見出し画像

深く出会いたい、ありのままの美しさを表現したい。「人」を撮ることへのこだわりを語る写真家 野田眞直さん

人の写真を撮ることへのこだわりの裏には、深く出会いたい思いや、その人の持つそのままの美しさを引き出したいという温かい心がありました。「人」を撮るからこそ出会える世界、可能性について野田さんのお話を伺いました。

野田眞直さんのプロフィール
出身地:福岡県小郡市
活動地域:福岡市〜福岡県中心に、九州圏域まで
経歴:元公務員からフリーランスフォトグラファーに。「結婚できる婚活写真」や「仕事につながるプロフィール」をはじめ、ブライダル、イベント撮影など人物写真を中心に据えながらも、商品撮影、店舗撮影まで幅広く手がける。
座右の銘:「みんなちがってみんないい」「写真は幸せの記憶」

Q.今のお仕事をするきっかけは何ですか?

野田眞直さん(以下、野田 敬称略):以前は2014年3月まで、市役所の広報担当として働いていました。行政の仕事なので「平等に公平に」が公務員の理念としてあったのですが、仕事をする中で、もっと力を入れたいし、支援した方がいいんじゃないかと思う事がよくありました。でも公の理論ではそれはダメとなる。その業界での理屈と自分がやりたい事とのギャップ、それを感じながら仕事をしていた事が、今の仕事をするきっかけの一つです。
もう一つは、元々写真が好きで、写真を通して人の力になりたい。その思いがありました。市役所をやめて写真の仕事を始めるにあたって、まずは婚活写真を撮る事から始めました。

記者:なぜ婚活写真から始めたんですか?
野田:人を撮るのが好きなんです。
実際のところ婚活写真は、盛りすぎている写真が結構多いです。もちろん相手の興味を引くことは必要だけど、写真と本人を見比べたらまるで別人。それではいくら写真で興味を持ってもらっても、実際に会ったその後がうまくいかないのが目に見えていますよね。
私は婚活写真などでは写真を加工しません。本人の良さを引き出して撮る。そこを大事にしています。おかげで「野田さんが撮った写真の人はほぼ結婚している」と言ってもらっています。


Q.人を撮るのが好きということですが、人を撮る魅力について教えてください。

野田:写真を撮る時に、専門性を分ける人が多いんですが、私は専門性は問わず「人」にフォーカスをあてて撮っています。むしろ「人」しか撮っていないかも、しれません。
人を撮る魅力にもつながりますが、私は自分だけが喜ぶ写真では動機になりません。写真に写っているその人が喜んでくれることこそが写真を撮る動機になるし、また一緒に作品を作り上げることが喜びにもなります。
でも私、実は人が苦手なんです(照)ただ、それ以上に人が好きなんです。人とのつながりをすごく求めているところがあって、とても不器用な人間なので、カメラを道具に人とのつながりを求めているのかもしれません。
撮影をする上では、自然体、ありのままの姿にこだわっています。それは、その人のありのままを受け入れたい、深いところでつながりたい、その気持ちがあるからだと思います。単に写真が好きで人が苦手というのなら人以外の撮影だけをしていればいいんです。けれど、撮る写真には必ず人を入れたいと「人」にこだわるのは、人と深いところでつながりたいという気持ちからでしょうね。その人の本来持っている魅力に出会えるしつながれる、その美しさを表現できる。それが人を撮ることの魅力だと思います。

Q.人の写真を撮ることにこだわりを持つ野田さんですが、どんな夢、VISIONを持っていますか?

野田「写真は幸せの記憶」これが私のテーマです。
報道写真のような衝撃的な写真や、悲しい写真を撮ることの必要性もわかるけど、私は幸せの記憶が残る写真を撮りたいと思っています。記録ではなくて、記憶に残る写真を撮りたいんです。
この時めちゃ楽しかった!この笑顔は自分でもすごく好き。そういう写真を撮っていきたいし、みんなが少しでも幸せな気持ちになってくれたら嬉しい、そんな人が増えたらいいと思っています。写真1枚を見たら、その時の楽しい記憶が蘇ってくる、そんな写真を撮りたいと思っています。

記者:幸せの記憶になるような写真を撮りたいと思うようになるきっかけが何かあったのですか?
野田:原点はやはり報道写真ですね。
高校生の頃に見た、ある1枚の報道写真から、写真の持つ力を感じるようになりました。ファン・ティー・キム・フックの「戦争の恐怖」という写真で、ベトナム戦争で爆撃を受けて裸で逃げる9歳の少女の写真です。これは、ベトナム戦争が終結したきっかけになった写真でもあります。1枚の写真に戦争を終わらせる程の威力があるのだと、大きな衝撃を受けました
それともう一つは、好きな写真家である木寺一路さんからの影響です。木寺さんの写真展は、見に行くと必ず泣きますね。彼は写真を記憶の時限爆弾と表現しているんですが、今この時の気持ちは忘れてしまうけど、写真を見たらその瞬間の事を思い出せると言っています。写真家とし大切にしていきたい思いは、彼の撮る写真、その思いが影響していると思います。
1枚の報道写真から、写真の可能性、威力を感じたからこそ、その威力を幸せな方向に使いたいと思っています。写真を撮られて嫌だったではなく、写真撮られて嬉しかった、幸せな気持ちになった、後から見返した時に、あの時の幸せな気持ちを感じる、そんな写真を撮りたい、そう思うようになりました。

Q.では、今後についてですが、どんな目標や計画をお持ちですか?

野田:目標としては、こじんまりとした、特別感があるけどふらっと立ち寄れるような写真スタジオを作りたいですね。今は、スマホでも簡単に写真は撮れるし、写真館で特別に撮るのは成人式くらいになってきていますが、ここなら、日常の続きなんだけど特別な写真が撮れる。当たり前だけど特別が撮れる。ファーストフード店やコンビニによるくらいの感覚で立ち寄れる、そんな写真館をつくりたいと思っています。もちろん、クオリティはここでしか撮れない、というものを提供したいですね。

Q.AI時代に、このお仕事はAIに奪われることがあると思いますか?奪われるとした場合には何か対策はしていますか?

野田:単純にきれいな写真を撮るだけなら、奪われると思います。というか、AIどころではなく、現在でも証明写真は機械で撮れるし、スポーツ写真も今の技術では動画から切り出すことができるようになっていっているので、写真の仕事も一部は減ったりなくなったりしていくのではないか、と思います。
私の撮る写真は、人と関わり反応を引き出して撮っているものなので、例えばSFなどに出てくる感情があり受け答えができる高性能なアンドロイド、みたいなのが出てこない限り、今は大丈夫だと思います。
ただ今の状況でも、SNS映えするような写真だけを目指して撮っているようだと、自分たちで加工もできるし、友達に撮ってもらって加工すればいいとなるので、その方向を目指していると仕事はなくなってくると思いますね。

記者:写真1枚を撮る背景にある野田さんの思いを共有していただいてありがとうございました。写真の可能性、人の可能性を活かしていきたい野田さんの思いがとても感じられて嬉しい気持ちになりました。
本日はありがとうございました。

野田眞直さんの活動、連絡についてはこちらから
↓↓
【Facebook】

【instagram】


【編集後記】
恥ずかしがり屋で照れながらお話をしつつも、カメラを持った瞬間、その人の心を引き出すプロ写真家に変身する野田さん。どんな思いを持って写真を撮っているのかをお伺いすると1枚の写真の見え方も変わってくるなと感じました。これからの活動も楽しみです!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

この記事は、リライズ・ニュースマガジン”美しい時代を創る人達”にも掲載されています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?