

          小児におけるLong-COVIDについてLong-COVID in children and adolescents: a systematic review and meta-analyses

          東京都の新規陽性者数の動向 4月以降の年代別解析

          4月以降の新規陽性者数の年代別データ 4月以降、75日間の新規陽性者数の年代別移動平均を示します。今回75日としたのは、デルタ株の流行期と比較するためです。 20歳代で増加→すぐに10歳代増加→少し遅れて10歳未満のピーク→その後10歳未満も含めゆっくり減少というパターンだったのが、ここ1-2週間は、20歳代までの若年者の割合が多いままに、すべての世代で横ばい(もしかしたら増加)となっています。図1の真ん中は10歳未満、10歳代、20歳代を強調しています。右は片対数グラフ

          東京都の新規陽性者数の動向 4月以降の年代別解析